久しぶりの潤くんはまた大きくなった?

「カズ~」

「潤くん」

どちらともなくギューッとした。

「ふふっ、カズに会えてよかった」

「潤くん・・・」

どっちを選ぶの?

「カズのこと好きだよ、不安にさせちゃってごめんなさい・・・」

そんな表情は美しいけど・・・翔ちゃんが言ってたことを思い出す。

「潤くん、俺こそ信じられなくてごめん」

「しょうがないよね、僕、しょおくんのことは特別だから」

なんで、そんな特別なんだろうか。

「なんで? 俺といるより楽しそうじゃん?なのになんで俺を選んだの?」

そう聞くと潤くんは少し考えて

「カズの気持ちが嬉しかったから、その時は好きな人なんていなかったからね」

「無理してない?」

「ふふっ、してないよ? カズに愛されてるんだって気持ちは伝わるしね? でも・・・しょおくんのこと悪く言われたのは傷ついた」

「ごめんね?」

「しょおくんが特別なのは僕の初めてのお友達だから、しょおくんがいなかったらカズに出会うことなんてなかったし、友達にも恋人にもならなかった」

 「そっか・・・」

「しょおくんに告白されたのはビックリだけど嬉しかったし、申し訳なさもあったけど、しょおくんといる時間は楽しいからね? だから、しょおくんと向き合ってみようかなって」

「いいんじゃない? 潤くんは翔ちゃんといる時って凄く楽しそうだしね?」

このまま、無理していられるよりかはいいと思うし。

「ありがとう、でも、今日はカズと過ごすしたいからお祭り楽しも?」

「うん」

潤くんってお祭り好きだな・・・。

そう言えば、智はどうしてるのかな?

俺の家にまだいたりするのかな?

そんなふうに思ってたら突然キャーキャー叫び声が聞こえ始めた。

何事だろうと思い始めれば・・・随分と盛り上がり始めていた。

「ふふっ、こんな所に有名人がいるとはね?」

「え?」

「え? 知らない?」

「うん」

「カズはテレビあんまり見ないもんね?」

俺は一晩中ゲームの時間が多いからな。

「この町で育った有名人なの、アイドルなんだよ? 」

「そうなの?」

「あ、ほら、見て?」

潤くんが指さした方を見ると・・・そこには2人組のアイドルなんだけど・・・1人は智だった。

「みんなもっと盛り上がろう!」

「フェスティバルなんだぞ? もっと楽しめー」

2人で必死に盛り上げようとしてる。
それに応えてくれる人達。

身近でアイドル見れるなんて初めてだった。

「ふふっ、たまにはいいでしょ?」

「うん」

 確かに、祭りは悪くないかもしれないな。
終わりを迎える頃

「楽しかった?」

「うん」

「ふふっ、良かった~」

終わりが来ちゃったな。
これで終わる恋、悪くは無いがやっぱり好きな気持ちには変わりがなかった。

「カズ・・・、大好きだったよ? とっても幸せだった、沢山ありがとう」

「俺こそ断らないでくれてありがとう」

「ねー、カズ」

「ん?」

「最後に思い出に残るようなキスして?」

思い出に残るようなキスか・・・俺にはそんなことできるか分からないけど

「いいよ」

そっと潤くんにキスをした。
ふふっ、潤くん泣いてるし。

「ないちゃダメでしょ、笑顔で別れよ?」

「うん、ありがとう」

やっぱり最後は笑った方がいいね。

「また友達でいてくれる?」

「もちろんだよ」

「ふふっ、じゃあ、バイバイ」

「またね」

潤くんが見えなくなるまで俺はその場から離れなかった。
 



「あ、しょおくん!」

ほら、やっぱり翔ちゃんとの方が嬉しそう。
心配は要らなそうだったから俺は自分の家に帰った。

家に帰れば涙が溢れた。
分かっていたはずなのに・・・俺の嫉妬で潤くんは酷く傷つけた。

その傷は俺じゃ癒されないぐらい分かってた。
翔ちゃんを選ぶぐらい分かってた。

涙が出なくなるまで泣き続けた・・・こんなに泣いたのは初めてだった。

ドアを叩く音が聞こえたから出ると智だった。

「鍵、何処に置けばいいのか分かんなかったから、返しに来た」

「ありがとう、泊まる場所あるの?」

「んふふ、あるよ」

「なら、良かった」

そう言うと智が俺をじっと見て

「あのさ、そんな顔されちゃ、心配すんじゃん」
 
「え?」

「泣いてる顔してんじゃん、何があったかなんて聞かなくてもいいけどな? 見える範囲だから」

見てたってことね。

「うん・・・」

「カズの家に泊まってもいいか?」

は? この人アイドルでしょ!?

「いいけど、もう1人とはいいのかよ」

「連絡すれば平気、それとカズがここに泊まったって言わなければな?」

「分かった」

1人よりかはマシだしな。
それに、なんとなく智のこと気になるし。

シャワー浴びた智は大人ぽい・・・。
そりゃ大人んだけどさ、俺と同じぐらいの身長なのに全然違う。

先に智にしたからまだ俺は浴びてなかった。

「カズって白いな」

「智が焼けてるだけじゃないの?」

「んふふ、焼けたくなくても焼けちゃうからな」

シャワーで涙を流した。
これで泣くのは終わりにしよ。

風呂から出れば智はまだ起きてた。

「相葉ちゃんに誘われて始めたんだけどさ、やっぱり向いてないよなってずっと思ってるんだよな・・・、相葉ちゃんみたいな元気で笑顔の人がアイドルじゃん? なんで俺なんかなれたのかよく分からないな」

智の愚痴? 愚痴じゃない・・・、本心から出てきたものか・・・不安なの?

「それは俺に答えを求めてる?」

「んふふ、どちらでも」

確かに、びっくりした。

「いいと思うよ? 智が歌ってたり踊ってたりするのが好きな限りは続けたらいいと思う」

ギャップだったな・・・。

「みんな有名なんて言うけど、全然、毎年なんてコンサート出来ないし、そして、観客も満員にはならない、そりゃいつか埋まるだろうとは思ってた俺も悪いけどさ」

潤くんは知ってたから相当なファンしか知らないのかな? それが今回で知れ渡ったかもしれないけど。

「智は続けたいの? 辞めたいの?」



相葉さんに誘われた智だから本人の意思はあんまりなかった。 でも、だらしなくやってたわけじゃない、真面目にやってた。

「よく分かんねぇ、辞めたとしても何になるのか、続けるなら俺は何をしたらいいのかも」

「俺は智が決めることだから智がどっちを選んでも構わないけど、1回休業でもいいかも」

智は無理してるんだきっと。

「まぁ、俺って決断上手く出来ないんだよな」

「聞くけど智は今、楽しいの?」

「んー、楽しいでやってたらもっと気が楽だろうって思ってる」

そっか・・・俺には

「踊ってる時は楽しそうだった、今は楽しくないって思ってるみたいだけど、ステージに立てちゃえばやるしかないと思ってやり始めようとするけど智の踊りはキレがある

俺にはよく分からないけど少なくても楽しそうだったのは見えたよ。

「そっか、んふふ、そんなふうに言う人相葉ちゃん以外にもいたか」

なんかさっきから俺は相葉さんと比べられてるのは気のせい?

「俺はテレビをほとんど見ないから初めてだった、いつもゲームばかりな俺でも人の表情ぐらいは分かるよ」

「ゲームしてんの?」

「仕事もゲームだし?」

「へぇー」

「そう言えば明日は?」

「明日もこの近くで仕事」

「じゃあ、早く寝よ?」

てか、なんで俺はこんなに話してたんだ?

「カズ・・・」

「何?」

「ありがとう」

「お礼することなんかしてないし、てか、早く寝ろし」

「んふふ、カズって可愛いんだな?」

今、なんと言った?
可愛いって言ってたよね?

「そんなはずないだろ! そんなこと思ってる暇あるなら寝ろよ」

「ん、おやすみ」

思ったよりかは早く眠りに着けた。