1966年4月12日〜5月3日、カラヤンとベルリン・フィルは日本各地で演奏しましたが、ありがたいことにその演奏はSACD化されて発売されています。
個人はこの度(無理して購入しました)取り上げたいのは、東京でのベートーヴェン交響曲全曲演奏会のSACDです。
今、手始めに4、7、2、8番、「レオノーレ」序曲第3番を聞いています。
全部……聞いてみたいですね。カラヤンのライブは本当に凄いと個人は思いますし、その聞き応えたるや言葉にし難い魅力があって実演に触れた方々が羨ましく思います。
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ライブならでは、スタジオ録音にあった丁寧に歌い込むような慎重な姿は影を潜めて実に雄弁に大いに語る姿が眩しくグイグイ引っ張っていくカラヤンの指揮振りが浮かぶようですし、時としてかつてのあのモノーラル期のフルトヴェングラーさんの時のような音色が確認できて、アンチカラヤンの好事家の方々が全く深みがまるでなく外面を整えただけの音楽と時折揶揄されていますが、個人は左様に思いません。
70年代になりますと、その古き好きフルトヴェングラーの音色はいささか失った感はあります(それだけベルリン・フィルがカラヤンの色になった証左に他なりません)が、その経緯の中でこの1966年の来日ライブがCD化されて彼らの演奏会で見せる真の姿、実力を知ることができるのは実にありがたいことです。
加えて、木管楽器も70年代以降にはない、個性を聞き取ります(フルートには確かかのゴールウェイさんが在籍されていた時分ではないでしょうか)し、他にもフルトヴェングラーあるいは更に昔のアルトゥール・キニシュを知る楽士が未だ多分にいた時代でこの1966年の来日公演にも参加されていたのではないかと想像します。
重厚でありながらも、磨かれた美しいキラキラしたベルリン・フィルの音色が素晴らしいと思いますしスタジオ録音にはないライブという緊張感、といいますか高揚感がひしひしと伝わってきて実に聞き応えがありました。
カラヤンは指揮者もオーケストラもクールだが聴衆が熱くなっているのが一流の姿である、といって「カラヤンの汗」について議論されたこともあったり更に、私に汗は相応しくないとかなんとかいって映像収録の撮り直しをしたと雑誌で読んだ記憶がありますが、しかしこのベートーヴェンは全てにおいて白熱しているといわざるをえません。
カラヤンの描くベートーヴェン像、それは活力があり積極的で男性的であり力強くて勇ましく個人は大変好みのベートーヴェンです。
最近の研究肌の速いテンポ基調の、軽やかなレガート、ノンビブラートで薄味のベートーヴェンの演奏は個性を感じませんし、すみませんがどなたも一緒のように聞こえて、原点回帰の趣向が強い楽界の中で指揮者の個性やオーケストラの同じく個性や音色が全く一緒のような気がして味気なさを感じる中で懐古厨乙(個人はこのような用語は全く使用いたしません)といわれるでしょうが、カラヤン、あるいは朝比奈隆先生、山田一雄先生、フルトヴェングラー、トスカニーニさん、ケンペさん、ワルターさん、クーベリックさん、シューリヒトさん、クリュイタンスさん、クレンペラーさん、モントゥーさん、イッセルシユテットさん、あたりのベートーヴェンは実にありがたいと思います。
今年2020年はベートーヴェン生誕250歳のアニバーサリーイヤーで漸くその記念を味わう個人の第1弾として愉しみました。