ストレスが心臓病の原因
狭心症や心筋梗塞などの「虚血性心疾患」、つまりは心臓病の患者が増えている。心臓病全体の死亡数は17万人(2005年)にも達し、日本人の死因ではガンに続いて第2位という状況だ。心臓病の要因は、食生活の欧米化や運動不足などの悪い生活習慣があげられるが、ほかに大きな引き金となっているのがストレスであるという。

ストレスが心臓病に関係
2006年3月、厚生労働省は心臓病・脳卒中など循環器系の病気に関する調査報告を行った。この報告は、2000年の心臓病による死亡者数と1995年の状況を比較し、時系列での変化を見ることができるものだ。この中で、職業別統計(20~64歳を対象・死亡時)では、とくに興味深い結果が見られた。

まず、1995年では、「無職」を除いてもっとも多かったのが、「サービス職業従事者」で51.7(人口10万対・以下同)。次いで2番目に多かったのが、「農林漁業者」で37.3。この2業種は2000年にもほぼ同様の結果で、心臓病の死亡数の多い職業と言えるようだ。肉体的な労働は心臓病に少なからず影響すると推測できる。

一方、この調査の中で1995年から2000年にかけて大きな変化を見せたのが、「専門的・技術的職業従事者」(研究者や科学的な専門家など)と「管理的職業従事者」(経営者や事業主といった方針決定を行う管理職など)である。「専門的・技術的職業従事者」の推移を見ると、25.7(1995年)→34.6(2000年)。「管理的職業従事者」では、22.0(1995年)→30.3(2000年)という結果で、どちらも5年間で大幅に増加している。管理職などの場合には、やはり心理的な負担が多いのだろうか。また、ストレスからくる過食や、飲酒・喫煙などの可能性も考えると、心臓病とストレスとの因果関係は否定できない。そう考えると、職場や人間関係でのストレスが増加する、現代の社会背景を垣間見ているような調査結果とも言える。


「A型」行動の人は要注意!
虚血性心疾患と呼ばれる心臓病は、血管が詰まるなどの理由で、心臓を動かす「心筋」という筋肉に血液が行かなくなる病気だ。その代表的な病気には狭心症や心筋梗塞が挙げられる。なぜ、血管が詰まってしまうのかというと、その要因はおもに動脈硬化ということになる。この動脈硬化、ストレスとも無縁ではない。

動脈硬化を発症するメカニズムのひとつを紹介すると、人間の体はストレスを受けると、血圧や心拍数が上がったり、血管が収縮したりする。このとき、血管にも負担がかかっている状態だ。また、加齢により血管は除々に硬く、もろくなっていく。こうして血管が傷付くことなどの理由で動脈硬化は引き起こされる。動脈硬化になると、血管は狭くなり、血液が詰まりやすくなってしまうのだ。

動脈硬化の、ひいては心臓病の要因となるストレス。このストレスにも、感じやすい人とそうでない人がいることがわかっている。ストレスを受けやすい人には、性格や行動などに完璧主義でせっかち、そして競争心が強いタイプが多いという。このようなタイプは、実は「A型」と呼ばれている。ちなみにA型の「A」は、血液型を指すものではなく、Active・Aggressive(活動的・攻撃的)の頭文字をとったもの。ここで、A型の行動パターンを紹介するので、ぜひチェックしてみてほしい。

【あなたはA型?セルフチェック】
□ 野心に満ち、競争心が旺盛だと思う
□ いつも時間に追われているように感じる
□ ついつい早口になってしまう
□ なぜかじっとしていられない
□ 食事のスピードが早いとよく言われる
□ 一度に多くのことをやろうとしがち
□ イライラしやすく、それを態度に出してしまう
□ 仕事が完全かどうかが気になってしかたがない

あくまで目安だが、あてはまる数が多い人は、心臓病発症のリスクも高いということになる。しかし、A型行動パターンの人は、バリバリ仕事をこなすタイプという側面もあり、一概にすべてを否定はできない。ただ、たまには少し力を抜き、上手にストレスを和らげて、心臓に負担をかけないビジネスライフを送ってほしい。