人々を想って我が身を顧みず立ち上がった偉大な先達を描いた時代劇を観ますと涙なしでは見れず、嗚咽するほどです。

平将門公、西郷隆盛公など行末は分かりながらも人々を守ろうとされて時の流れに翻弄されてお亡くなりになったお姿に触れる度に胸がいっぱいになります。

以前から気になりながらも加藤剛さんご主演の大河ドラマ「風と雲と虹と」の総集編がYouTubeにありましたので早朝拝見いたしました。








DVDで完全版があるみたいですね。とても気に入りましたのでいつか全部拝見したいです。

素晴らしいスケールでした。配役もとても豪華で見応え十分で今、余韻に浸って書いております。

余談ですが播磨屋、中村吉右衛門さん版初期の「鬼平犯科帳」のナレーションを務めた中西龍さんが語りを担当されているのも味わいがあって良かったです。


平安時代末期、朝廷側の散漫な支配体制と武家側の台頭のかまびすしい中で混沌としてかつ退廃的な雰囲気、地方支配の曖昧さ杜撰さにかけて民の疲弊した暮らしの中で物語が進みますが、どこか誰も報われないような、かといって諦観的ではなくより積極的に力一杯進んで生きようとする描写が魅力的な大河ドラマだと個人は思いました。

将門公の個人の恋感情からいざこざもありながら最後は民の為に立ち上がる姿は勇気づけられます。それが今さらながらにありがたく嬉しく思い涙が止まりません。



坂東、関八州で一旗挙げる平将門役の加藤剛さん。

伊予國で一旗挙げる藤原純友役の緒形拳さん。

とてもスケールの大きく、朝廷側の思惑とその地を治める武士の力同士のぶつかり合いと駆け引きが手に汗握って観ました。


そこで、なにが正義でなにが正しくないのか……人間の世界は今も昔もなんにも変わっていないのだと改めて思い知らされた次第でした。

民衆を守るために立ち上がって関八州を制覇、朝廷から独立しようとした将門公。

はたまた、それを御上の意に反する、謀反であり大罪として制圧したい、潰したい朝廷側の田原藤太(露口茂さんの表情1つ1つが渋く重厚で素晴らしかったです)。

本当にどちらが正しいのか、争うことそのものが悪いととるのか考えさせられました。

その喧騒の中で人生が狂わされて、幾多の命が散って……。特に吉永小百合さん演じる貴子姫が気の毒で仕方がありませんでした……。


平安時代でも、そして令和の今でも争えば必ず人は傷つきますし、悲しむことになります。第三の道があればを見据えなくてはならないと考えさせられます。


止むに止まれず使命を感じて行動された将門公が今さらながらに涙を誘い、最期は嗚咽してしまいました。

風向きが変わって田原藤太側に一気呵成、突進して矢の雨を打ち込み、勝利が掴む寸前、風の流れが変わって……。涙が止まりませんでした。


時を経て、ご本人様ではありませんし、あくまでも製作された物語の中で色々感じてたくさん泣いてしまいましたが、あまりにも加藤剛さんはじめご出演の皆様方の演技の素晴らしさ、自然さに平安時代末期の空気感を肌で感じながら拝見しました。

子どものころから大好きだった加藤剛さんは専ら「大岡越前」ばかりを見て憧れていました。

同性から見てもお姿もお人柄も完璧でせめてあのように正しく生きていかなくてはならないと「大岡越前」を通して学びました。

この度初めて拝見した「風と雲と虹と」は屈強でたくましいお姿が新鮮で加藤剛さんの魅力に惹かれました。


江戸御府内在中になってから将門公の御塚にはお伺いすることを決めていますが最近いざこざが続いて御参拝が少し遠のいて申し訳なく思っています。

「風と雲と虹と」を通してどことなく繋がりをいただいているかのような気持ちを再確認し、温かくお守りくださっていることを感謝して、また大手町の御塚にご参拝したく思います。

最後に「将門は今も生きている」とありましたが、確かに左様だと。