ゆうは絵を描くのが上手い。歌が上手い。運動神経がいい。
多趣味だ。
ちょっと前までは、一人で部屋にいるなと思ったら、好きな音楽を聴きながら絵を描いていたり、ピアノを弾いていたりした。学校の帰り道、友達とバスケしてから帰ってきたんだ、そんな子だった。
だから、部屋に行ってくれると私は自分の時間が取れて、子どもたちも大きくなったな。これが子離れだなって思ってた。
だけど、今、部屋に行くと電気は消え、ベットに丸まってスマホをいじっているゆうがいる。
カーテンも開けず、穴に潜り込んでいる冬眠中の熊のようだ。
大丈夫かな。
「ほらほら、目が悪くなるから電気ぐらいつけたら」
そう言いながら、どうしたら心の灯りは灯るのだろう。
と、悲しくなる。
部屋に行ってしまうと、何時間も出てこないと、何か起こっているのではないかと本当に心配になる。
いまのゆうには、ピアノは目に入らないんだろう。
綺麗な色の鉛筆も、大好きな音楽も入ってこないんだろう。
部屋は高校に入学した当初から何の模様替えもされないままだ。
「ねぇお母さん、新しい楽譜買って!」
「ここに置くぬいぐるみ増やしたい」
そう言ってくれる日がきて欲しい。