「……ずっと、気になっていたことがあるのです。あなたにとってヒバリ殿は何なのかと。それを、お聞きしても?」
調べても調べてもヒバリの過去や身分は何もわからなかった。わかっているのは彼の変装技術が素晴らしく、色事を厭わないということだろうか。ヒバリが閣下の情人であるというのなら、仕事であっても色を使うのは嫌ではないのだろうか? 閣下ほどの力と地位を持っていれば、何もヒバリがそれをせずとも適任は他に幾らでもいるだろう。むしろサーミフには閣下がなぜヒバリを側に侍らせるだけの存在にしていないのかが疑問だった。大切なら、危険な場所には近づけたくないのでは?
「なら君にとっての凪殿は何なのかな? ただの使用人? 哀れな子供? それとも、疑うべき罪人? まぁ、どれでも良いけれどね」
そちらのこと に自分は関係ないのだから、と閣下は笑う。
「何かをしていないと気が狂いそうだから、君の疑問には答えてあげよう。話終わる頃には到着しているだろうからね」
そっと、閣下の指が銀の首輪を撫でる。その瞳はひどく優しくて、サーミフはほんの少し視線を逸らせた。