コンサルタント会社マッキンゼーの調査部門であるマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)によると、民間投資が国内総生産(GDP)に占める比率は2007年から11年にかけて米国で3.4%、日本で3.8%、欧州連合(EU)加盟27カ国で2.9%それぞれ低下した。
この3カ国・地域のGDPの内訳で、これほど急激に落ち込んだ項目は他にはない。投資は成長の元になるものであり、これから不吉なことが起きる可能性がある。
特に欧州は民間投資が07年と比べて15%近くも減少した。27カ国の中でこの間に民間投資が増えたのはポーランドだけで、スペインとアイルランドはそれぞれ27%と64%の落ち込みを記録。英国やフランスでも大幅に減少した。
MGIは欧州での民間投資の落ち込みについて「足元のGDPの伸びを押さえつけるだけでなく、欧州地域の経済的な能力にとって長期的な打撃になり得る」と分析した。
企業が投資に積極的になれないのは当然とも言える。米国は税制や歳出の先行きが不透明で、ユーロ圏は将来に疑問が持たれ、日本は人口が減少している。80年ぶりの深刻な景気後退の後に経営者が投資拡大の前にいったん立ち止まるのに十分な理由がそろっている。
しかし別の見方からすれば、民間投資のこれほどの落ち込みぶりは不可解でもある。企業は大量のキャッシュを抱え込んでおり、米国、日本、カナダの3カ国ではGDP比で見た企業利益は大幅に伸びている。
<欧州の回復遅れ>
MGIによると、ドイツ、ベルギー、オーストリア、スウェーデンは民間投資が金融危機前の水準にほぼ回復したが、EU全体でみると回復のペースが過去の景気後退時の平均と比べて大きく遅れている。ギリシャとスペインは昨年末時点で、まだ民間投資が増加に転じ始めていなかった。
HSBCのエコノミストのスティーブン・キング氏とマドゥア・ジハ氏は英国やドイツについて、企業利益と投資の低迷は税負担の増大と長引く景気低迷が原因と指摘した。ただ、こうした分析は米国や日本の低迷には当てはまらない。
そこでキング氏とジハ氏は、多国籍企業が資本をより魅力的な新興国市場に振り向けているという仮説を立てている。この説が正しければ、経済の重心が西から東に移りつつあるという新たな例証となる。
両氏はリポートで「旧世界は危機後にあまたの不透明感に対処せざるを得なくなっており、世界経済は広範な再編の時代に入りつつある。そこでは経済のゲームの古いしきたりは弱まる」と指摘した。
<活性化への道>
ロンドンでコンサルタント会社を経営するアンドルー・スミザーズ氏は、米国と英国では経営者の報酬が株主の短期的な利益に連動しており、工場や設備への長期的な投資を促す誘因を欠いていると以前から主張している。
同氏は顧客に対して「両国の賞与制度は、投資ではなく高い利幅の維持に対して支払われる仕組みになっている」と述べた。改革が必要だ。
政府の予算が厳しくなり、発電や運輸などインフラ分野にいかに民間投資を呼び込むかという議論が活発になっている。英国は自動車道路の有料化について、道路運営を委託された民間会社による投資を引き出すため、対象範囲をさらに広げることを検討中だ。
ブリュッセルのシンクタンク、ブリューゲルのゲオルグ・ザクマン氏は、金融危機後にインフラ投資のリスクが高まっている問題に対して公的金融機関による一時的な関与を唱えている。EU全体では、最大2億3000万ユーロの政府保証付きプロジェクト債を発行する試行プログラムにより、借り入れコストが低下する可能性があると同氏は付け加えた。
MGIは役所の煩雑な手続きを簡素化することで欧州の設備投資を大幅に加速できるとしている。例えば規制面の障壁が撤廃されれば、空港インフラの拡張に民間投資を導入することが可能だという。
MGIはまた、既存建物の改修や、欧州の2020年のエネルギー目標達成に役立つ新築建物のエネルギー効率改善などが、年間370億ユーロ程度の投資につながる可能性があるとみている。
小売り分野では店舗設営に関する規則によって経営効率の良い大規模店舗の展開が制限されており、建設業では複雑な品質規格でプロジェクトの効率が悪くなり、費用が割高になっている。
MGIは「マクロ経済改革とともにマクロ経済政策を手直しすることは、確実に企業の投資計画を大規模に復活させ、力強い回復につなげる助けになり得る」と結論付けている。
(Alan Wheatley記者)
関連記事
ノロウイルス90代女性死亡 集団感染か 前橋
愛知県の金山駅周辺の自転車屋。
大津いじめ 同級生2人を書類送検へ 暴行容疑などで
中国が都市化整備に570兆円、韓国が技術輸出で参与へ=韓国報道
洋楽好きな人って邦楽をバカにしてる人が多くてムカつきませんか?





