何もかもに慣れてきた。
発売中の写真集は売り切れ状態らしい。

「潤くん、凄いよ、そのせいか新しい仕事来たんだ」

「なんもしてないよ、新しいの?」

「そう、ドラマの一部だけに出てほしいんだって」

「そうなの?」

俳優さんのお仕事? 演技の勉強なんてしてないからな。 でも、任されるならやりたいな。

「で、緊急になったんだけど、女優さんがお休みになって足りなくて女装してほしいらしい」

「僕が? してどうするの?」

胸ないよ? まぁヒゲは生えて無いけど。

「そう、ドレス着て撮影は舞踏会会場でやって踊る場面だと」

「踊るの?」

「エスコートしてくれる人が多いから平気だよ
大人気ドラマだからお願い・・・」

嫌ではないけど、みんなそれで満足なの?

「視聴者のみんなも納得できるのかな?」

「監督さんがめっちゃ起用したいと言ってたから、視聴者は分からないけど、潤くんの演技はきっと認められる。 もし、バッシング起きたらその時はその監督に訴えてやるし」

そこまで言うなら・・・

「いいよ? いつ?」

「明日」

明日は空いてるし。 やるからにはしっかりとやらないとね。

「分かった、迎えに来てくれるんだよね?」

「もちろん」

まぁいいか。 変な趣味だな、監督さんは。
なんで、僕なんか選んだんだろうか。

ネットで踊り方を少し見た。 なるほど、ペアーだから合わないと難しいのね。

イメージしてイメージして浮かべて・・・って浮かべると彼が出てくる。 
やめよ、宿題したり、スケジュールの確認したりら寝るまで暫く考えなかった。

寝るときに最終確認して寝た。

次の朝はぐっすり寝れたからか早く起きてしまった。 少し早めに玄関を出るとちょうど来たんだ。

「おはよう、早めに行こうとしたらピッタリでしたか」

「今日は時間が余っちゃってね」

着くと会場は広くてカズくんに案内されて着替え始めた。 スタイリストさんが手伝ってくれたから出来たけど、長くて少し短くしてもらった。 

まだ僕には毛が生えてないから剃ることも無かった。 いつも以上のお化粧で本当に女の子だと思って凄いなと思った。

「おはよう、君が写真集が過去最高に売れた有名人?」

「そうだよ? 噂の子、どう?」

「おー、やっぱりおいらが予想してた通りだ。
美しいよ」

そう言ってニッコリ笑った。
それから少しだけ談笑して、撮影開始となった

リハーサルは色んな人と踊らせて貰った。
中には少し怖い人もいた。 だって、僕のこと狙ってるもん。 お断りだよ、目付きが怖い人は。

急に停電になったとき誰かに引っ張られた。
すると小さな声で

「君は狙われてるよ、次、相手する人もそうみたい」

観察力が凄いなと思ったけどフワッと抱き締められてチュッとキスしてきた。

優しい感触・・・、熱くなるような感じ。
もう一回してみたいぐらいだった。
僕、男ってこと分かってキスした?
でも、フワッと抱き締められたときに桜の匂いがしたんだ・・・。 ってことは彼なの?

彼も同じお仲間?

本番は彼と組むことになってドキドキしながら撮影が始まり、彼との踊るのはなんだか幻想的に見えてくる。 彼のエスコートが凄く上手で僕も上手に出来てるって思えるんだ。

終わると監督さんに呼ばれて少し飲み会をした
その場でね。 で、今度は違う役で出てもらえるかお願いされた。

それから少し酔ったような感じはしたけど着替えてお家に帰った。

特にお酒も飲んでないのにフラフラするのはなんで? 間違えて飲んじゃったのかな?

ベットにダイブした途端、眠くなってきちゃってお風呂入らないまま寝てしまった。