時代劇に欠かせない俳優、左とん平さんがお亡くなりになられたニュースを先ほど拝見して驚きました。
コミカルで長い長いセリフもさらっとこなして、流暢な江戸弁を披露されていました。うだつの上がらない役、主人公の手下の役、人情に厚い町人の役……とかくなんでもできた俳優さんでした。
最後にテレビで観たのは、東山紀之さん版のNHKの大岡越前でした。少しお年を召された印象を受けましたが、往年のお姿を知っている人間からすれば寂しさを感じました。
大岡越前といえば、加藤剛さん版の当時レギュラーだった松山英太郎さんが早くにお亡くなりになられて飯屋さんの次の大将の役としてご活躍されていたお姿を思い出します。
松山英太郎さんの猿(ましら)の三次より過去を背負って生きている悲哀を少し背中に感じさせる、しかし、南町の皆さんには優しくそっと寄り添うような左とん平さんの半次でした。大岡越前の最後のシーズンを支えた俳優さんでした。
時代劇専門チャンネルで観てやはり凄かったと感心した中村吉右衛門さん版の右門捕物帳でのおしゃべり伝六の役は、それはそれは饒舌に話しまくるまったく噛まずにスラスラ話すお姿とコントチックな演技が面白くて楽しい時代劇で好きになりました。
三波伸介さんが右門のライバル役の村上敬四郎役(お顔にいっぱいそばかすがついていて毎回観る度に微笑ましい感じがしました。)、その三下役としてちょろ松役の曾我廼家一二三さんもご出演で特に曾我廼家一二三さんとの即興的なコミカルなやりとりは爆笑でした。互いにバカにし合う様も見事でした。中村吉右衛門さんもお若くてハンサムでした。
現代のドラマでは、森繁久彌先生のおやじのヒゲシリーズ ーほのぼのとしたドラマで好きでしたー で加藤治子さん演じる小料理屋さんの板前の役で確かどこの誰か分からないような役柄で森繁久彌先生の後押しで雇って貰うという設定ではなかったかと思います。それから左とん平さんはレギュラーになられたように記憶しています。人情に厚い役柄だったように記憶します。森繁久彌先生と加藤治子さんの板挟みで少し肩身の狭い身の上をさらりとこなされていた印象です。
時代の流れで人様がお亡くなりになるのは残念ですが、なんらかのご縁が少しでもあった方のそれを知りますと当然ながらやるせない気持ちが募ります。
皆様にたくさんお読みいただきたくて今日は書いた訳ではなくて、日頃時代劇専門チャンネルでお世話になっている方がお亡くなりになりましたので書いておきたく思いました。合掌。