いよいよ師走。師走と言えば
紅白歌合戦…!違う!違う!。
第九だ!
ベートーヴェン作曲
交響曲第九番D-moll.op125。
「合唱付き」。
第九に付いては先述した通り
日本人はやたらと好きである。
赤字続きのクラシックコンサート。
だが、年末の第九の公演だけは
超満員となる。
オーケストラの救済事業の様相を
呈する始末。でも良い。
何しろ音楽史上に輝く
名曲中の名曲なのだから。
【年末に第九】日本だけの現象。
大いに結構である。
だが、ベートーヴェンは
第九だけではない!。当然だ。
あらゆる作品形態において
名だたる名作を書き残している。
ヴァイオリン・ソナタA-dur.op47。
「クロイツェル」もその一つだ。
因みにこの曲も第九番である。
そして、この曲こそ彼が古典から
ロマン主義への芸術的思考を
その架け橋として体現する魅力と
輝きを持ったページェントなので
ある。創作時期は
第三シンフォニー「英雄」や
「ワルトシュタイン」
「アパショナータ」等の
ピアノ・ソナタとほぼ同時期。
極めて個性的で革新的、豊かな
楽想、こうした孤高の
そして高度な芸術的内容は
上記の並行創作曲との関連を
考えれば容易に想像の
出来るところだ。
ベートーヴェンはこの作品の
初稿出版に際し、譜面の表紙に
こう記した。
【極めて協奏風のスタイルで
書かれたヴァイオリン助奏
付きのピアノの為の…。】っと。
これはヴァイオリン・ソナタ
である。しかし、ピアノが重要な
役割を担う。
まさにヴァイオリンの
オヴリガート付きピアノ・ソナタ
と言っても過言ではなかろう。
壮大なスケールと、より繊細で
美しい楽想。素晴らしい。
これはもう
聴いてみなければわからない。
どんな言葉による表現も
もどかしい。あがきだ。
ベートーヴェンの芸術を
知るには一聴体験に勝るものは
ない。
さあ!。ヴァイオリン・ソナタ
第九番「クロイツェル」。
聴いてみるしかありますまい。
(ルチアーナ筆。)
★表題の「クロイツェル」だが
これはベートーヴェンが今作品を
献呈した、当時ウィーンに滞在中
であり、その間ベートーヴェンと
交流を深めたヴァイオリニスト、
ルドルフ・クロイツェルの名に
由来する。大変、高貴で気品に
満ちた佇まいを持った教養豊かな
しかも謙虚な人物であったそうで
ベートーヴェンはその優れた演奏
と共に彼の人間性を大いに讃えたと
伝えられている。