SideJ

少し悪く言い過ぎちゃったかな。
でも、僕間違ったことは言ったつもりは無い。
初めてカズに告白されて嬉しかった。
好きかは分からないけど、話してる分にも楽しいし、同い歳だけど、お兄ちゃんみたいだった。

キスしたのは恥ずかしく、とてもじゃないけど顔が真っ赤になるぐらい分かってた。 
エッチも痛かったのもあるけど、カズは優しくしてくれるから止めはしなかった。

しょおくんは家がお隣。
僕が小さい時からずっとお友達だった。
2つ離れてるからカッコイイなって思ったり、凄いなって思うばかりといつも甘えちゃう僕はなんだか罪悪感が出ちゃう。
しょおくんが受験の時も普通に遊びに行ったりしたし、泊まったりもしたし。

なんでかな、いつも楽しいの、しょおくんと遊ぶのが。 しょおくんはいつも僕のこと気にかけてくれる。 友達だって僕は人見知りだから、怖い人ばかり。でも、しょおくんのお友達となると少しだけ怖くなくなる。

よく思えば好きだったのかも。
きっとカズに告白される前から。

今? 今は幸せ。
カズの時も幸せだったけどしょおくんの時の方が幸せ。

お隣だからいつも、どっちかの家に泊まっても問題ないもん。

両親もいつも優しいからしょおくんにも優しい

しょおくんの両親も僕は甘やかされるとは思ってる。 そんな僕を見るとしょおくんは拗ねてる。

前はそんなの見なかったけど、恋人となってからは全然違う表情も見るようになった。

カズは幸せなのかな・・・、そう思うとちょっとだけチクっとする。

しょおくんにギュッと抱きつく。

「ふふっ、そんなに抱きつかれるとキスしたくなるけど?」

「いいよ?」

「キスだけで終わるとでも?」

「ふふっ、終わらそうだね?」

そう言うと1回僕から離れてギューッとしてきた。

「やめとく、まだ時間あるし」

もぉ、僕はしてもいいのに。

「あ、そう言えば」

「ん?」

「カズの誕生日」

「あー、ごめん、普通にやってたよな」

まぁ、まだ日付は変わってないから。

「大丈夫だよ、日付変わってないもん」

「ふふっ、そうだな」

おめでとうと送れば電話がかかってきた。
暫く話して、久しぶりだからちょっと長かったかな。

「どうだった?」

「付き合ってる人いるって」

「そっか・・・良かったよね」

「うん」

カズも新しい幸せを掴んでる、これでやっと僕も幸せだけを感じるようになるんだね。
もちろん、幸せだけどチクってする時があるから。

「本当にこれで良かったの?」

もぉ、なんでかな・・・。
僕はしょおくんを選んだのに。
それが、まだ、カズが付き合う人がいなかったら分からなくはないけど・・・今はカズは幸せなのに・・・。 しょおくんにそんなふうに言われるとしょおくんは僕と別れたいのかなってなっちゃう。

「いいの、何も問題ないじゃん、カズも幸せ、僕も幸せ、しょおくんもでしょ?」

もう、しょおくんはカズのことを考えなくてもいいんだよ? 

「そうだね」

「ね、キスして?」

そう言えばキスしてくれた。
ふふっ、僕からお願いすればいいんだ。

「ね、シよ?」

そう言うと

「今から?」

「ダメなの?」

「ダメではないけど・・・」

少し困った顔をするしょおくん。

「大丈夫だよ?」

そう言うと

「分かった、無理しちゃダメだからな?」

「うん」

ふふっ、しょおくんに沢山愛して欲しいって気持ちにさせられる。

「昼間からやるとは・・・」

「ダメだった?」

「そうじゃなくて、潤にお願いされたら負けるって話」

「ふふっ、痛くはなくらないみたいだから平気だよ?」

そう言うと

「家じゃないところで我慢できなくなりそう」

だから、いつも夜だけなんだね。

「ふふっ、そうだね」

でも、しょおくんってそういう人じゃないでしょ?

「お腹空いた」

「ふふっ、お昼食べよ?」

下に降りるとお母さんがいた。
ちょうど作ってくれたみたいで食べることに。

さっきからお母さんがじっと見てくる。

「何?」

「やっと答えたんだ、潤って鈍感だったけ?」

「さぁー?」

「全然気がつかなったの?」

「何に?」

そう聞くとため息に変わった。

「どう見たって分かるわ、潤の事が好きなことぐらい」

え? そうなの?

「ふふっ、恥ずいな・・・」

しょおくんは照れくさそうに笑った。
結局僕だけなの?

「もぉ、みんな分かってたの?」

「ふふっ、そうね、父さんも分かってるわ、面白かったね、いつになったら気づくのか」

「ふふっ、そうなの? 抑えきれないからな」

「いいの、翔くんママはそんな潤が可愛いって言ってたし、どちらとも子供になんか期待してないわ」

え? 最初から僕はしょおくんと結婚するつもりで考えてたってこと?

「ふふっ、そうだね、高校の時から宣言してたし」

「まぁ、諦めない翔くんは立派な一途だよね、そんな翔くんに父さんは泣いちゃったのよ」

え? お父さんが?

「え~、そうなの? 可愛いかも」

「でしょ!? ちょっと惚れ直しちゃった」

ねー、なんで惚気に変わってるの?

「アハハ、潤の父さんは潤に似てるのかな?」

「あー、そうね、彼も鈍感なのはあるけど潤よりかは鈍感じゃないわ」

そんなことを話しながらもなんだか楽しかった。


夜は母さんが父さんと出かけるからしょおくんのお家でお泊まり。

「潤くん」

「なぁに?」

「ふふっ、可愛いよ、潤くんママご機嫌だったでしょ?」

「そうだね、惚気話してた」

そう言えば

「いい所を紹介したのよ、そこにデートしに行くからね、相当なんだろうね」

なるほどね。 だから、ご機嫌だったのか。
いつも通りしょおくんママにギューッと抱きつく。 最近はしょおくんに嫉妬して欲しくてやってるのもあるけど。

「翔が泣かしたら潤くんは私が貰うわ」

「は? ダメに決まってんじゃん」

「父さんと別れて潤くんと再婚しようかしら」

「絶対にダメだからな!」

しょおくんはムキになってる。
新聞を読んでたしょおくんパパが

「それは冗談だよな?」

そう聞くと

「本当かもよ?」

怖っ・・・。 優しいのにたまに怖いこと言うよね。

「それは無いだろ~」

そう言ってしょおくんパパは眉毛を下げて困ってそうな顔をしていた。

ふふっ、親子そっくり。 

僕、幸せすぎる。

しょおくんのお部屋では

「母さんに可愛くなるなよ」

「ん? ふふっ、なぁにそれ?」

「その首傾げたやつとか甘い声とかも含めて可愛すぎるの! 特に母さんと話す時は可愛すぎるの! おかしくないか? 俺は潤の恋人でしょ?」

「ふふっ、もぉ、怒っちゃやぁだ」

こんなの恥ずかし・・・。
今のは意識して可愛いくしてみたけど。

「めっちゃ可愛い」

それからのしょおくんはご機嫌でずーっと僕に甘えてきたのでした。