母親は「受験が終わってたるんでいる。毎日、財布から金を盗むような泥棒と一緒には暮らせない。」などと言うような事を叫びまくっていた。
そばで聞いていた妹は高揚して少し笑いながら赤い顔して「泥棒っ!泥棒っ!」ってうつむいている私の顔をのぞきこんで言っていた。
そっか、お母さん私とは暮らせないのか...
みんなが私の事を嫌ってるんだな。
なんて本当に深く納得しちゃってる自分がいて
もう何が悪かったことで、どうしたらいいことなのかもわからなくなった。
ただ、この時、家族が眠っているうちに、この家を出ようと決めた。
家族が眠っているうちに、この街からいなくなろうと決めた。
もう明日から始まるいつものやり過ごすだけの1日1日の生活には耐えられなかった。
友達もいない街
親からも信用を無くした私
そしてなにより、大好きだったK先生にまで迷惑な存在にしかなれなかった私
もうここに居場所なんて無かった。
もうここに存在しなきゃならない理由なんてひとつも見つからなかった。
私は家族が眠っている間で、電車で移動可能な時間を待った。
午前4時、母親の財布から最後のお金を抜いた。
もう泥棒がいる事をわかっている母親の財布には一万円しか入っていなかった。
2、3日分の着替えと一万円と携帯だけ持って私は家を出た。
駅まで自転車ならすぐだけど30分かけて歩いた。
歩いているうちに始発の電車に乗れる時間が来るだろうと思っていた。
夏休みの少し前だった。
歩きながら寒い季節じゃなくて良かったな荷物も軽くて済むし、なんて考えてた。
行くあても無かったけど一万円あればわりと遠くまで行けるのかなとかこの時は考えてた。
駅に着くとすぐに始発の電車に乗れる時間だった。
とりあえず3千円分くらいの切符を買ってまだ降りたことの無い大きな都市へと向かった。
もちろんお金なんかわずかしか無かったから各駅停車で向かってみた。
ゆっくり進む電車なのに時間を潰すあても無い私には早く感じた。
車窓から知らない街の景色を眺めながら、今頃いつもなら登校している時間だなぁとか、考えたり。
これからどうしていいのかもわからないけれど、あの日常に戻るよりはマシだなと心底思った。
あたりまえだけど電車に乗り込んでくる知らない人は私をいじめない。
駅を降りて繁華街を歩いた。
時刻はもうお昼に近かった。
ここで私は携帯電話の電源を切った。
前に何かの刑事ドラマで携帯電話のGPS機能を解除していても携帯電話番号だけで居場所を探し出せるんだとか何とか聞いた事があったから、必要な時以外は電源を切る事にした。
以前に使った事があるチェーン店のネットカフェを見つけたからとりあえずそこへ入った。
未成年はネットカフェには泊まることも出来ない事に気付いた。
夜が来るまでに何とかしなくちゃならなかった。
きっと未成年はホテルも泊まれないんだろうな。
どこへ行っても未成年は通報される気がした。
ネットで住み込みの仕事を探した。
思ったより住み込みの仕事というのはたくさんあって私は携帯の電源を入れて片っ端から電話をしてみた。
でも、16才という年齢を聞いただけで断られてしまったり、話を聞いてくれても保証人と言うのが必要だと説明され簡単には住み込みの仕事をもらえない現実にぶち当たった。
昨日までの生活に比べれば、今は少しくらい大変な仕事でも頑張れる気がしたのに、社会は未成年のぼっちは受け入れてくれないらしかった。
ものすごい無力な自分にがっかりした。
結局行くあても探し出せないまま未成年は居られない時間が来てしまった。
そしてまたお金が減ってしまった。
日が暮れてから独りで繁華街をさまよっているとだんだん怖くなってきた。
自販機でジュースを買い公園のベンチに座ってどうするか考えた。
中学生の時の友達の家を頼ろうかとも思ったけれど、ちょっと考えただけでどういう展開になるかは想像がついた。
たぶん友達の親がうちの親と話して家へ戻されるだけだった。
そんなこと考えてるだけでどんどん時間は経過して気づくともう時刻は深夜0時になっていた。
昨日から徹夜なのに、今夜は眠る場所すら確保出来なくて不安でいっぱいになった。
家を出てから私はK先生の事を忘れてるくらい何も考えていなかったし思い出しもしなかった事に気付いた。
生活に切羽詰まると人間て恋愛どころじゃないんだなぁなんて妙に納得した。
0時の公園もなんだか不気味になってきた。
大きな街の公園だからあちらこちらにカップルとか、犬を連れた人とか、人は見えるんだけど公園だから暗い。
また私は繁華街を歩く事にした。
もう時刻は深夜1時になっていた。
私は繁華街にあるビルとビルの間にある人が一人通れるくらいの狭い空間にうずくまっていた。
大きなゴミ箱がいくつも並べて置いてあるその空間は人通りがあるわけでもなく、ビルにぽっかり開いた穴みたいに暗かったけど。
ここなら誰にも気づかれないかもしれないと思った。
今夜はここで眠ってしまおうと。
疲れきっていたので体育座りの状態で膝に顔を埋めて私はうとうとしていた。
そばで聞いていた妹は高揚して少し笑いながら赤い顔して「泥棒っ!泥棒っ!」ってうつむいている私の顔をのぞきこんで言っていた。
そっか、お母さん私とは暮らせないのか...
みんなが私の事を嫌ってるんだな。
なんて本当に深く納得しちゃってる自分がいて
もう何が悪かったことで、どうしたらいいことなのかもわからなくなった。
ただ、この時、家族が眠っているうちに、この家を出ようと決めた。
家族が眠っているうちに、この街からいなくなろうと決めた。
もう明日から始まるいつものやり過ごすだけの1日1日の生活には耐えられなかった。
友達もいない街
親からも信用を無くした私
そしてなにより、大好きだったK先生にまで迷惑な存在にしかなれなかった私
もうここに居場所なんて無かった。
もうここに存在しなきゃならない理由なんてひとつも見つからなかった。
私は家族が眠っている間で、電車で移動可能な時間を待った。
午前4時、母親の財布から最後のお金を抜いた。
もう泥棒がいる事をわかっている母親の財布には一万円しか入っていなかった。
2、3日分の着替えと一万円と携帯だけ持って私は家を出た。
駅まで自転車ならすぐだけど30分かけて歩いた。
歩いているうちに始発の電車に乗れる時間が来るだろうと思っていた。
夏休みの少し前だった。
歩きながら寒い季節じゃなくて良かったな荷物も軽くて済むし、なんて考えてた。
行くあても無かったけど一万円あればわりと遠くまで行けるのかなとかこの時は考えてた。
駅に着くとすぐに始発の電車に乗れる時間だった。
とりあえず3千円分くらいの切符を買ってまだ降りたことの無い大きな都市へと向かった。
もちろんお金なんかわずかしか無かったから各駅停車で向かってみた。
ゆっくり進む電車なのに時間を潰すあても無い私には早く感じた。
車窓から知らない街の景色を眺めながら、今頃いつもなら登校している時間だなぁとか、考えたり。
これからどうしていいのかもわからないけれど、あの日常に戻るよりはマシだなと心底思った。
あたりまえだけど電車に乗り込んでくる知らない人は私をいじめない。
駅を降りて繁華街を歩いた。
時刻はもうお昼に近かった。
ここで私は携帯電話の電源を切った。
前に何かの刑事ドラマで携帯電話のGPS機能を解除していても携帯電話番号だけで居場所を探し出せるんだとか何とか聞いた事があったから、必要な時以外は電源を切る事にした。
以前に使った事があるチェーン店のネットカフェを見つけたからとりあえずそこへ入った。
未成年はネットカフェには泊まることも出来ない事に気付いた。
夜が来るまでに何とかしなくちゃならなかった。
きっと未成年はホテルも泊まれないんだろうな。
どこへ行っても未成年は通報される気がした。
ネットで住み込みの仕事を探した。
思ったより住み込みの仕事というのはたくさんあって私は携帯の電源を入れて片っ端から電話をしてみた。
でも、16才という年齢を聞いただけで断られてしまったり、話を聞いてくれても保証人と言うのが必要だと説明され簡単には住み込みの仕事をもらえない現実にぶち当たった。
昨日までの生活に比べれば、今は少しくらい大変な仕事でも頑張れる気がしたのに、社会は未成年のぼっちは受け入れてくれないらしかった。
ものすごい無力な自分にがっかりした。
結局行くあても探し出せないまま未成年は居られない時間が来てしまった。
そしてまたお金が減ってしまった。
日が暮れてから独りで繁華街をさまよっているとだんだん怖くなってきた。
自販機でジュースを買い公園のベンチに座ってどうするか考えた。
中学生の時の友達の家を頼ろうかとも思ったけれど、ちょっと考えただけでどういう展開になるかは想像がついた。
たぶん友達の親がうちの親と話して家へ戻されるだけだった。
そんなこと考えてるだけでどんどん時間は経過して気づくともう時刻は深夜0時になっていた。
昨日から徹夜なのに、今夜は眠る場所すら確保出来なくて不安でいっぱいになった。
家を出てから私はK先生の事を忘れてるくらい何も考えていなかったし思い出しもしなかった事に気付いた。
生活に切羽詰まると人間て恋愛どころじゃないんだなぁなんて妙に納得した。
0時の公園もなんだか不気味になってきた。
大きな街の公園だからあちらこちらにカップルとか、犬を連れた人とか、人は見えるんだけど公園だから暗い。
また私は繁華街を歩く事にした。
もう時刻は深夜1時になっていた。
私は繁華街にあるビルとビルの間にある人が一人通れるくらいの狭い空間にうずくまっていた。
大きなゴミ箱がいくつも並べて置いてあるその空間は人通りがあるわけでもなく、ビルにぽっかり開いた穴みたいに暗かったけど。
ここなら誰にも気づかれないかもしれないと思った。
今夜はここで眠ってしまおうと。
疲れきっていたので体育座りの状態で膝に顔を埋めて私はうとうとしていた。