あれから付き合うようになったけど・・・

カズくんが僕から離れない時が多くなった。

「カズ?」

雅紀くんと喧嘩した訳じゃないし。

「カズくん、ちょっとごめんね?」

降ろしてしょおくんの傍に行こうとするとカズくんがくっついてくる。

「どうしたの?」

そう聞いても何も答えてくれない。

「言ってくれないと分かんないよ?」

もしかして・・・

知ってたりするの?

「まーくん!」

「カズくん?」

良かった~、雅紀くんに抱きつくカズくん。

「ごめん」

「何が?」

「カズ、何があったのか分からなくて」

「毎日泊まってるわけじゃないから分かんないけど、僕なのかも」

多分・・・

僕はしょおくんとそういう関係ではいちゃいけないのかと。

「なんで潤のせい?」

「だって、しょおくんの近くへ行こうとするとくっついてくるから」

「んー、潤のこと気に入ってるからじゃないの?」

「そうかな?」

「カズはそう簡単に話さないし、抱きつきもしないからカズにとっていい人なら抱きつくよ」

それを言っちゃそうだけど。

「2人とも不思議だね?」

「え?」

「ふふっ、双子なのに雅紀くんはお兄ちゃんぽいし、カズくんは弟ぽいし」

「確かにな・・・」

そっくりさんじゃない双子を見るのは初めてだと思う。

「でも、やっぱり可愛いね?」

「ふふっ、まぁね」

子供ね・・・見ちゃうと欲しいなとは思っちゃう。

でも、カズくんも雅紀くんもいて幸せだし僕は産めない身体だからね。

望みたくても産めないってきつい。

でも、幸せにしてくれる彼氏が出来た。

なのに、なんでそれ以上を望んでしまうのだろうか。

「どうした?」

「なんでもない」

これ以上、しょおくんに負担もかけちゃいけない。

「何か言いたい事あるんじゃないの?」

「言ったって何も変わらないのに?」

変わらない、どうにも出来ないことだから。

「そんなに俺、信用ない?」

「それは違う」

しょおくんが俯いて

「なんでも知りたいのはいけないことなのか?嘘も言って欲しくない、隠し事させるのも嫌だ二度と同じ目にあいたくないから」

そうだよね・・・

変わらないことだけど・・・

「しょおくん、僕は産んでみたかった」

「え? 産みたいならそれなりに協力するよ?
新しい家族増えてもいいとは思うし、潤のこと子供欲しいと思うのも当たり前だと思うし」

「でも、僕は産めない」

「なんで?」

ギュッと僕の手を握ってきた。

「それは僕は他の人よりも足りないから、例え彼女が出来ても子供は出来ない」

男女関係ない・・・だから僕の子孫なんて残せないの。

「俺は、そんな潤でも好きだよ? でも、潤はどうしても無理なら体外受精とか方法はある、そこを潤が考えるならそれでもありだと思う」

でも・・・

「それは違うかな、そうやって産みたいとは思わないし・・・」

「じゃあ、潤の望みは何?」

「え?」

「俺は潤がそばにいて、雅紀とカズと幸せでいられたらなって思ってる、笑ってて欲しい、それもあるけど、泣いても、怒っても幸せなんだそのあとがね?」

「僕もしょおくんといて幸せだとは思ってるけど、やっぱり引っかかってしまう」

子供もカズくんも。

「とりあえず今日は帰るね?

さて、僕はどうしたらいいのだろう。
確かに笑い合えるのは幸せ。

でも、カズくん、前は抱きつくことはあってもなかなか離れなくてなんてことは無かった。

別に抱きついて離れないのは嫌じゃないけど、何故、しょおくんの傍に行こうとしたら抱きついてくる?

他のところなら一切抱きつくわけじゃないのに抱きついてもすぐ離れるのにね?

変じゃない?

僕は先生としか認めて貰えないからってことだよね?

構って欲しいならもっと他の時でもしょおくんがいない時とかにでも抱きついてきたらいいのに・・・なのに来ないんだもん。

カズくんにとってあの人はまだ”お父さん”なのかなと思った。