[一部の作品のネタばれがあります]

[ネットのみで調べた仮説なので勘違いがあるかもしれません]

 

 

 

(追記 2025年7月14日に投稿)

この仮説も発表するのに悩みました。
同じ里見八犬伝が元になっていても、作品ごとに住み分けができていて、

「うちはうち、よそはよそ」となっている状況だと思ったからです。
この状況の中で、複数の作品を調べて分析することは、

これを知った方々からの「自分が知っている・好きな作品と他の作品と一緒にするな!!」と言う
怒りやあきれが出てくると思い込んだからです。
枝葉末節に近い仮説ですが、参考程度に読み聞きしてください。

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(ここからは、2025年7月9日20時52分10秒に投稿)

 

ふと考えてみたら、里見八犬伝の八犬士(犬塚信乃(しの)戍孝(もりたか)・犬村大角(だいかく)礼儀(まさのり)は除く)の全員か過半数が

物語の最後以外で女性のみと恋愛関係(八犬士か女性が片思い・両想い)になる場合、

女性同士が親しくなる設定の作品があまりないです。

 

・犬川荘助と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)が 

 浜路・浜路姫と親しい・親しくなる

 

・犬飼現八と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)が 

 犬村大角と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)と親しい・親しくなる

 

犬田小文吾と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)が

 浜路・浜路姫・犬江親兵衛と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)

・犬村大角と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)と親しい・親しくなる

   注:ただし犬田小文吾と恋愛関係になる・恋愛関係に近い関係の相手が

   犬坂毛野の場合、浜路・浜路姫と関わりがあることが多いです。(例:親しくなる・敵対するなど)

 

・犬江親兵衛と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)が

 浜路・浜路姫・犬田小文吾と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)と親しい・親しくなる

 

これらの条件があう作品はわずかです。

 

原作では八犬士たちは、伏姫の弟である里見義成(よしなり)の娘八人結婚します。

これを基にした作品でも上に書いた条件にあうのはわずかです。

 

 

なお、

条件にあっている作品については、作品の名前は出していません。

その理由は、

・作品自体が発表・投稿当時はあまり有名ではなかった。

(ウェブで投稿されていた作品の場合はアクセスの数や感想の数から考えました。)

・恋愛対象が伏線となっている作品がある。

・恋愛がメインテーマではない。(サブテーマの一つでしかない)と思っている作者さんや製作者さんたちがいるかもしれない。

・恋愛目線で作品を取り上げられたくないと思っている作者さんや製作者さんたちがいるかもしれない。

 

皆さんには大変申し訳ないのですが、条件に合っている作品については作品の名前を出さないでほしいです。

いわゆる「におわせ」もしてほしくないです。

 

ちなみに

里見八犬伝とは題名にはついていない作品や、 

オマージュの作品の中にも条件にあったのがありました。

しかし、あてはまるキャラクターが複数の登場人物をモデルにしているために、

場合によっては考察となることや論争となることがあります。(確実)

よって作品名は出さないと決めました。

 

理由は上に書いた文章のとおりです。

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(参考)

八犬士の結婚相手の系図

注: 青は男性・赤は女性です。 

「○○姫」と名前のある登場人物は、全員伏姫の弟である里見義成(よしなり)の娘たちです。

子供たちの名前は全員表示はしていません

 

 

 

 

 

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ここからは私の考察です。 箇条書きにしてみました。

 

原作の最後に出てきたことでのちの時代に非難・批判が一部で出てきた

→モブのキャラクターに自分の好きなキャラクター(推し)が取られた・奪われたと思った。

 

二次創作で、もともとの作品の登場キャラクターとオリジナルキャラクター(オリキャラ・いわゆる「夢主」)が

恋愛関係や恋愛関係に近い関係となる作品があります。

二組以上の、もともとの作品の複数の登場キャラクターとオリジナルキャラクター(オリキャラ・いわゆる「夢主」)の

恋愛関係や恋愛関係に近い関係となる作品はあまり多くはありません。

二組以上の恋愛関係や恋愛関係に近い関係の場合、

もともとの作品の公式でのカップルか、もともとの作品の登場キャラクター同士で創作で作ったカップル

(いわゆる「非公式カップル」)が大多数です。

 

これを里見八犬伝や派生・アレンジした作品に出てくる登場キャラクターであてはめてみました

すると少ない理由が考察できたように思います。

 

いわゆるBL(ボーイズラブ)防止ではないか?

 

犬塚信乃と犬村大角は、もともとは女性だったのではないかという説があるからです。

男性となったのでBL(ボーイズラブ)やブロマンスの関係や、それに近い関係になってしまったのではないか。

これはなぜかというと 犬塚信乃と犬川荘助 犬飼現八と犬村大角 の二組は

恋愛関係または恋愛関係に近い関係の作品では知名度が高いからです。

原作通りの関係にすると、彼らと恋愛関係(本人か女性が片思い・両想い)となる女性たちを

利用しただけではないかという批判や非難が出てきたのではないでしょうか。

 

それで、

犬塚信乃と犬川荘助 犬飼現八と犬村大角と結婚した、

里見義成(よしなり)の娘たちはモブで、本物の女性だけとの理由で出てきただけ。

→犬塚信乃と犬村大角がもともと女性だったのに作者のせいで男性にされた。

→モブキャラクターに自分の好きなキャラクター(推し)が取られた・奪われたと思った・邪魔だと思った。

→それなら、女性同士の関係を薄くしてしまったらいい。

という考えが出てきたのではないか・・

 

注:八犬士の一部が、女性だったという考察のサイトの紹介

・Wikipedia

(引用) 南総里見八犬伝 出典と解釈より

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%B7%8F%E9%87%8C%E8%A6%8B%E5%85%AB%E7%8A%AC%E4%BC%9D#%E5%87%BA%E5%85%B8%E3%81%A8%E8%A7%A3%E9%87%88

八字文殊曼荼羅

高田衛が提唱。獅子(=八房)に騎乗する文殊菩薩(=伏姫)のイメージ(八字文殊菩薩)が投影されているとする。

この説によれば「八犬士のうち二人が女装して登場する理由」は、

文殊菩薩に従う八大童子のうち二人が比丘(女児)であることに求められ、

「犬士の痣が牡丹である理由」は牡丹の匂いが獅子(=八房)の力を抑える霊力があることで説明される。

また、後半に現れる政木大全が「準犬士」として遇されるのは文殊菩薩の従者である善財童子が投影されているためとされている

(注 二人の女児とは、犬塚信乃と犬坂毛野のことです。)

 

・サイト 「冨地晃裕-八犬伝雑文-」 https://bakin-1767.wixsite.com/mysite

管理者 「冨地晃裕」さん

[馬琴-江戸のホモ・ルーデンス] (PDFで表示されています) 投稿 2020年

https://790072b8-9333-4738-b49f-ea058658b2fa.filesusr.com/ugd/03cf48_35d26adfcc37479697bd1440a157494c.pdf

(この文章はR-15相当のことが書かれています)

[1章 暗号としての名詮自性] [5章 虚実] [9章 犬・八犬士とその周辺] [10章 図像を読む]

[八犬伝関連雑文3](PDFで表示されています)

https://790072b8-9333-4738-b49f-ea058658b2fa.filesusr.com/ugd/03cf48_ba5967e3d75b4e798da65ee3f2128a68.pdf

(この文章はR-15相当のことが書かれています)

 

これらの考察によると、犬塚信乃と犬坂毛野と犬江親兵衛と犬村大角はもともと女性だったという説が載っています。

なので、里見八犬伝の冒頭の挿絵の子供たちは、

高田衛さんが唱えていた六人の男児と二人の女児ではなく、四人の男児と四人の女児である。

 

・サイト [海南人文研究室] https://dokuhon.bakin-g.info/ 

運営者「伊井暇幻」さん

犬塚信乃と犬村大角はもともと女性だったという考察が載っていますが、

R-18相当のことが書かれているので引用できません。

 

4:

ちなみにこのブログで一番目に投稿した

「里見八犬伝の八犬士(ただし二人は除く)が物語の最後以外で女性のみと恋愛関係となる場合と作品」のなかで

題名通りの設定の作品が少ない理由の考察をしましたが、これと似ているのかなと思いました。

 

・原作の登場キャラクターが多いのでオリジナルキャラクターを考えることで、手間がかかる。

・原作の最後に登場したからこそ色々と想像ができるのに、

 それ以外で登場・活躍すると作者・製作者の考えが出てきて、想像の範囲が限られていく。

・オリジナルキャラクターを登場・活躍させることで一部の読者・視聴者・観客・プレイヤーなどが非難・拒否・拒絶をする。

・原作の最後に出てきたことでのちの時代に非難・批判が一部で出てきた

 →モブのキャラクターに自分の好きなキャラクター(推し)が取られた・奪われたと思った。

・原作の最後に出てきたことでのちの時代に非難・批判が一部で出てきた→なぜ八犬士を結婚させる必要があるのかという考え。

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犬塚信乃と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)が、

犬村大角と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)と親しい・親しくなる

この場合でもわずかにしかありません。

原作では犬村大角は、三女鄙木(ひなき)姫と結婚 犬塚信乃は五女浜路姫と結婚します。

二人は同母姉妹ですが、この設定でも二人が親しい・親しくなるという作品はわずかです。

 

ここからは私の考察です。

・これは原作のとある出来事(以下の文章で説明します。)が、

後の派生・アレンジした作品ではある程度変えられているからではないかと。

そのことで、

犬塚信乃と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)が、

犬村大角と恋愛関係になる女性(本人か女性が片思い・両想い)と親しい・親しくなる

という作品がわずかになったのではないかと。

 

その出来事とは、

犬村大角は原作ではいとこである雛衣(ひなきぬ)(母の兄の一人娘)と結婚しています。

(のちに出た考察で諸説ありますが、世間体では夫婦です。)

ちなみに、犬村の苗字は叔父(母の兄)の姓です。(すなわち婿養子)

 

けがをした父親の赤岩一角と妻(大角からしたら義理の母)である船虫と彼の弟子たちが、大角夫婦の家を訪ねていきます。

そこで、父親は、けがを治すためには、雛衣が必要だといいます。

その理由が、R-15相当なので児童向けの作品では省略されています。

大角はその提案を受け入れます。

雛衣は実行し、結果的に亡くなりますが、

これが父親と父親の弟子を倒すきっかけとなったのでした。

 

ちなみに

この出来事に、まだ見つかっていない八犬士を探していた犬飼現八が深くかかわります。

それは、

・大角の父、赤岩一角のけがの原因と彼に関する秘密

・大角と協力して、赤岩一角の弟子たちを倒す

・すべてが終わった後、現八と一緒に旅に出る→現八とよく共に行動することが多い

・後にお互いの子どもが結婚する

 

後になってある考察が出てきました。

それは、

「犬村大角は雛衣を愛していたのか?愛していなかったのか?」

その理由は、「父親の孝行のために妻を犠牲にしたのではないか?」という疑問が出てきたからだそうです。

 

 その根拠となったサイトの紹介です(すべて、R-15相当のことが書かれています)

 

・サイト「白龍亭」 管理人「おぱく堂」さん(「保護されていない通信」が表示されています)

[大角、心の闇] 投稿 2000年  http://opaku.la.coocan.jp/hakkenden/jadoku13.html

 [追記:2025年10月にサイトが移転しました。

https://opaku.la.coocan.jp/hakkenden/jadoku13.html (「この接続は保護されています」が表示されています)]

 

・サイト「伏姫屋敷」 管理人「ゆーか」さん (「保護されていない通信」が表示されています)

[大角は雛衣を愛していたか?] 投稿  2004年7月11日 http://fusehime.la.coocan.jp/no191.htm

[追記:2025年10月にサイトが移転しました。 

https://fusehime.la.coocan.jp/no191.htm (「この接続は保護されています」が表示されています)]

(参考・参照)

サイト 「冨地晃裕-八犬伝雑文-」 https://bakin-1767.wixsite.com/mysite

管理者 「冨地晃裕」さん

[馬琴-江戸のホモ・ルーデンス] (PDFで表示されています) 投稿 2020年投稿

https://790072b8-9333-4738-b49f-ea058658b2fa.filesusr.com/ugd/03cf48_35d26adfcc37479697bd1440a157494c.pdf

[5章 虚実] [9章 犬・八犬士とその周辺] [10章 図像を読む] [12章 八犬伝と遊び―遊戯三昧―]

 

・サイト 「海南人文研究室」 https://dokuhon.bakin-g.info/ 運営者「伊井暇幻」さん

大角と雛衣についての複数の考察がありますが、R-18相当の内容のために引用できません。

 

この考察があっているのであれば、里見八犬伝や登場キャラクターに対しての批判や非難となってしまったのではないかと。

それが、のちの派生・アレンジしたいくつか作品では、雛衣が存在しなかったり、助かったりする。

または、赤岩一角が大角にけがを治すために、大角が必要だといい、彼に実行するようにする。

(この場合、雛衣が存在していない作品があります。)

ということになったのではないかと思います。

 

以上で仮説を終えます。

 

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(追記)

サイト 「冨地晃裕-八犬伝雑文-」 https://bakin-1767.wixsite.com/mysite について

管理者 「冨地晃裕」さん

 

私がこのサイトの文章を読み始めたのは、Amebaブログで

 

2025年4月2日21時50分34 

2025年2月11日14時32分06に投稿した記事を修正して投稿
里見八犬伝の八犬士(ただし二人は除く)が物語の最後以外で

女性のみと恋愛関係となる場合と作品

2025年4月2日21時57分17 

2025年2月11日14時43分05に投降した記事を修正して投稿
犬飼現八(げんぱち)信道(のぶみち)が 浜路(はまじ)(大塚浜路)の
要素をもっている女性と

恋愛関係(本人か女性が片思い・両想い)となる仮説

 

の二つの記事を投稿した後です。

 

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(引用)

注意:すべてR-15相当のことが書かれています。

 

サイト「白龍亭」 https://opaku.la.coocan.jp   管理人「おぱく堂」さん

大角、心の闇 [八犬伝邪読 - 13 ]  (2000年~) https://opaku.la.coocan.jp/hakkenden/jadoku13.html

 

●雛衣は死なず?

 妻・雛衣ひなきぬを見殺しにした……。

 犬村大角には常にこの事が影として付きまとう。このことが、以前あった白龍亭茶室のアンケートにおける犬士人気も最下位であったし、大角の人気の無さの決定的な理由ではないかとも思う。同時にこれは謎でもある。なぜ大角はそういう行動・態度に出たのか?

 

 いきなり結論から言えば「大角は雛衣が死ぬとは思っていなかった」可能性が高い。

 偽一角と舩虫から刀を渡されて「腹を裂いて胆をよこせ」と自害を迫られている雛衣を目前にして、雛衣の死を想像できない人はいない。通常ならそうだ。しかし大角は違った。

 雛衣自害は九月九日だが、前日の八日に大角(正確に言えばまだ角太郎。以下角太郎と記す)は次のように発言している。

 

角太郎「雛衣ひなきぬ(中略)死しなんと欲ほりするとも、瑞玉ずいぎよく今いまなほ腹はらに在あらば、水みづに入いるとも溺おぼるべからず、火ひに入いるとも燒やかるべからず」 (第六輯第六十一囘)

 つまり、飲み込んだ瑞玉が腹中にあるかぎり「雛衣は不死身」だと断言している。

 水に溺れず、火に焼かれないのなら、当然、刀にも刺されまい。角太郎はそう信じていたからこそ、雛衣自害を前にして平然としていられるのだ。

 しかし、実のところ角太郎の雛衣不死身説に根拠はない。

 八犬伝の読者はこの場面の前に散々霊玉の奇跡を見せられているから「腹中に玉があれば死なない」と言われれば納得してしまう。しかしよくよく読んでみれば、角太郎の身には「玉を浸した水を飲んだら自分の病気が治った」という奇跡しか起きていないのだ。しかも、その水は養父母の病には効かなかった。これだけの事実を背景に、どこをどう考えれば「腹中に玉があれば死なない」という結論が出せるのか。論理的には飛躍しすぎなのだ。

 つまり角太郎の雛衣不死身説は、角太郎にとって「信仰」なのである。

 なればこそ、角太郎は雛衣が死ぬ可能性を論理的に推測することが出来ない。死なないと信じ切っているから。

 

● 角太郎は崩壊せず…

 そんな角太郎だから、雛衣が予想外に死んでしまったことはショックだったはず。

 信仰の崩壊は人格の崩壊につながりかねない。人格崩壊から自己防衛するために信仰を固持して「死んだように見えるけど雛衣は生きている」などと常人には理解不能なことを言いだす可能性だってあったろう。しかし角太郎はそうはならずに現実を受け止められた。

 なぜか?

 

 雛衣不死身教の本体は瑞玉奇跡教である。信仰の対象は「奇跡の瑞玉」にこそある。

 予想外に雛衣は死んでしまったが、瑞玉は偽一角を倒してその正体を暴くという新たなる奇跡を起こした。つまり瑞玉奇跡教の信仰は崩壊していない。角太郎の人格も崩壊せずにすむわけである。

 

 雛衣の死は、ショックには違いないが、大ショックではなかったのだ。

 恋愛結婚ではないとはいえ、角太郎はなぜ妻・雛衣に対してそこまでクールなのか。白龍亭主の見るところ、それは「嫉妬」である。

 

 

● 角太郎を苦しめるもの

 八犬士は家庭的には不幸である。

 皆、若くして親を失う。毛野に至っては生まれた時にすでに父は死んでいた。

 だが、死んだ親に対しては「生きていれば愛してくれていた」と信じることができるだけ救いがある。そう信じられるからこそ、父を知らない毛野が父の仇を討てるのだ。肉体的には触れることが出来なくても心の絆は確かにある。

 子供にとって「親の死」以上に救いがないのは「親に愛されない」ことだろう。心の絆の断絶。

 まさに角太郎の環境がそれ。

 次男・牙二郎だけを愛し、長男・角太郎を虐待する父一角。勿論偽一角なんだけど、角太郎はそんなことは知らず実父だと信じている。

 

 そんな角太郎にとって、最大の嫉妬の対象は親一角の愛を一身に集める牙二郎である。

 だが、嫉妬の対象はそれだけではない。雛衣も対象になるのだ。

 幼くして犬村家に引き取られた角太郎は、そこで犬村儀清夫妻に愛される雛衣を見て育つ。犬村家は親戚とはいえ角太郎にとって所詮他所の家だ。親に見捨てられ他所の家で暮らさねばならぬ自分と両親の愛を目一杯受けて育つ娘。日々その境遇の差を目の当りにしなければならない角太郎。どう考えても心穏やかではいられまい。

 

 雛衣を失った時、角太郎は妻への嫉妬に苦しむこともまたなくなったのだ。

 仮に同じような境遇差の夫婦がいるとしても、差を目の当りにして育つことはまずありえず、夫婦間で嫉妬する苦しみもありえまい。仮にあったとしても長年夫婦として連れ添えば嫉妬を越えて失いがたい愛着も出てこよう。だが、雛衣と角太郎にはその時間すら与えられていない。

 

 

● 闇の奥

 前項で、角太郎は「雛衣は死なない」と信じていたと書いた。

 だが「雛衣は死ぬかもしれない」と多少なりとも思っていたとしたら……雛衣の死によって「実父の愛を取り戻せるのでは」と角太郎は内心期待したかもしれない。ぞっとするような推測だが、愛の飢餓は人をそこまで追い詰め得る。

 

 

● 大角が救われる時

 雛衣が死に、角太郎から大角になって、嫉妬する苦しみから解放されたのだろうか?

 犬士の仲間入りしてからの大角の行動を見れば解放されてないと思える。大角は最後まで現八以外の犬士とは二人だけの行動はしない。現八は大角の嫉妬心を刺激しない。なぜなら現八もまた実父糠助に捨てられた身だからだ。

 逆に小文吾のように親の愛に包まれて育った相手は大角の嫉妬心を刺激する。実際、小文吾と大角という組み合せで行動する場面はない。

 そんなわけで大角は現八以外、全員揃って行動するか単独行動しかしない。後の対関東管領戦の時も、犬士のなかで唯一単独行動をしている。

 

 そんな大角にも救いの時は訪れる。

 里見三之姫・鄙木ひなきを妻として家庭を持った時だ。鄙木は雛衣と名は似ているが、母・盧橘はなたちばなを早くに失って孤独のうちに育っている。もちろん父里見義成に愛されたとしても、大角はその境遇を目の当りにしたわけではない。

 だが、彼を最終的に救ったのは子供である。

 大角と鄙木の間には二男二女が生まれる。子としては得られなかった家庭の愛を、親として手に入れたのだ。そう言い切る根拠は何か? それは系図である。大角の次女の嫁先は、なんと小文吾の次男。大角の心に余裕が生まれなければ、こんな縁組はありえまい。

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(引用)

サイト 伏姫屋敷 https://fusehime.la.coocan.jp/ 管理人「ゆーか」さん

大角は雛衣を愛していたか?(04/7/11UP) https://fusehime.la.coocan.jp/no191.htm 

 

 「〈座談会〉『八犬伝』再読」の中で〈大角と雛衣は偽装結婚〉という話題が出たのが目をひいた。この〈偽装〉というのはおそらく、大角には義理の、雛衣には実の両親の病気と喪のために二人が長らく床立ち状態にあったことを指すのかと思うが、文明九年春の結婚から犬村母が病に倒れた文明十年の秋までは彼らは普通に夫婦生活を送っていたはずである。 

 

 ならば二人の夫婦としての愛情面において〈偽装〉だというのだろうか?雛衣くどきを見る限り少なくとも雛衣の方は大角を一心に慕っていると見てよいだろう。しかし一方の大角はどうなのか。孝のためとはいえ大角が雛衣の自害を見過ごしにする悪評高いシーンなど見ると、たしかに彼の雛衣に対する愛情を疑いたくなる。以前信乃が本当のところ浜路を愛していたかどうか検証したことがあるが(「信乃は浜路を愛していたか?」参照。)、同様に大角が、妻をどう思っていたのかを見てゆきたい。

 

 幼いころから一つ屋根の下、いずれは一緒にするといわれながら育った男女、という点では犬塚信乃・浜路のケースと似通っているが、違うのは信乃と浜路の場合結局親の側に結婚させる気がない〈偽装許婚〉であるということである。逆にいえば大角は信乃と異なり、いずれは雛衣と一緒になるものと思いながら成長したのだといえる。

 

 結婚自体は「明日が黄道吉日だから結婚式を」と突然に言い渡されるありさまであったが(八犬士と八姫のくじ引きによる結婚相手選定をお膳立てした里見義成といい、なんでみんなこんなに結婚に性急なのか)、年齢からいっても「そろそろ来るな」という心構えはあったものだろう。実際、彼らは結婚のことを切り出されたさい照れて真赤になってこそいるが、別に迷ったりあわてたりしていない。相手を配偶者としてごく自然に受け入れている感じである。

 

 それに「八犬伝の名(迷)ゼリフ」でもとりあげた「籬笆(かき)に自生の玉蜀(たうきび)も、懐狭き庭ながら、払子(ほっす)に似たる紫髯と、共に身の入る子もち達、端緒(はなを)緩びし駒下駄を、踏な覆(かへ)しそ、あぶなや。」(第六十二回)という台詞や、雛衣くどきを無言の行者にかこつけて無視したときも(現八も無視されてたので本気で修行に打ち込んでただけかもしれないのだが)「合掌の揺動きて、口に銜(くはえ)し松の葉も、颯々として靡くが如く、断腸の気色顕れしを」(第六十一回)と動揺のさまが描かれている。

 

 雛衣の心臓と腹の胎児をよこせと偽の父から無理難題をふっかけられたさいも「大恩ある養父の娘だから」と孝を盾にとってなんとか雛衣を救おうとしているが、それがかなわないとなると、「膝に涙の玉あられ」(第六十五回)というようなボロ泣き状態で、彼女の死を見とっている。結局は雛衣に辛い思いを強いてしまっているものの、雛衣に対する愛情は十分にうかがうことができる。

 

 ならなぜ最終的に雛衣を見殺しにしなくてはならなかったか?なるべく好意的に解釈すると、雛衣を愛してはいるものの孝・親に対する礼という絶対価値のほうがさらに優先するといったところだろうか。普通なら妻を殺してまで、と思うところだが、なんといっても彼は「礼」の犬士であるから、いかなる状況でも礼を後回しにすることはできなかった、というあたりが解釈として適当だろう。

 

 しかしその彼が第百二十八回では道節に向かって「遠く唐山(からくに)の礼を按ずるに、君父の讐には、与共(とも)に天を戴かず、兄弟の讐には、兵を復さず、朋友の讐には、邦を同うせずといへり。そも亦時宜に依るべきのみ。」なんてことを言い出す(「合理主義者・大角」参照)。矛盾しているようだが、ひょっとすれば孝のため礼のため雛衣を見殺しにしたというのに肝心の父親は実は化け猫の変化でした、という事態がショックだったあまりに、孝や礼に対して懐疑的になったということなのかもしれない。

 

 というわけで、大角は雛衣を一応は愛していた、と結論したい。なぜ「一応」なのかというと、八犬士全員(おそらくは馬琴の好みを反映して)女に対して冷淡さがある気がするからなのだが。ともかくも女のために涙を流した大角は、信乃が浜路を思う数倍は雛衣を思っていたと言ってよいのではないか。

 

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この記事を作成する時に参考にしたサイト 注:2025年7月時点
・Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/メインページ
    里見八犬伝と派生した作品の紹介
 

・マンガペディア https://mangapedia.com/ 
    まんがの作品紹介
 

・伏姫屋敷 http://fusehime.la.coocan.jp
(「保護されていない通信」が表示されています) 

    管理人「ゆーか」さん   
里見八犬伝のあらすじと解釈 八犬伝から派生した作品の紹介(文章) 

 [追記:2025年10月に 

    https://fusehime.la.coocan.jp へ移転しました。

(「この接続は保護されいています」が表示されています)]

 

 

・白龍亭 http://opaku.la.coocan.jp 

(「保護されていない通信」が表示されています) 

     管理人「おぱく堂」さん 

里見八犬伝のあらすじ・登場キャラクターの紹介・関係図・地図 

里見八犬伝と元になった作品の比較 里見八犬伝の解釈・意見 など

 [追記:2025年10月に

    https://opaku.la.coocan.jp へ移転しました。

(「この接続は保護されています」が表示されています)]
 

・新八犬伝をもう一度見ようよ!http://shin-hakkenden.fan.coocan.jp
(保護されていない通信が表示されています)
    管理人「Carina」さん   
人形劇の登場人物の紹介と放送内容の紹介(文章と写真)

 [追記:2025年12月に

   https://shin-hakkenden.fan.coocan.jp へ移転しました。

   (「この接続は保護されています」が表示されています)]

 

・「冨地晃裕-八犬伝雑文-」 https://bakin-1767.wixsite.com/mysite

     全てPDFで表示されています

     管理者 「冨地晃裕」さん

里見八犬伝の解釈・意見 里見八犬伝の挿絵の紹介

里見八犬伝の元となった作品の挿絵の紹介

 

・海南人文研究室 https://dokuhon.bakin-g.info/ 

   運営者「伊井暇幻」さん

里見八犬伝の解釈 里見八犬伝の元となった歴史や思想 など

(注:記事によってはR-18相当のことが書かれています。

   八犬伝の同性愛についての記事もあります。
   これもR-15またはR-18相当のことが書かれています。)

 

・里見八犬伝をアレンジされた作品の公式ホームページと公式SNS
・複数の小説投稿サイトと作品投稿サイト
・演劇・パフォーマンスの公式サイトと公式ブログと公式SNS(文章と写真)
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引用や転載をしてくださってもいいですが、

この記事の参考URLは必ず表示していただきますよう、お願いいたします。
この記事の参考URLを必ず表示してくださいましたら、

編集していただいても構いません。
ただし、ネットのみで調べたのみなので、あまり参考用や資料用にはあてにはしないでください。
無理をして、
登場するキャラクターの設定や、物語・シナリオの展開に活用していただかなくてかまいません。
(私としては設定や展開は原作準拠やれっきとした根拠のある解釈を基づいて創作してくれたほうがうれしいですが…)