仮名の大家、尾上柴舟先生の書をひな壇に飾られたお菓子のような書を書く、と揶揄された方を失念したと以前申し上げましたが多分俳人の河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)ではなかったかと今、思い出しました。

正岡子規門下にあって高浜虚子と双璧をなす存在だったそうです。俳諧を嗜む風流風雅を持ち合わせておりませんので詳しくありませんが、この河東碧梧桐の書が面白い! たまげました。








飾り立てた感はあるかもしれませんが現代的な息吹を感じて新鮮さと面白さを感じます。小手先の書と揶揄する方もいるかもしれませんが、表現、試みが深く無限な可能性を秘めた感じがして見習いたいところです。

河東碧梧桐の書を見て以前取り上げた中村不折を思い出しました。
ビヨーンと間延びした線からなんらかの共通点があり影響があったのかと推測しますが例によって浅学の身の儚さ、悲しさゆえに論ずるに足りません。すみません。


中村不折の誉れ高い龍眠帖。見飽きないですね。かわいらしい。

こういった個性的な書。……きっちりした古典派の書と良寛さんや榊莫山さん、あいだみつをさんのような文字の形や線に個性を多分に感じる書を眺めるにつけ、果たしてどちら側の人間になるのか、はたまた書で祿を食んでいないのでどちらでも構いはすまいさ、といえばよいのか分からない時がありますがどちらでもないさ、という立場にしておきます。決めると審美眼が腐ってしまいますから。