SideS

彼女の不気味な笑みに俺はドキッとした。
俺はどちらかと言うとゲイに近い人だと思ってた。 男としかセックス出来ないと思ってたからな・・・。

そうさせたのは智さんだけど。

まぁ、俺も智さんの不思議なところには興味を持っていたから繋げることにそこまで考えなかったけど。 好きとかではなかったのは確か。
俺をどうしたいのかが分からなかったから1度だけになったけど。

でも、あの快感は忘れられなかった。
ゲイなんだって思い知らさせてショックは受けなかったな。 別に恋愛に男も女もないから。

でも。彼女にドキッとしたのは初めてで今まで誰にもドキッとしたことは無かった。

でも、なんか怪しいよなって思う。
1週間だけ付き合うことになったけど、俺の私物が無くなってたことに気づいた。

でも、俺はほぼ彼女といたから席を外す時間は無かった。 でも、毎日何か無くなっているから凄く気になった。 

けど、やっぱりキスしたいとかはないから違うなと思いながら終わりにした。

初めて潤くんに出会った時は彼女以上にドキッとした。 人形のような白さに魅力的な唇、長いまつ毛・・・でも、どこか絶望的な顔をしていた。 

この子を助けてあげたい。
それはよくある事なんだけど・・・と言うのも母さんがカウンセラーなんだ。

色んな人と接して潤くんと同じように絶望的な顔をしてる人が元気になってくのを見てその仕事を手伝いたいと思い始めた。

それを、必死に勉強して・・・母さんから手伝ってみる?って言われて、手伝った。
それのお陰で色んな人を見てきた。
彼女は虐められの原因・・・話を一つ一つ聞いて整理して導き出し、元気にさせた。
そしたら、今度はよく話していた潤くんだった。

潤くんは、能力を使えたのか。
助けてって聞こえた。 それは間違えなく潤くんの能力だ。 聞いたことはあったんだ、この世の中にはテレパシーを使える人間がいることを。
潤くんは俺を信じてくれた、でも、患者と先生だけの関係で終わらせるのは寂しかった。

潤くんをもっと知って助けてあげて笑う顔をもっと見たいと思った。

潤くんにとっては友達というものが俺以外いないらしい。 俺は1番になれたこと嬉しく思った。 2つ年下だけど・・・俺にはそんなこと感じることなく話せてると思う。

笑ってる顔は可愛くってドキドキする。
これこそ恋なのだろうか。
押し倒したい・・・キスしてみたい・・・。
それを我慢して抱きしめるだけにしてるけど。
それでも恋人ぽくしてるよな。

だから、好きなんだよ・・・。
それにしても智さんと何があったんだ?
潤くんが泣いたのを見て・・・守ってあげたい気持ちにさせられる。 何も言わない潤くんだからそこはいつか言ってくれることを信じて今はそっとしておくことを決めた。

潤くんが立つ時間の方が長くなって、あんまり車椅子を使わなくなった時、俺は普通に授業があったから潤くんは家に帰るんだけど、その前に

「先生、良ければ食べて?」

お弁当渡された。

「いいの?」

そう聞くと頷いて

「僕がお返しできるのは料理作ることかなって思って・・・お弁当作っちゃった」

「ありがとう、残さず食べてくるよ」

「美味しくなかったらごめんなさい・・・」

「ふふっ、大丈夫、作ってくれた気持ちが嬉しいから」

そう言うと嬉しそうな顔して

「ありがとう、いってらっしゃい」

ほんと、ズルいな・・・キスしたくなるじゃないか。

専攻は心理学・・・もっと勉強したくて通っている。 

はぁ・・・確かに興味がある授業なんだけど、今日は何故かつまんなかったな。

そして、授業中は潤くんのことばかりを考えてたな・・・ヤバい奴・・・。

昼になれば俺に買いに行こーって言う奴がいたが断った。

俺には弁当があったもんな。
中身はそぼろと卵としらすだった。
美味そうだな~っと思いながら食べればめっちゃ美味すぎ。 

オカワリが欲しいぐらいだったよ・・・。

(聞こえる?)

ビックリした~、どうしたんだろう。

(聞こえてるよ)

(お昼休みかなって思って)

(潤の弁当とても美味しかったよ)

(ふふっ、ホント?)

(嘘つかないよ)

(良かった~)

でも、こうして会話出来ることが俺には嬉しかった。

(潤くん、お暇でしょ?)

(うん、でも、もう少ししたら外、歩いてみる)

(気をつけてよ?)

そう言えば

(ふふっ、うん、大丈夫、近所までしか歩かないから)

俺、いい事思いついた。

(ね、なら、待ち合わせしよっか)

(待ち合わせ?)

(ふふっ、そう、3時に家から1番近い公園な?)

(分かった)

好きすぎるな。 

帰りは待ち合わせ場所に。
潤くんがついたら話してきたからそこからずっと話してた。 

「お待たせ」

「そんなに待ってないよ?」

「嘘だ」

「ふふっ、待ってるの好きだからいいの」

待ってるのが好きか・・・。
潤くんって恋を知ってるのだろうか。
知らなそうだもんな・・・俺的にデートなんだよな。

「潤くん、疲れてない?」

そう言うと・・・

「ふふっ、そんなでもないよ? 走ってないからね!」

「そっちのもあるけど力使ってたでしょ?」

「ふふっ、先生と話してるのは楽しいから疲れないよ!」

まぁ、楽しいのは俺もなんだけど・・・

「使いすぎると疲れるから気をつけて?」

「うん」

今日は家に帰るのかな思って、通り過ぎようとすると

「先生、泊まってもいい?」

「今日は両親いるんじゃないの?」

そう言えば

「いるけど、ダメ?」

こっちとしては嬉しいけど・・・

「両親から許可は?」

「大丈夫だよ」

「分かった、いいよ?」

そう言うと嬉しそうに

「ふふっ、ありがとう」

おれ・・・我慢できるかな?
そろそろいつキスしたっておかしくない。

「先生? どうかしたの?」

「ん? なんでもない、大丈夫」

「そっか」

ちょっとだけ落ち込んでたように見えたけど気のせいか。

その後は教えたり、話したり、まったりしたりなど充実した時間でもあり、この気持ちを抑えられるかの勝負でもあった。