「ヨシさん、昨日のアライバルのゲストなんですけど、ちょっとマズイ事になってます。」
と、ハイアットリージェンシーワイキキのツアーデスクから電話連絡が入った。のどかなホノルルの午後だった。
「どしたの?」
「子供さん2人をお部屋に置き去りにして、ご夫婦でどっか行っちゃったみたいです。」
「あらら。マズイということは、警察沙汰?」
「はい。責任者に立ち会って欲しいって…」
佐藤さんご家族のお部屋は、ハイアットの高層階、オーシャンフロント。
お客様のプロファイルを確認する間もなくその部屋へ急行した僕を待っていたのは、ホノルル警察のオフィサー2名。ドアを塞ぐように立ちはだかっていた。
名刺を渡して簡単な自己紹介を済ませ状況を伺うと、ご両親はまだ戻って来ていないとのこと。
脇に控えていたハイアットのセキュリティーオフィサーが説明してくれた。
ホテル周辺を定期巡回していた時、この部屋のラナイ(ベランダ)で小さな子供が2人遊んでいるのを発見、しばらく観察していたが大人の動きが全く見えなかったため、直接確認することにした。
お部屋をノックしても応答がないため、ドアを開けたところ、室内にはその2人の子供(4歳と6歳)のみであることが分かった。
ゲストの許可なしではあるが、子供の安全を第一優先とし、ホテル側で一時的に保護する措置が取られた。
ここからがアメリカなんだけど、この状況は多くの州で「犯罪」として扱われる。
ハワイ州も、「児童虐待及び放棄または放置」に関して、ものすごく厳格に反応する。
結果、僕がホテルに到着してから小1時間くらいの後、たくさんの買い物袋を抱えて佐藤夫妻が帰って来た。そして部屋の前にいる我々を訝しげに見た。
そして、ホテル側の通訳を介した状況説明がなされ、彼等はそのままホノルル警察へと連行された。
数時間後、ダウンタウンに程近いホノルル警察署で、僕は佐藤夫妻と面会が許された。隣には日本領事館の担当者が同席していた。
憔悴しきった様子のご夫妻。
「子供たちはどうなっているのでしょう?」
「ハイアットさんが保護してくれてますからご心配には及びませんよ。」
「私たちはどうなっちゃうんでしょう?」
「残念ながら、警察側はお2人を起訴する様子です。今日は一旦ホテルに戻ることが出来ますが、明日指定された時間に裁判所へ出廷しなくてはなりません。」
「犯罪者になっちゃうんでしょうか?!」
泣き崩れる佐藤夫人…
翌朝、ホテルでご夫妻をピックアップし、僕はダウンタウンのホノルル地方裁判所へ向かった。
一晩休んで少しは冷静になったのであろう佐藤さんと、以下のような会話があった。
「子供を置いて買い物に行くと警察に捕まるなんて、日本でも現地でも旅行会社からは全く説明がありませんでしたよね。あなた達はどう責任取ってくれるの?」
「佐藤さん、それは責任転嫁が過ぎませんか?」
「納得いかない。説明してくれてたら犯罪者にならずに済んだはず。日本じゃ考えられないよ。」
「佐藤さん、あなたのお子さんは、放っておかれてベランダで遊んでたんです。ご一緒だったら危ないと注意しますよね?昨日お買いものに行かれている間にもし彼らが転落してたら、同じ事を仰るんでしょうか?外国の法律や、他所の責任所在を議論する前に、親としてのモラルの問題を考えるべきじゃないですか?」
「でも…」
「なにより、今から出廷して一番大切なのは、ご自身が猛省しておられる点を分かってもらうことなんです。最悪の場合、お子様の管理能力を疑われ、今度は当局にお子様が保護されてしまうことも考えられるんです。それだけは回避する努力をしませんか?」
車中は堂々巡りだった。
この方は、レンタカーで誤って左側を走って事故を起こしたら、ハワイは右側通行なんて旅行会社は教えてくれなかった!と迫るんだろうなと想像した。
裁判所では、領事館の方がとても上手に立ち回ってくれ、裁判官の前で素直に罪を認めることによって、罰金を支払う形でケースクローズとなった。が、程度の差はあれ犯罪履歴がついたのは間違いないと思う。
2日後のご家族の帰国日、僕はホテルへお見送りに行った。
日本の旅行代理店へも事の顛末はレポートしてあるので、もし今後何か必要な事柄があるようだったら連絡頂けるようお伝えして送り出した。
それから佐藤ご夫妻から何も聞こえてこない。
と、ハイアットリージェンシーワイキキのツアーデスクから電話連絡が入った。のどかなホノルルの午後だった。
「どしたの?」
「子供さん2人をお部屋に置き去りにして、ご夫婦でどっか行っちゃったみたいです。」
「あらら。マズイということは、警察沙汰?」
「はい。責任者に立ち会って欲しいって…」
佐藤さんご家族のお部屋は、ハイアットの高層階、オーシャンフロント。
お客様のプロファイルを確認する間もなくその部屋へ急行した僕を待っていたのは、ホノルル警察のオフィサー2名。ドアを塞ぐように立ちはだかっていた。
名刺を渡して簡単な自己紹介を済ませ状況を伺うと、ご両親はまだ戻って来ていないとのこと。
脇に控えていたハイアットのセキュリティーオフィサーが説明してくれた。
ホテル周辺を定期巡回していた時、この部屋のラナイ(ベランダ)で小さな子供が2人遊んでいるのを発見、しばらく観察していたが大人の動きが全く見えなかったため、直接確認することにした。
お部屋をノックしても応答がないため、ドアを開けたところ、室内にはその2人の子供(4歳と6歳)のみであることが分かった。
ゲストの許可なしではあるが、子供の安全を第一優先とし、ホテル側で一時的に保護する措置が取られた。
ここからがアメリカなんだけど、この状況は多くの州で「犯罪」として扱われる。
ハワイ州も、「児童虐待及び放棄または放置」に関して、ものすごく厳格に反応する。
結果、僕がホテルに到着してから小1時間くらいの後、たくさんの買い物袋を抱えて佐藤夫妻が帰って来た。そして部屋の前にいる我々を訝しげに見た。
そして、ホテル側の通訳を介した状況説明がなされ、彼等はそのままホノルル警察へと連行された。
数時間後、ダウンタウンに程近いホノルル警察署で、僕は佐藤夫妻と面会が許された。隣には日本領事館の担当者が同席していた。
憔悴しきった様子のご夫妻。
「子供たちはどうなっているのでしょう?」
「ハイアットさんが保護してくれてますからご心配には及びませんよ。」
「私たちはどうなっちゃうんでしょう?」
「残念ながら、警察側はお2人を起訴する様子です。今日は一旦ホテルに戻ることが出来ますが、明日指定された時間に裁判所へ出廷しなくてはなりません。」
「犯罪者になっちゃうんでしょうか?!」
泣き崩れる佐藤夫人…
翌朝、ホテルでご夫妻をピックアップし、僕はダウンタウンのホノルル地方裁判所へ向かった。
一晩休んで少しは冷静になったのであろう佐藤さんと、以下のような会話があった。
「子供を置いて買い物に行くと警察に捕まるなんて、日本でも現地でも旅行会社からは全く説明がありませんでしたよね。あなた達はどう責任取ってくれるの?」
「佐藤さん、それは責任転嫁が過ぎませんか?」
「納得いかない。説明してくれてたら犯罪者にならずに済んだはず。日本じゃ考えられないよ。」
「佐藤さん、あなたのお子さんは、放っておかれてベランダで遊んでたんです。ご一緒だったら危ないと注意しますよね?昨日お買いものに行かれている間にもし彼らが転落してたら、同じ事を仰るんでしょうか?外国の法律や、他所の責任所在を議論する前に、親としてのモラルの問題を考えるべきじゃないですか?」
「でも…」
「なにより、今から出廷して一番大切なのは、ご自身が猛省しておられる点を分かってもらうことなんです。最悪の場合、お子様の管理能力を疑われ、今度は当局にお子様が保護されてしまうことも考えられるんです。それだけは回避する努力をしませんか?」
車中は堂々巡りだった。
この方は、レンタカーで誤って左側を走って事故を起こしたら、ハワイは右側通行なんて旅行会社は教えてくれなかった!と迫るんだろうなと想像した。
裁判所では、領事館の方がとても上手に立ち回ってくれ、裁判官の前で素直に罪を認めることによって、罰金を支払う形でケースクローズとなった。が、程度の差はあれ犯罪履歴がついたのは間違いないと思う。
2日後のご家族の帰国日、僕はホテルへお見送りに行った。
日本の旅行代理店へも事の顛末はレポートしてあるので、もし今後何か必要な事柄があるようだったら連絡頂けるようお伝えして送り出した。
それから佐藤ご夫妻から何も聞こえてこない。