ルンルンな潤様は朝から超ご機嫌。

「翔くん、この中では潤くんが年下?」

「ええ。 高校生ですからね」

「んふふ、可愛いね? なんか小さな子供がいるみたいに見えるよ」

私もそう思う。
でも、いつまでも無邪気なままでいて欲しいものと思う。

「ね、明日さ、まーくんの誕生日なんだ。 良ければ一緒に祝って欲しいんだ」

クリスマスに誕生日とは。

「もちろん。 私達もプレゼント用意しとくね?」

「ありがとう」

ふふっ、兄さんは分かりやすいな。
兄さんのことは踊っている姿を見たら遠くに行ったなと。

ちょっと寂しく感じたけど。

でも、こうしてホテルで同じ部屋になって。

兄さんの思いは消えていた。

そうさせたのが相葉さんかも。

でも、これで潤様の気持ちに答えられる。

「潤様、本格的なデートの前に寄りたいところがあって・・・」

「ん? ふふっ、しょおくんと二人きりで出かけたら僕にとってはデートだよ?」

ホテルから出て1番近いところで相葉さんのプレゼント選びをした。

「被っちゃってもいいのかな?」

「そうですね、被ってもきっと喜ぶとは思いますよ?」

「じゃ、時計にしとく」

相葉さんに似合うようなと考えると難しいな。
リュックサックをプレゼントしようと思った。

車に乗り、次の目的地を考える。

まず向かったのはトップ・オブ・ザ・ロック展望台。

本当は夜が良かったんだけど空いてなかったから午前中に回した。

「わぁ、展望台いいよね!! 高い所から見れるってところがね」

「そうですね・・・」

私は高い所が好きではない。
が、潤様はこういうのが好きそうだなと思ったから入れただけ。

よく晴れているから更に怖い。

「しょおくん?」

気づかれたかな?
隠し通そうと思っていたんだけど。

「可愛い」

「え?」

「高い所苦手なのは可愛い」

「ある意味馬鹿にしてますか?」

「え? そうじゃなくてそんなしょおくんも好きってこと」

え? そういう意味で?
そうならいいんだけど。

「ありがと、僕の為に選んでくれて」

「喜んで貰えて嬉しいです」

「ふふっ、うん」

北はセントラルパーク、南はエンパイア・ステート・ビルディングが見える。

それからランチに向かうことにした。

この展望台のビルにはレストランも入っているらしい。

ブラックシードベーグル

昼から肉はちょっとと思ったからこれにしてみた。

モンテリオールから借りたいくつかのベーグル技術をニューヨークスタイルであるブラックシードの特製ベーグルレシピをダイアナが開発したらしい。

「美味しいね?」

「そうですね」

それから向かうのは・・・

どうしよう・・・
明日も同じ所に泊まるつもりだったから。

「どうしたの?」

「ほんとはNYからは離れる予定なので」

「あ、そうなの?」

「明日もそこで泊まる予定なので・・・」

「えっと、相葉さんのプレゼントは?」

「それが問題なのですよ、一緒に祝って欲しいと言われたので」

「あー、んー、でも、チケットは取っちゃったんだよね?」

「そうですね・・・」

潤様は何か思いついたのか電話し始めた。

「お久しぶりですね。 チケット手配しました」

「ありがとう、そうだね、久しぶりだね?」

「こちらで会うことは初めてですからね」

「うん、お父さんは元気かな?」

「元気ですよ。 今日も撮影してますよ」

確か彼は二宮和也。
NYに住んでいて私は会うのは初めて。
私に向けてくる視線がとても厳しい。

「潤くん、こちらかの方は?」

「しょおくんのこと?」

二宮さんはとても驚いた顔をしていた。
どういうことだろうか。

「初めまして。櫻井翔と申します 」

なんか、あんまりいい印象はないけど。

「ふーん、貴方が潤くんの1番傍にいる人か」

なるほどね。 二宮さんも潤様が好きなんだ。
そうなると納得する。

それに二宮さんは潤様だけに優しい瞳をしている。

分かりやすい人はここにもか。

「しょおくん、これで智さんと雅紀さんを呼べるね?」

「はい。 じゃ、連絡しますね?」

「うん、いつも頑張ってるお2人にもご褒美となればいいね?」

潤様は優しい。
そんな考え方をするのか。

私は早速場所を指定した。

その後すぐに来た2人。

「なんと言えばいいのか」

「くふふっ、せっかくだから楽しも?で、潤ちゃん、しょーちゃんと一緒にいる人は誰?」

「初めまして。 二宮和也です。 潤くんのお友達ですか? 」

「そうだね」

「なるほど、では、こちらチケットです。 楽しんできてください」

チケットを渡した後、二宮さんは潤様に耳元で何かを話しかけた。

潤様は一瞬殺気を出したような気がした。
けど、顔は笑顔だ。

なんだろう。 何を話したの?

「しょおくん、行こ?」

「行きますか」

私は3人が車に乗ったのを確認した。
二宮さんは帰ればいいのに。

「相当惚れ込んでるんだね?」

「え?」

「潤くんがあんな顔するなんて」

そう言った後、私の耳元で忠告を言ってきた。

二宮さんはクスリと笑って帰って行った。

「しょおくん」

「そんなに見つめなくても・・・」

「カズくんに何言われた?」

「潤様こそ何を言われたのですか?」

聞き返せば頬を膨らませてプイッとそっぽを向いてしまった。

怒らせてしまったかな。

心配することは無いのに。

「翔くん、子守り大変だね~」

兄さん、その言い方は・・・

「僕、子供じゃないもん」

すると兄さんは

「潤くん、僕以外は子供だよ?」

「うん」

「二宮さんっていくつなの?」

「僕より1つ上」

「二宮くんも子供だね? 何があったかは知らないけど楽しもう? 」

潤様は神妙に頷いた。
後でしっかりと話を聞かないと。

「でもさ、サトちゃん、全然大人には見えないよ?」

すると兄さんは

「まーくん、酷い!! これでも大人ぽく見えないのは気にしてるの」

まぁ確かにこの中に大人ぽく見える人はいないなと思いながらも心の中だけにしといた。