恋してみたら 前編 



SideS


ニノが幸せそうでよかった。


「ふふっ、しょおくん、良かったね?」


「ありがとう」


「智さんがどこか寂しそうだったからね?」


潤と恋人になってからは毎日が幸せ。

まぁ、ニノの引きこもりは俺のせいだし。


ニノのことが好きな彼女がいて付き合ってみればってニノが迷ってたし。


それから、ずっと引きこもって人と接する機会が減った。


ニノの誕生日になにか出来たらいいなって思ってたら潤からいい話を貰ってチャンスだと思った。


「ふふっ、しょおくんはどうして好きになってくれたの?」


「言ってなかった?」


「ないよ?」


可愛いな。

潤のことを好きになったきっかけ。


「潤の一生懸命さが可愛かったからかな」


「もぉ、褒めてないよね?」


「んー、前に1度彼女いたんだけど。諄い。 まぁ温度差はあったけどさ。 それが嫌で恋人作らなくなったんだ。 潤の一生懸命な所が諄いとは思わなくて。 嬉しかった 


「ふふっ、良かった」


「潤は? いつからなの?」


同じ高校みたいだけどさ。

見かけたことあったかなぐらいで。


まぁ大学もあったからさ。


大きくて会えたら偶然的な感じだよな。


「しょおくん、有名人だもん。 大学でサークルで一緒になってからかな」


「知ってたんだ・・・」


「うん」


「さて、今日はやること終わったし帰るか」


「うん」


堂々と繋いでやる。

大学内で性的差別は校則違反だ。



まぁ、それ発案したの俺だけどな。


「どうしてしょおくんは性的差別を校則違反にしたの?」


あー、それはな。

こっそりと会っている二人を見てそう思った。


どうしてこっそりとしか会えないのだろうか。


手を繋ぐぐらいいいじゃないか。


どうして同性だとダメなのか?


まぁキスとか見ちゃったら引く人はいるだろうけど手を繋ぐとか普通にイチャイチャしてるのはいいと思うんだ。


「校内だけでも何かきっかけになればって」


「僕、いいなって思った。 しょおくんは色んな人を見ているんだなって」


ん。まぁね?

暇だからな。


「コソコソと会っているのは違うと思う。 好きなら好きでいたらいい。 差別されるからの理由で本当は同性が好きなのに我慢しなくてはいけないっていう人がいたらって思うと作らなきゃって思ってさ」


「うん、しょおくんのおかげで見た目は男だけど性別は女だと思うようなトランスジェンダーの人達も守られるようになって感謝されてるよ」


俺は別に生徒会に入りたかった訳じゃない。

推薦だったし。


選ばれたからには何が何でも実績を残してやると思って頑張ってきた。


でも、成果ってなかなか結びつかなくて。

地味なものばかり。


地味も大切だけど。


なんかドカーンとなるような感じが欲しかった


そんな時に見つけた人達。


ドカーンとなって校内の雰囲気が変わると思った。


潤はよく送られてくる感謝のメッセージを一つ一つ丁寧に読んでお返事を書いている。


そんな潤に惚れてたんだなって今は思う。


今はもちろん惚れてるけどさ。


最初はなんで返事なんて書くんだと思ってた。


だけどそれが実績に繋がった。


だからドカーンとなるには地道に努力することが大切だと知った。


「そうだな。 教師にも悩んでいる人がいたのには驚いたけどな」


「教師だって人間だもん」


「そうだな」


潤に恋をして学んだことが山程ある。


これからもまだまだあると思う。


「しょおくん、大好き」


「俺も大好きだよ」


俺はこれからも潤が大好きだと言ってくれるような人でありたい。


一歩踏み出す勇気さえあればきっとこれからもそう言ってくれるだろう。  


ニノは頑張れ。


始まったばかりの恋に課題は沢山。


だけど、相手を信じれば大丈夫だ。