んー、でも、智のずっといて欲しいってもっと重みがある感じがするのは気のせいかな?

子猫ちゃんが走り回っちゃたから慌てて追いかけたけどなかなか捕まらない。
そんな僕を見て智はスケッチブックを開いて鉛筆で描き始めた。

ふふっ、なんか追い掛けてるのも自然と楽しくなってきた。

捕まえて智のところに戻った。

「やっぱり描きやすいよ、イメージしやすかった」

「ふふっ、それは良かった」

これで智の絵は完成なのかな?

「さっきの話なんだけど、ずっといて欲しいって意味分かってた?」

そう聞かれたから

「イマイチ」

そう言えば

「んふふ、俺の言い方が悪かった」

「僕もごめんなさい」

分かってあげれなくて。

「いいよ、松潤のことが好きってこと、キスしたりとかその先とかずっと俺の隣にいてほしいんだ

えっと、恋してるってことだよね?
んー、智のことそういう意味で好きとか考えたことないけど・・・。
僕にいつも優しくて隣にいるだけで全然違う。

でも、キスの先は求めてない気がする。
キスも求めてはないけど・・・。
好きなのは好きなのかな?
僕にはとてもじゃないけど考えられない。

「今の僕にはよく分からないからじっくりと考えてもいい?」

そう言うと

「いいよ、前向きに考えてくれてるってことでしょ?」

いつもごめんね? でも、好きなら智と同じ好きな気持ちじゃないと無理な気がするんだ。

それから僕はお家に戻って色々と考え始めた。

んー、僕は恋ってものがよく分からないけど女の子とするものでしょ?
なんで僕なんかとするんだろう。
普通は気持ち悪いと思うはずだけど、お互いに気持ち悪くは無いんだもんね。

確かに嬉しい感じはするけどキスなんか想像できない。 拒否しちゃいそうな自分がいる。

どうしよ・・・、相手側の気持ちになるとかわいそうだし。

とりあえずいつも通りに過ごすことを考え始めた。

お風呂に入ったりしてもイマイチなんだよね。
智のことなんだけど何故かしょおくんまで出てくる。

いや、二度と入れ替わるつもりはないし、なっても困るだけなんだけど。

でも・・・あの二人は独特な感じで、息ぴったりで話してても楽しいからいつかまた話せたらなって思う。

なんで入れ替わったんだろう、どうして僕はしょおくんと入れ替わったんだろう。

その理由が分からない限りずっとだったりするの?

偶然だよね・・・、しょおくんだって困るはずなのに。

なんで会えないのかも分からないし。
忙しかったりするのかな? 
僕からでもいいのかもしれないけど、居場所がイマイチ分かってないからどうやって行ったらいいのか分からない。

だから、どうすることも出来ないよね。

僕の考えるべきことが沢山だよ。
一つ一つ処理しなくちゃいけないのに貯まってく。 

逆上せそうになったから慌てて出た。 
たまたまお姉ちゃんと会ってしまった。

嫌いじゃないけど・・・。
睨んできて怖い・・・僕のことを嫌ってるみたいだから僕からは近づくことは無い。

なんで? 僕はお姉ちゃんのこと尊敬してるよ? 
だって、賢いし、僕なんかよりも神社のお仕事だって上手で、何もかも僕よりも上なのに。

珍しく僕を見てお姉ちゃんは笑った。
でも、悲しそうな表情をする。
最近、学校も行かなくなったお姉ちゃんは変だけど、昔みたいに一緒に遊べたり相談出来たらいいなと思う。

「聞きたい? どうしてもなら、私の部屋にいてね?」

そう言ってお風呂に行った。
久しぶりに入るお部屋、前よりも質素になったのかな?

暫くすれば、お姉ちゃんが入ってきた。

「嫌いじゃない、嫌いだったらとっくにこの家なんか出てるからね」

「え?」

僕のこと嫌じゃないの?

「だって、好きすぎるから、嫌いになろうと思った。 けど、無理だったよ、ずっと羨ましい、おじいちゃん達にも可愛がられて」

お姉ちゃんも可愛がられてたよ?
それにおいじいちゃんは心配してる。

「ただの好きなら、普通なんだろうけど、潤が可愛い愛しい、締め付けられちゃうぐらい好きだから、離れようとしたの」

それって、これも告白?

「じゃあ、なんで学校行かないの?」

そう聞けば

「上っ面だけだから、神社の娘としか知らないからだよ」

「お姉ちゃんのことならそれ以外にも知ってるよ? 皆が知らないってこと?」

「ふふっ、そんなもんよ、有名だから」

確かに付属だからもあるけど、だからって。

「少し話せて楽になったよ、ありがとう」

「ふふっ、お姉ちゃんの方が羨ましいことばかりたよ」

神社の娘として見られたくない、普通の女の子として見てもらいたいって思うのは当然だと思う、継ぐの? とか、あんな神社のなにがいいの?とかさ、そういうのは僕は困る。
きっと、お姉ちゃんはもっと言われてきたんだだから、僕はそんな不安を無くしてあげたいんだ、分かってくれる人を増やしたいんだ、でもどうしたらいいのか分かんないよ。

分かんないからただ話しを聞いてあげることしか出来なかった。