赤金は「抱きかかえる」と言ったのか?言われてみると、さっきから大腿四頭筋辺りにザラザラとした手触りがあった。走っている時に溢れ出た汗で触っているので、ギトギトしてたりヌメヌメした手触りもあって妙な違和感があった。だが、そんな事より自分と同年代くらいの赤金に思いっきり太股の素肌を触られてるので、急に顔が赤く染まる。凄く恥ずかしかった。いくらなんでも、これは耐えられない。いつも冷静を貫き通してる私が取り乱す程に赤色に染まり切っていた。湯気が出るくらいには一気に体温が上昇している。私は恥ずかしながらも耐え、今の状況を赤金に問いかけてみる。
「赤金…お前、逃げなかったのか?」
「貴様を置いて一人で逃げられるか!もし、貴様を置いて俺一人だけで逃げたら後悔のあまり、会長に顔向け出来ん!それに、貴様も俺らMPKの一員なんだぞ!見殺しになど、出来るか!」
「赤金…お前、私の事をそういう風に思っていて…。」
「かっ…勘違いするんじゃないぞ!会長に顔向け出来ないから助けたんだ!貴様がMPKの一人だから助けたんだ!別に貴様が…個人的に…す…好きだとか、自分の感情に流されて…助けた訳では…ないんだからな!」
「………。…はぁ…。」
「何だよ…その溜め息は!貴様が俺にとって…必要な存在とでも…思ったのか!」
「いや…べっつに~何にも…。…全然…。」
私は赤金を好きだと思っている。だが、もう少し素直になって欲しい。なぜこんな格好良い場面で格好良い台詞を言う時にヒロインの好感度を激減させるような事を言うかなぁ。
私には全くもって疑問だ。赤金も照れ隠しせずドストライクで言っちゃった方が良いと思うんだが…。そうすると、私が胸キュンして赤金の事が他の誰よりも好きになると思う。
…あぁ、少し照れ臭いが、やはり言ってしまおうか…。赤金の事が…今までずっと…好きだったと…。私も人の事が言えんな。恋愛事になると、どうにも「本当の自分」を閉ざしてしまう。もどかしいなぁ…立ち往生してるような、この気持ちが。私が物思いに耽っていると、赤金が私の黄昏モードを邪魔してきた。
「おい、麗美!あいつらからはもう、遠のいた。」
「なっ何!?それは本当なのか!?」
「はぁ!?当たり前だよ!貴様、ちゃんと見てないのか!貴様、本当は馬鹿なんじゃないのか!」
「ばっ…そこまでか…。本当なのか…?」
確認の為、後ろを見るとさっきまで追いかけていたであろう化け物共が距離が広くなるうちに、次第に諦め戻っていく姿が見えた。まぁ、これでゆっくり逃げられるが、もうほとんど力が入らない。出血してから結構時間が経ってしまった。赤金が左手でしっかりと押さえているが、いつまで保つか分からない。まさに死の瀬戸際だ。そんな私の死の焦りとは裏腹にゆっくりとスピードを落とし、宮白から遠く離れた草原に止まる赤金。なぜ、ここで止まったのか、聞いてみようと思う。