本当に体験した怪異⑥妖怪 | 染井的趣味ライフ

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ドール沼の住人による、ドール沼のブログです。主にカスタムのメモにしていく予定なので、素体写真をあげていきます。ドールや生首や真っ裸が苦手な方はご遠慮ください。ドール以外に介護日誌と小説を始めました。

染井は妖怪と2回、遭遇したことがあります。

場所は別ですが、同じ妖怪でした。

今回はその時のお話です。


あれは中高生の頃のこと。

明確にいつとは覚えていないが、神棚に供える榊を取りに行くと言う父に付き合って一緒に山に行った。

家から父の運転する車で行って、森の手前にある空き地に駐車すると、この場で待つように言われた。

父を見送ると、しばらくその辺の森をぶらつく。

綺麗な緑に囲まれて深呼吸すると気持ちが良かったことを覚えている。

しばらくボーッと木立を見上げたり、足下の花を見ていると何か聞こえていることに気が付いた。

「うふふふふふふふふふ」

「あはははははははっ」

「ほーほっほっほっほっ」

「けらけらけらけらけら」

それは無数の笑い声で、重なり合いながら頭上から降り注いで来ていた。

かすかに聞こえる程度なので最初は気が付かなかったのだが、考えれば森の中に入った時からずっと聞こえていた。

空耳だろうとも思ったが、ちょっと気持ちが悪いので一度、車がある空き地まで戻ってみた。

すると、笑い声が聞こえなくなったので、やはり空耳だったのだと思った。

少しホッとして森に再び入ってみると…

「うふふふふ」

「あはははははははっ」

「ほーっほっほっほっほっ」

「けらけらけらけらけらけら」

…また聞こえてきた。

空耳じゃないの…?

そう思った途端、背筋にゾクリと悪寒が走る。

私は走って車に戻ると、中に入って震えていた。

しばらくすると父が戻ってきたが、父は何事も無かったようでいつものように能天気な顔をしていた。


数年後、20代になっていた私は休みの日に近所の山に登った。

登るといっても10~20分で山頂につくような小さい山だ。

散歩感覚で気楽に歩を進め、あと少しで山頂というところでふと気づく。

「うふふふふ」

「あはははははははっ」

「ほーっほっほっほっほっ」

「けらけらけらけらけらけら」

…いつか聞いた笑い声と同じものが、今いる崖の下に広がる森の中から聞こえてくる。

山頂の手前は岩肌に掘られた階段があり、そこへ続く道も岩肌に軽い傾斜がついた道。

その下は断崖絶壁とまではいかないものの、高さ50mほどの垂直な壁の下に森が広がっている。

眺めは良い。

辺りに人影はない。

一瞬気のせいかとも思ったが、確かに聞こえる笑い声にゾワッと鳥肌が立つ。

慌てて山頂まで行き、設えてある展望台からさっきまでいた崖の道と、その下に広がる森をそっと覗き込むと笑い声はもう聞こえなかった。

空耳では…?と思ったが、崖から山頂までは2~3mしか差が無いのに、山頂に上がった途端、声が聞こえなくなるなんて物理的あるのだろうか…?

それに以前、森の中で聞いた笑い声とほぼ同じだと気が付いた瞬間、私はダッシュで山を降りていた。

登って来た時とは違う森の中の道を通ったせいか、帰りは何も起きなかった。


ごく最近になって、あの時の笑い声は妖怪なんじゃないかと思い、「山の中 笑い声」で検索を掛けてみたところ「天狗笑い」というものがヒットしました。

そうか、染井は天狗に笑われていたのか…(笑)

ちなみに友人にこの話をしたところ「わかるわかる。私も森の中で聞いたことあるよ、たくさんの笑い声」と言っていたので、割とありふれた怪異のようです。