ギフト〜なな色の羽 -101ページ目

ギフト〜なな色の羽

私の中から産まれたがった言葉やお話を書いています

 前回、スキューバダイビングの話を書いた。

 このことも書きつけておこうと思う。

 どのダイビングスポットだったのか、思い出せない。

 海の中で、どんな景色を見たのかも、まったく覚えていない。

 八幡野で見たカクレエビ。

 大瀬崎の夜光虫。

 伊東のコブダイ。

 ダイビングスポットと、そこで見た印象的な生き物はつながり、記憶に残っていることが多い。
 
 けれど、そういうことではないのだ。

 そこで見たことは、もっと忘れられないことだった。

 私達は、ダイビングを終えて、シャワーを浴び、堤防のあたりを歩いていた。

 泣きながら、怒って何か言っている若い女性を見た。

 尋常でないものを感じた。

 そして、人伝いに聞こえてきた。

 ダイビングに来ていた友人同士の2人組の女性のうち、1人が行方不明だ。

 誰か助けに行っているのか?

 行くことができないのか?!

 何もできない。誰か…。

 ただ、立ちすくむだけだった。

 そんな中、私達のガイドインストラクターは、静かに厳しい様子で、準備を始めた。

 ウェットスーツにふたたび着替え、タンクを背負った。

 潜ってから何分たったのだろうか。

 時間がどんどん過ぎていく。

 そして、テトラポットから2、30メートルほど離れたあたりに、私達のガイドが浮かび上がった。

 見つかったのだ。

 私は、ずっと震えがとまらなかった。

 私達は、 彼女の意識が戻り、助かることを強く強く祈った。

 みんな同じ思いだった。

 ダイビングは、危険が伴うものである。

 私達はそれを覚悟した上でやるのだ。

 ガイドやインストラクターが、どれだけ真剣にその仕事に取り組んでいるのかを見極めることも、とても重要だ。

 いざとなったら、責任から逃げてしまう人だっている。

 海が好きだから、この仕事につきましたということだけでは済まないのだ。

 命を預かることの意味を理解しなければならない。

 それを理解し、覚悟もあった私達のガイドは、危険に対応できるだけのスキルを身につけていた。

 強い使命感を持った魂に、頭がさがる。