私は自宅に戻りました。
 姉は仕事の合間を縫って、母のケア、精神科医との面談を続けました。
 ほとんど週末は実家に行き、精神科受診の時は有給で付き添いました。

 父は鬱病がどういうものか、医者の説明でその場は分かったような返事をしても、結局全く理解出来ていない状態。
 外に連れ出して、楽しい事、面白い事を体験すれば気分が上がって治る、元気になる、そう捉えていました。

 治療方法を医者と相談して父に提案しても、母が嫌がることは一切させない父。可哀想だから、と前向きではない。
 本来寝たきりな状態ではないはずの母。そして不安に囚われ怯える母。姉がいなくなる事に恐怖を覚える母。
 まだまだ人生が楽しめる年齢。なのに鬱病で、寝たきり介護生活に突入しつつある母と、鬱に理解がなく、治療に前向きではない父。
 父と姉のバトルが起きます。
 多分父の甘さも母の病を悪化させる原因の一つだったと思います。

 それでも医者との話し合いで、入院、そして電気治療を受けることになりました。

 癌の病院を退院して数ヶ月が過ぎていました。