
立冬もすぎ、これから季節は、冬に
向かい始めます。
家の周りの木々もすっかり紅葉し、
早いものはもうすっかり葉を落とし
てしまったものもあるのですよ。

ギャラリー前に立つウワミズザクラ
同じ種類おたがいすぐ近くに立って
いても、一方の木はすでに葉を落と
し、もう一方の木はがまんがまんと
でもいうかのように、しっかり葉を
残しています。
この木たち、見た目は同じような年
月を経ているかのように見えても、
確かなことはわからないので、この
差が出るのかもしれません。
けれども種から同じ条件で木を育て
てみても、やっぱり個体差はでてく
るのです。
10年ほど前に、種から発芽させた
3本のメイプルの木は、大きさも、
葉が紅葉する時期もまちまち。

さっさと大きくなり、しっかり枝を
伸ばす木があるというのに、幹が太
くなるのも、枝を伸ばすのもゆっく
りマイペースの木もあります。
超マイぺースの息子を持つ身として
は、成長の遅い木と我が子の姿がだ
ぶってしまうのですが・・・。
木もいろいろです。

以前「花だったらすぐ咲くのに、ど
うして木の種なんて蒔くの?」と聞
かれたことがあります。
一年草なら蒔いたその年、宿根草で
も翌年には花を咲かせる草花に比べ
木は発芽し、そこそこ大きくなるま
でにも何年もかかり、ましてや大木
になるためには、何十年もの年月を
経なければいけません。
ですから、種を蒔いたメイプルの木
が、見上げるほどの大木になるのは
きっと見られないでしょう。
けれどもわたしが蒔いた一粒の種は
わたしがこの世を去ったあとも、ず
っと世界を見続けてくれるのです。
きっとこれから世界は素晴らしくな
る、その世界をわたしに代わって見
てほしい、という願いから、わたし
は木の種を蒔くのかもしれません。