SOD・ワールド2

最終回18、SOD団VS黒翔団

 妙な空気のなかを駆け抜けるキョンカ。
背中にはセイが背おられていた。
セイの血がキョンカの服を真っ赤に染めていく。
「トナっ……」
小さな声で呟き、スピードを増した。
 セイは動かないが少し心臓の鼓動が読み取れる。
だがそれも時間の問題だ。
「トナっトナ!」
目の前にトナの影が見えた。そのとたんに心が楽になる。
キョンカはトナの元へと全力で駆けた。
「トナ…任務は一旦中止。セイがっ!」
「キョンカ…来てたんダ」
トナはにっこりと笑う。
それを見てキョンカの足は止まった。
「トナ…じゃない…」
キョンカは銃に手をかけた。そしてセイをゆっくりとね転がせる。
「ア…シェイラ様ァ!敵きたんでそろそろ帰ろォ~」
サファリーは手を合わせて呪文言う。
目の前には扉が現れた。
「まだ帰らなイ。あいツを始末すル。」
トナ、シェイラは地面を蹴った。何よりも速いスピードでキョンカのもとへ行く。キョンカに当たる直前で拳を作った。
「お友達見たいに穴開けてあげル!」
「っ……」
キョンカはシェイラが目の前に来たのを感じ思いっきり横に避けた。
「ぐっ………」
だが拳はキョンカの腰の端に当たる。
こんなかすり傷で見たことがない量の血がキョンカの目を疑わせた。
「あぁ残念。外しちゃっタ…じゃあこの剣で!」
シェイラはニコニコとしながらトナの剣を抜く。
「いっくヨ~!」
キョンカは震えた足を押さえながら銃を剣へと変えた。
「バイバイ…」
シェイラが口を開いたとたん。腹に妙な痛みがする。
「あ…なんでっ…」
腹に目をやるとトナの剣が刺さっていたのだ。
 キョンカは片手で銃を剣へと変えた。
目はシェイラをずっと見ていた。
そして知らないうちに剣が突き刺さっている。
そして知らないうちに目の前にはシェイラがいた。
 「熱い…痛い……」
シェイラはずっとニコニコとしている。
「トナ…起きて…!トナ…ねぇトナ!」
力を振り絞って言う。
腹から剣が抜かれるような感触がした。
「ほんと残念。心臓にささなきャ…」
シェイラの暗い瞳のなかにキョンカがうつる。
「ふふっ本当美しい顔立ちネ!アレス見たい二…どうすル?こっちにこればずっとアレスと一緒ヨ?嫌ならここで死ヌ。」
「アレスと一緒なら死んだほうがまし!」
「そウ…!」      
シェイラは剣を高くあげた。妙な笑みを浮かべてる。
「死ね!!!」
「止めろ………。」
剣が振りさげられたとたん。どこからか声が聞こえた。シェイラの手はピタリと止まる。キョンカはぎこちなく振り返った。
「トナ…目を覚まして。キョンカもセイも可哀想。」
「ソラヤ…!?」
体の弱いソラヤが外に出ているのが何年ぶりだろうか。
「あなタ…!久しぶりネ」
シェイラは剣を下ろしソラヤの方へ歩いた。
ソラヤは軽蔑するような目でシェイラを睨む。
「こんな小さくなっテ…どこにいたノ?」
シェイラの馴れ馴れしさにキョンカは声が出ない。
ヘイルーとサファリーも驚いていた。
「「お父様…!」」
ソラヤに近づく三人。だがこの三人から目を見放した。         「来ないで…」
小さく呟いた声に三人は体を震わす。
「僕はSOD団。お父様?誰にいってるの?」
「まさカ…記憶ガ??」
「早くトナを返して。トナ!!!」
シェイラは剣をかまえ、先を自分の心臓に向けた。
「なッ!?」
「シェイラ様!!」
「私じゃなイ…トナダ!」
剣が胸に刺さる。
「ぐっトナ…なんデ?トルラ!!」
シェイラはソラヤを睨みながら手を伸ばすが地面に倒れ込む。
「ダメダ…やはり仮の体はもたなイ…。なんで裏切っタノ?トルラ…」
トナの瞳の暗さが吸いとられるように消えていく。
それと同時にサファリーやヘイルー達も砂と化していた。
「やっぱり。君達はシェイラから生み出された。だからお前達の体も消滅する。」
ソラヤはにこっと笑った。
「シェイラ様を捨てタ…やはりお前ハッ!」
「許さなイ!お父様なんテ…!」
地面には叫びとともに砂が残る。黒い砂で草木を枯れさせていく。
「ソラヤ…あなたって?」
「ん?どうしたの?僕はSOD団。」
ソラヤは倒れたトナに近づいた。
胸には深く剣が刺さっていて血が止まらない。
「派手にやったね。トナ。」
トナから剣を抜く。
抜くと同時に大量の血が溢れ出した。
ソラヤは少し深呼吸をし、できるだけ見ないように背中にトナを乗せる。
「キョンカ…セイ、大丈夫?」
「えぇ…頑張るわ。その女の子はどうする?」
「う~ん……僕、頑張る。」
何もなかったように五人はゆっくりと動き出した。
チェンに帰るために。
早く戦争を終わらせるために。



(黒翔団ってこんなに弱かったんだ…。本当に残念。トナのためにもっと強い団を作らないと…ネ!)



後書き…SOD・ワールド最終回ですがまだまだ続きそうな予感ですね。
ですがいったんここで止めて、新しい小説の発表をします!!
前言っていた黒蛇姫は短編として置いときます(・∀・)
で、新しい連載小説が・・・「GOD-days~悪魔な王子の物語~」です。
主人公は神なのに悪魔の羽を持った王子、ロイ。ーーーーいろいろと続きます。
明日から連載予定なんでお楽しみに!!
SOD・ワールド、読んでいただいてありがとうございました!!!!!!
いいねもいっぱいつけてもらえて嬉しかったですヽ(^0^)ノ
これからもよろしくお願いします!!!!!!


SOD・ワールド2

17、さようなら

 風が吹き荒れるなか親子の戦闘。
キョンカの目の前にはセイ大量出血して倒れている。
「黙れ…私の大切な名前をバカにするな!」
「ケネ…あなたずいぶん親に酷くなっテ…あなたの名前はケネしかなイ。それがあなタ。」
「うっさい!黙れっつってんだろ!誰が親だよ…目の前で死んでさ。何もせずに私に名前をつけないで終わったお前に汚されたくないんだよっ」
キョンカは勢い良く言い過ぎたせいか息が続かない。アレスはくすくすと笑った。
「分かったワ。キョンカネ…大丈夫。もうすぐあなたも死ぬかラ…トナさえいれば…SOD団は破滅すル。」
「はぁっ?」
トナという名前に反応する。アレスは大きく目を見開いた。
「死になさイ。そして終わル…この世界…人間という生物がどんなに醜かったのカ…」
キョンカは上を見上げた。空はだんだん暗さを増し闇に包まれていく。
目の前にいたアレスもいつの間にか消えていた。
「ど、どうすれば…」
キョロキョロと見渡す目に止まったのはセイが持った龍喰だった。
闇に染まるなか、黄金に光輝いている。
迷わずキョンカは触れた。
まるで光はキョンカを誘うように点滅していたからだ。
黄金の輝きはキョンカとセイを包み現代へと運ぶ。
その姿をクスクスと笑いながらアレスは見つめていた。

 静かな海。
揺れる木の下で倒れているトナ。
少したつと指先がピクッと小さく動いた。
そこから動く範囲は広がりトナは目を開く。
目の前には青空が広がっていた。
そして隣に影があるなと横へ顔を動かす。
「っ…!」
そのとたんトナは勢い良く起き上がった。
「あっトナ起きタ!」
隣にはサファリーそして幼女、ヘイルーと麗水国王女、ジュリアがいる。
ジュリアは気を失っていて動かなかった。
「何でこんなことするの?一体何がしたくて…―――」
「バカ!人間が悪イ。人間達のせい私達は何度死んダ!生まれ変わっても生まれ変わっても、家族も思い出も何もかモ…全てを失っタ。人間が憎いんダ!!」
ヘイルーは殺気のこもった瞳でトナを睨む。
そしてサファリーの首にかかった笛を手に取った。
「分かるでしョ?黒翔団なんだかラ…私達の心の傷…深く深く刻み込まれたこの傷ガ…!!」
「……………………」
ヘイルーは歯を食い縛ってから笛を口にくわえた。
「無理矢理でも分からしてやル!!」
ヘイルーが息を吸うと同時にトナは耳をふさぐ。
ビィィィィ…
不気味で高い音が島じゅうに響き渡った。
「う…あ…。。やめっ…ぐ……」
トナは地面に膝をつく。
ヘイルーは吹き続けた。
「お前なんか壊れたらいイ…正真正銘の黒翔団になればいいんダ!!」
「はぁ…はぁ…もう止めて…。僕は何も知らない…だからっ…ぅあ…」
トナの頬が黒く染まる。
まるで何かに無理矢理洗脳させられているようだった。
動きたくても動けない体。
締め付けられる思い。
何も考えられなくなっていた。
「も、う…ダメ…だ…!」
「ヘイルー…もう止めテ…」
サファリーは笛を引っ張る。
ヘイルーはすぐに吹くのを止めた。
「あぁア…帰ろうと思ったのニ…やりすぎだヨ。ヘイルー…」
「ごめんなさイ……カッとなってしまっテ…」
二人の前にふらふらと影が揺れる。
それを目にし、笑みをこぼす二人。
トナは目を瞑りながら立っていた。
風が吹くと倒れそうな足は少しずつ二人に近づいていく。
「「シェイラ様……!」」
トナ、いやシェイラは笑顔で二人の肩を手に取った。
「久しぶりネ…ヘイルー。サファリー。今日で最後にしましょウ…」
「「はイ!シェイラ様!!」」
SOD団消滅までのカウントダウンが始まった。

 SOD・ワールド2

16、小さな記憶

 「ピャナ・ソムカ!世界一のボンキュボンよっ!」
「頭大丈夫か?」
ピャナが指差した先を崩すケネ。
 ここはSOD団、とっておきの大浴場だ。
今は貸しきりでピャナとケネしかいない。
二人は体にタオルを巻いて風呂へと足を運んだ。
「それより…ケネだっけ?服洗ったからまた渡すわ」
「いらない。処分して…」
「え?私服なくなるわよ?制服しかないし…」
「いい。私服なんていらない。制服がある。」
「ふーん…。」
ピャナは気の無い返事を返した。
ケネはずっとうつむいたままで顔を上げようとしない。
水をすくい、ピャナはケネへとかけた。
水しぶきがスローで見える。ケネは反応したが少し遅かったようだ。
大量の水がケネの髪を濡らし滴り落ちる。
「お、お前…」
「あら!ごめんね!」
「こっのーーーーっ!」
二人は水を掛け合った。
ケネにも笑顔が宿りピャナはクスッと笑う。
「あんた、笑った方がいいわよ。」
「いきなり何言って…」
「頭洗いましょうか」
ピャナは湯船からケネを引き上げ、シャワーへと行った。

 風呂に入り良い臭いのシャンプーとリンスの香りが漂う。
今まで血だらけだった体は透き通った白い肌を見せ、黒い制服は目立たせた。
「「美人!」」
アグレスと男性は声を合わせて呟く。
これを聞きケネはフンッと目をそらした。
「あぁ俺は優・レンだ。よろしくな!お前は?」
「ケ…ケネ。」
ケネは照れくさそうに言う。自分には名前が無い。だからいちいち言うのが恥ずかしかったのだ。
「ケネ…だけか?」
「そう…」
「そうか…」
アグレスはうつ向く。
きっとアレスのことを考えてるにちがいない。
とケネはぎゅっと歯を食いしばった。
「ま、まぁこの話はお預けだな…。優!あの子達を呼んできてくれないか?」
「分かりました!」
優はにこやかに答える。そのままスキップをして部屋を出ていった。
「何なんだ?」
「ピャナは少しお姉さんだろ?だからケネと一緒くらいの子を呼びに言った。」
「…こいつらも何か持ってるのか?ラビ…」
「ラビアな~持っとるぞ」ケネは眉間にシワをよせた。まさか自分と同じような子がいるとは思わなかったのだ。
 数分もたたず、ノックの音が鳴る。
「セ…セイです!」
「ソラヤです。」
二人の子供が名前を言う。それと同時に扉が開いた。
「「っあ……」」
「……………」
目が合うケネと二人の少年。一人は気弱そうな子で一般に見慣れた黒髪。
頬の横の髪に紐でくるくると止めていて不思議な髪型だ。
 もう一人はさらさらの綺麗な紅い髪。紅いつり上がった瞳。
男子には見えない美男だ。
「ぼ、僕!セイ・ファオラです!」
「ソラヤ・ヤンラ。よろしく!」
二人は手を差し出した。
手を繋ぐなどあまり経験していないケネは二人の手を叩く。
パチンッとした音とともに「ケネ。」と言った。
二人は少しいたがりながらも笑顔だ。
「へんなの…」
なにもない方へ目線を変えた。
それでも二人は笑顔だった。
 SOD団では部屋が貰える。風呂もあり食事も出して貰える。
そして仲間がいる。
退屈の無い時間。
黒猫が主人と遊ぶ時間。
時間の流れは速くて、すぐに団に溶け込んでいく。
目の前はセイがいて。
ケネは目を見開いた。
「あれ…私…何して…」
「ケネ!やっと口開いた…呼んでも返事こないから心配したよ…」
綺麗な瞳のなかにケネが写り込んでいた。
セイはニコニコと笑っている。
―――――気にくわない
ケネはすぐにセイを見るのを止める。
「ねぇケネ!良いこと教えてあげようか?」
「良いこと?なんだ?」
半信半疑で聞き返すケネ。するとセイは立ち上がり胸を張った。
「キョンカ・ケネ…ってどうかな?」
「はぁ?」
ケネは眉間にシワをよせ、セイの顔をまじまじと見つめる。
「ケネの故郷って『チェン・キヨルドメシカ』だよね?だからキヨとカをとってキョンカ!…どうかな?」
ケネはクスッと笑った。
なぜか分からないが笑いがこみ上がってきたのだ。
「おかしいか…ケネ、僕たちみたいな名前じゃないんでしょ?だから…」
「良いんじゃないか?キョンカ・ケネ…。」
セイはケネの意外な反応に口をぽかんと開けた。
ケネは立ち上がり、砂をはらう。
「じゃあ私はキョンカ・ケネ。これからはキョンカって呼びなさい…」
「……うん!キョンカ!」
セイは大きな声でキョンカに言った。