チャイコフスキーはクラシック音楽を聴き始めた頃からずっと好きな作曲家です。
今でも敬愛してやまない作曲家ですが、以前から交響曲第1番《冬の日の幻想》に着目しています。

タイトルの《冬の日の幻想》は私の雅号「冬幻(とうげん)」の元になりました。後期の交響曲4 5 6番の3曲のような素晴らしい作品を生み出すことができますように、と因んで付けた雅号ですが、中学生の頃に雅号を付けた当初よくよくその1番を知らないでタイトルがなんとなく素敵な感じがして付けたような記憶です。



冒頭の弦楽器のキラキラとしたトレモロは太陽が雪を照らして銀色に輝くような情景を思わせ、続く木管楽器の主題がまるで雪の結晶を思わせるような美しい曲、第3楽章のスケルツォもそ繊細なその結晶を思わせるような雰囲気です。

第2楽章はロシアの寒村の美しい風景がなんとなくうかびます。しかし、どこかあまりの寒さで誰もいない住んでいる人が少ない寂しい寒村が浮かんできます。

極めつけの大好きな第4楽章。主題が始まってからの心躍るようなウキウキした旋律が好きすぎてよく聞きました。その大好きな旋律が34:47から始まりますが何度聞いても良いですね。それから35:34あたりから始まる第2主題?になるのでしょうか、コサックダンス 民族舞踊を楽しむ村の人々が浮かんでくるような感じがします。

もっと演奏されてもよい曲だと思いますがなかなか日本ではプログラムに載らないようです。確かに圧倒的な存在である後期3曲は外せない存在でしょうが食傷気味でありますから1番を演奏する、というと案外愛好家は嬉しいと思われます。

チャイコフスキーが26才の頃に作曲した初めての交響曲ですが、立派な交響曲だと思います。
同じく昨今では知られているその若い頃に作曲した《白鳥の湖》。こちらも図書館に通いつめて研究しながら作曲したらしく勤勉なチャイコフスキーの姿を想像します。しかし、白鳥は生前全く評価されず若い頃に書いたつまらない作品、というような扱いになっていたようです。

作曲の話しついでに、民謡を歌ってもらって作曲したという、弦楽四重奏曲第1番の第2楽章アンダンテ カンタービレは、初演時大文豪トルストイがあまりの素晴らしさに号泣したエピソードがあります。チャイコフスキーは日記に大変嬉しく思い、作曲家冥利につきる、と記したそうです。好きなエピソードです。



2:25あたりから始まる第2主題も優しい感じがして温かい雰囲気が魅力的です。癒されます。

さて、交響曲第1番はロシア的な要素が多分に含まれて後期の洗練された作風が垣間見れますが後期の交響曲のように人生そのものにスポットをあてていない《冬の日の幻想》の持つ自然讃歌にちかい趣があるようです。