山本周五郎は長編小説作家だとずっと思っていた。

しかし、短編の中にも珠玉のものが数あることを知った。

ファンとして嬉しかった。

「日本女性の美しさは、連れ添っている夫も気づかないというところに大変美しくあらわれる・・・というそのことを小説として提示することにありました。」と評にもある。

「桃の井戸」の最後の文章をご紹介したい。

 ・・・自分にあるだけのものを夫や子供たちにつぎこむ喜び、自分のつぎ込んだものが生きていくのを見る喜び、

その喜びさえ我が物になるならば、私は幾たびも女に生まれてきたいと思う・・・・・・・・。