
今日は「大暑」
二十四節気のひとつで夏の暑さが盛りを迎える頃。
朝4時、目を覚まし、天窓を含め家の中のすべての窓を開け
放していると、陽がさしはじめ、ヒグラシや小鳥たちが一斉
に鳴き始めます。
この声を、そして木々をわたり吹き抜けてくる風の音を聞く
たびに、また朝を迎えることができた喜びを感じるのです。

【ある夜、友人とこんな話をしたことがある。
私たちはアラスカの氷河の上で野営をしていて、空は降
るよう星空だった。
オーロラを待っていたのだが、その気配もなく、雪の上に
座って満天の星を眺めていた。
月も消え、暗黒の世界に信じられぬ数の星がきらめいていた。
時おり、その中を流れ星が長い線を引きながら落ちていった。
「これだけの星が毎晩東京で見られたらすごいだろなあ・・。
夜遅く、仕事に疲れた会社帰り、ふと見上げると手が届きそう
なところに宇宙がある。
一日の終わりに、どんな奴だって、何か考えるだろうな」
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。
たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見
ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさや
その時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンパスに描いて
見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだっ
て・・・。
その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと
思うって」
人の一生の中で、それぞれの時代に、自然はさまざまな
メッセージを送っている。
この夜へやって来たばかりの子どもへも、去ってゆこうと
する老人にも、同じ自然がそれぞれの物語を語りかけてくれる】
星野道夫「オーロラの彼方へ」より
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