面白い記事を見つけたんで抜粋します。



以下抜粋。





プロ野球を観ていて、やむをえないと諦めつつも、どこか割り切れなさが残るのがタイトル争いにまつわる敬遠や不出場だ。そして今、ヤクルトのバレンティンが超えるかどうか注目を集めている「55本の壁」――。



 シーズン開幕前、DeNAのラミレスに2時間ほどインタビューしたときのことだ。日本の野球が心底好きだというラミレスに、あえて否定的なことを言わせたくなり「タイトル争いのときに敬遠したりすることについてどう思うか」と尋ねた。

 ところがラミレスは実に冷静というか、ある意味、達観していた。

「外国人として受け入れがたいことは『ショウガナイ』って思うことが大事。ジャパニーズスタイルは理解しているよ」

■「自分が監督でも敬遠していたんじゃないかな」

 ラミレスは巨人時代、2008年に横浜(球団名は当時。以下同)の村田修一とホームラン王争いをしているとき、横浜戦で4度敬遠されたことがある。

「自分が監督でも同じことをしていたんじゃないかな。ショウガナイ。チームにタイトル争いのトップに立つ選手がいたら、その選手を守るのは監督の重要な仕事。自分も首位打者争いをしているときに(打率を下げないために)試合に出なかったことがある。たとえ、それを他人に批判されても自分はまったく気にならない。そういうことをしたくなかったら、選手はぶっちぎりの成績を残せばいいだけのこと」

 さらに王貞治の年間最多本塁打記録55本にまつわる過去の敬遠騒動についても聞いた。これまで'85年のランディ・バース(阪神)が54本で、'01年のタフィ・ローズ(近鉄)と'02年のアレックス・カブレラ(西武)が55本で、それぞれ1試合ずつだが四球攻めという洗礼を浴びている。

 バースは巨人に、ローズとカブレラはダイエー(現ソフトバンク)に勝負を避けられた。監督はいずれも王だったが、王の指示ではなく周囲の配慮だったようだ。

 ラミレスは「外国人で55本を破る人は出てこないのでは」と語っていた。

「王さんはやっぱりキング。キングであり続けて欲しいというのは日本人の総意だから。僕が監督でも相手が日本人だったらどんどん投げさせるけど、外国人だったら歩かせるかも。ショウガナイ。ショウガナイネ」

 もっとも違和感を覚えているはずの外国人であるラミレスが言うのだから、やはり本当に「ショウガナイ」のではないかと思った。

■もうひとり、「しょうがない」と語っていた日本人選手。

 もうひとり「しょうがない」と語っていた選手を思い出す。松井秀喜だ。松井は巨人時代、自分と本塁打王を争っているライバルを味方の投手が敬遠するのを外野から眺めながら「勝負しろよ」と思っていたという。

「日本のプロ野球がああいう歴史をつくってしまった。だから、しょうがないんですけど、僕は納得してなかったですよ。個人にタイトルを取らせるためにああいうことをするのは。野球はそういうスポーツではない」

 でも松井も言わなかった。いや、言えなかったのだ。自分のためにやってくれているというのもある。そして、そうまでしてもタイトルが欲しいという思いがまったくなかったと言えば嘘になるだろう。

■「ショウガナイ」を解消する確実な方法。

 ラミレスや松井の話を聞き、こうした慣習が日本球界から消えることは未来永劫ないのではないかと思った。

 ただし、ラミレスが語った2つ目の「ショウガナイ」を解消する方法は確実にひとつある。誰かが記録を塗り替えればいいのだ。

 27日、バレンティンが2本塁打し50本の大台に乗せた。残りは33試合。このままのペースでいけば悠々55本をクリアしそうな気配だ。

 大事なのは「悠々」超えることだ。バースも、ローズも、カブレラも、残り数試合まで記録達成を引っ張った。そこで対戦した「関係者球団」は半ば、やらざるをえなくなってしまったのだ。日本人の総意として――。

 セ・リーグの中で「関係者球団」と言えるのは巨人だけだ。だが残り十数試合もあるのにさすがに敬遠はできまい。

 とにかく一気に抜き去ることだ。そうすれば、日本人の総意という見えない壁は崩壊する。



気ままなタカポヨブログ


(「野ボール横丁」中村計 = 文)