チェコの名匠、ヴァーツラフ・ノイマンさんが今年、生誕100年のアニバーサリーイヤーです。

タワーレコードさんの例のSACD化の企画で初めて知りました。

来月、ドヴォルザークの後期交響曲集、協奏曲集とスメタナの《我が祖国》を発売されるそうです。


タワーさんからのメールが届いて、ノイマンさんもご存命だったら、もう100歳にもなりしかと1人感慨深くなりました。

この方はクラシック音楽を聞き始めし頃より馴染みがある方でスプラフォンレーベルの廉価盤でお名前が散見され、早い段階でご縁がございました。

しかし、その廉価盤の音質の悪さときたら初心者の右も左も知らぬ手前でも閉口して(ノイズが多めでザラザラした感じの)それからノイマンさんの演奏は6、7年くらい避けていました。

(チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とラフマニノフの同第2番のCDの音質が駄目でした。)




それから、国語学の先生がノイマンさんのことが大好きでマーラーの第6番等をお借りして聞いたりしましたが、テンシュテットさんやショルティさんのそれとは違い穏やかで美しい演奏にすみませんが物足りなさを感じましたが、先生がノイマンさんは素晴らしいと語っておられるお姿が印象に残っております。

それから、定番中の定番、歌舞伎十八番ではございませんが、晩年のドヴォルザークの《新世界より》を聞いて正攻法で純音楽的で語り口の深さ、美しさに感動しました。



端正で、素朴で、落ち着いた表現ですが味わいがあります。どなたも真似できない演奏ではないでしょうか。

なんといってもチェコ・フィルの響きの美しさはドレスデン・シュターツカペレ(かのワーグナーをして『魔法の竪琴』といわしめたほどです)と同様印象深く、耳に心地よいですし、ファーストチョイスにするにも最適な名盤があります。



とくにこのスラヴ舞曲集は、音質、演奏ともに最上でファーストチョイスにされても十分だと思います。
繰り返しますがノイマンらしい端正な歌とチェコ・フィルの巧さ、美しい響き。素晴らしいです。

この度発売されるタワーレコードさんSACDもいずれもファーストチョイスにされても良い演奏でしょう。





スメタナの《我が祖国》は、日本での壮絶ライブを以前紹介しました。



こちらも好事家の方々は是非聞いていただきたいと思います。いつものノイマンさんらしからぬ情念めいた気迫を感じます。オーケストラもいつも以上になっているようです。熱気が伝わってきます。


充実された時期に録音されたマーラーの全集と現エクストンレーベルに晩年録音されたマーラー。7、8番、大地の歌が録音されませんでした。

いずれも聞き応えがありますが、バーンスタインさんやテンシュテットさんのような激情や熱意を求める方にはノイマンさんのマーラーは物足りないと感ずるかもしれませんが、良い意味での模範のような姿がありますし、スタンダードだと思います。

物足りないととんだ言い草であり、当たり前ですが所々熱くなる瞬間は多々あります。

個人は特に晩年の5番のCDは何度となく聞いて、オーケストラと指揮者の良い仕事振りを堪能いたしました。

加えて、生涯最後の録音になった9番はあっさりとした味わいがありました。フィナーレは一発収録だったとオクタヴィアレコードの江崎友淑氏が述懐されていました。確か『レコード芸術』にその折の詳しいレポートと最晩年のノイマンさんのご様子が紹介されていたように記憶しております。



珍しいレパートリーのベートーヴェン。江崎氏によるとノイマンさんはベートーヴェンには特に思い入れがあり、リハーサルでもオーケストラを止めて細かに指示を出して何度もやり直しをさせていたとご本で読みましたが、晩年序曲集しか録音されていないのが惜しまれます。

今は廃盤になったままの2種の第九。
後者が特に熱く素晴らしい演奏です。偶にヤフーオークションで出回っております。


タワーレコードさんのメールで偶々知ったノイマンさんのアニバーサリーイヤー。年末、東京ライブの第九を久方振りに聞きましたが、やはり素晴らしい演奏家、お人柄だったと偲んでおりました。

今は申し訳なくも滅多に聞きませんが、忘れてはならない素晴らしい指揮者だと個人は思います。