「だからなのかもですね、熱でうなされていてもここまでになるのは」

「え?」

怖いお婆ちゃんは

「名前は翔だったけ?」

「はい」

「坊ちゃんが翔に甘えたのは熱のせいてあるがきっと信頼してるのかと」

俺を? 信頼してくれてるんだ・・・

「嬉しいかな、なら、俺は潤くんをもっと知ることが必要なのかな?」

潤って呼び捨てにしようかと迷ったけど・・・それだけで胸が高鳴ってしまう。
潤くんの髪の毛を撫でてみた。

「好きなんでしょ、坊ちゃんのこと」

「なんで?」

「女の勘でもあるけど、愛しそうに見てたからでしょうか」

「ふふっ、俺はそんなにバレやすい?」

そう聞けば

「んー、坊ちゃんのことを噂や見た目だけで判断にしない人で長い付き合いがある人にはバレやすいかと」

「そっか・・・」

怖いお婆ちゃんだったはずが少しずつ優しく見えるようになった。

そんなことを思ってると潤くんは起きた。
 
「ん・・・」

「起きた?」

「うん、喉乾いた」

「持ってくるよ」

「ありがとう、タマさん案内してあげて」

へー、そう言えば名前を聞いてなかったな。

水を取りに行って・・・
豪華だけはあるな・・・

グラスだけでも色んな種類がある。
戻れば少しボーッとしていた。

「取ってきたよ」

「あ、ありがとう」

ゆっくりと飲み始めたら少しスッキリした顔をしていた。

「熱は?」

「下がったと思うよ?」

「測った?」

「まだ」

俺はそっと潤くんの額を触った。

「まだ少し熱いな、微熱はあると思う」

「測ってみる」

測ってみれば微熱だったみたい。

「もう少しだな、明日には良くなればいいな」

「うん・・・」

ふふっ、愛しいのかもな・・・

「泊まってもいい?」

「いいよ」

「坊ちゃんのベットは広いので寝れる場所はあるかと」

確かに・・・2人分用だよな。

「夕飯は?」

「そろそろお時間です」

「なるほど、じゃあ行こ?」

「うん」

机が長くない?
てか、なんかここで食べるのも違和感だらけ。
料理は美味そうだけどな。

「いただきます」

消化に良さそうな料理ばかりだけど体調が良くない人にとっては少し多いような気がする。

「美味いな」

「そりゃコックが作ってるんだからと言いたいけど最近はなんとなく美味しくなかったんだ」

そうなの?

「けど、今は凄く美味しい」

そっか・・・
きっと1人だからじゃないだろうか。

「潤!!」

「あ、姉ちゃん」

「大丈夫?」

「大丈夫だよ?」

お姉さんなんだ・・・

「ふふっ、心配したけど大丈夫そうね? って見たことないお友達じゃない」

「初めて入れたからね、しょおくんだよ」

「初めまして」

お姉さんは潤と似てるよな。
まぁ、そりゃ兄弟だからか。

「翔くんね? 潤の姉です、何があったら遠慮なく相談してね?」

「はい」

優しそうだな・・・。
きっと俺が女のことを好きなら俺はお姉さんが好きだろうな。

「後、30分ぐらいでお母様家に帰ってくるわ」

「そっか、ありがとう」

潤くんは少しペースアップして食べ始めていた。

それから少しして・・・

「先に風呂入ってる?」

「え?」

「俺は今日はやめとくから」

あー、そうだよな。

「分かった」

「新しいバスタオルはタマさんが用意してくれるから」

「場所教えてくれたら自分で用意するよ」

「しょおくん、タマさんの仕事取ってはダメ」

そうだよな・・・
タマさんはお手伝いさんなんだもんな。
でも、凄くお婆ちゃんなのにいいのだろうか。

タマさんはすぐに消えて行った。
まぁ、そのスピード的に大丈夫なんだろう。

そう思って俺は風呂場へ向かった。
少し広いが落ち着く場所ではあるな。
浴槽に浸かるだけで気分がほぐれていく。
潤くんはここでどんなことを普段思っているのだろうと何故か思った。
こんなこと考えてる俺は初めてで自分に驚いた。