入学式のときは、桜が咲いていたっけ?
うん、確か、咲いていたよ。
毎年、桜は咲きますね。
でも、いろんなシチュエイションが心に残ってます。
折り重なる花弁を持つ八重桜が、
春の雨をたたえながらも花弁を散らすことなく、
水銀灯の明かりで、にぶくその一枚一枚の重なりで見せる陰影。
八重の桜は、たくさん水を含み、
枝を大きくしならせていた。
ひとりで飲んだ帰りだったか?
丘陵地帯の終着駅。
十年以上前の記憶。
何かを見つけたくて、
さみしんくて、
やるせなく
夜をさまよっていた
あの体力・性欲・自分の内側にたたきつける精神力で。
若かっただけ?
愚かだっただけ?
僕の記憶は、そうは告げていない。
若かったし、
愚かだった。
だからこその、
心の重み・痛み・振動
を含んだ映像。
それが、今よみがえった。
僕の宝物。