ふわり、ふわりと漂う意識が少しずつ浮上していく。重い瞼を持ち上げた凪であったが、起きたという感覚はなかった。まるで夢の中で目を覚ましたかのような、ふわふわとおぼつかない感覚。視界もどこか霧がかっていた。
「……目を覚ましましたか?」
ボンヤリと正面を見つめていれば、近くから声が聞こえた。知っている声だが、どうにも思考が定まらない。身体が重くてしかたがなかった。
「どこか痛いところはありませんか? 気持ち悪いとか」
声の主が凪を覗き込んでくる。いつもはキッチリと着込んで肌など晒さないというのに、今の彼は白いシャツのボタンがすべて開けられて真白な肌が見えていた。
「一応、血は出ていないようなのですが……」
そっと、その白い手が凪の頭を撫でる。ツキッ、と痛みを感じたが、どうして痛いのかはわからない。けれどその痛みがほんの少し意識を鮮明にしたのか、ボンヤリとしたままではあるものの凪は息苦しさを覚え、その 耳は悲鳴を聞いた。
「ッッ――、なにが……」
何が起きている。視線を彷徨わせ、凪は無意識のうちに口元に手をやった。なぜかそこにあるハンカチを払おうとする。しかしその手は真白な手に掴まれて阻まれた。