箱庭に眠る魔獣の寝言
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双子の棺 第二話

双子の兄は名を叢真(そうま)と言い、妹は名を美麗(みれい)と言いました。

二人は17まで、双子であることを知らされず育ってきて、18の時とある事がきっかけで互いの存在に気付きました。

今二人はともに22歳ですが、18までの互いの生活は話さない限り、全く知らないので双子と言ってもまだ少しよそよそしさが出たりする有様。

なので、妹の美麗の問題にも叢真は知る由もありませんでした。

その美麗の問題とは、美麗の精神から来るものでした。
ある日、美麗と叢真が家のリビングでテレビを見ていると突然、美麗が何も言わずにチャンネルを変えてしまいました。

突然のことに驚いた叢真は、「美麗…!?」と呼ぶと、美麗は何?というような顔で、叢真を見るとすぐテレビに顔を向けていた。

一瞬動揺していた叢真も、冷静になりもう一度「美麗どうしたの…?」と美麗に声を掛けると、今度は普通に「何がぁ?」と返事をするのだった。

叢真は何だという訝しげな思いを消せなかったが、美麗の態度が変わりないのを悟り、それに安堵してか再び変えた番組を二人で見ていた。

しかしこの出来事は、叢真がこの時もう少し深入りするべきであった。
なぜなら彼が今後、美麗との付き合いに出てくる事態を、もっと上手く対処できたかも知れないからだ。

そんな未来を考えることもなく、二人はまた新しい日を迎えるのだった。

つづく

双子の棺(不定期小説)

双子の兄妹がおりました。
兄は全てを識る者として。
妹は全てを魅了する者として存在しています。

二人は別の身体から産まれましたが、魂は一つの存在でした。
二人の趣味思考はほぼ同じで、お互いの考えは阿吽の呼吸で伝え合えるほど、以心伝心が完璧でした。

しかし、妹には大きな問題がありました…。

時間

永遠を持ちながら、戻ることが許されない。

同じ時に生きながら、誰も同じ時間を共有できない。
時間は個のモノであり、全てのモノが持っている。

始まりもなく終わりもない。
どこからが始まりでどこで終わりかも分からない。

そんな世界で私は生きている。
与えられた少ない時間の中で、遙かに長い時の中で。