テーベとはルクソールの旧称。紀元前21世紀頃からおよそ1000年にわたってエジプト王国の首都として繁栄を誇りました。「王家の谷」は新王国時代の王たちが眠る墓地遺跡です。ここでは60以上の王墓が発見されています。
「シリーズ世界遺産100」では、1922年、イギリスの考古学者ハワード・カーターがツタンカーメンの墓を発見した経緯を中心に、古代都市テーベと墓地遺跡を紹介します。ツタンカーメンは9歳で即位し、18歳で暗殺されたと言われる悲劇の王です。ツタンカーメンの妻の父親は、宗教改革を断行した王でした。ツタンカーメンは、王になるとアメン神への信仰を復活させようとしました。そうした神々をめぐる争いに巻き込まれ、死んだのだと言われています。彼の墓がなかなか見つからなかったのは、歴代の王と違って奥の深い場所にあったからです。他の王の墓は逆に盗掘により、副葬品などは姿を消していました。1922年、ハワード・カーターが壁を破り、いくつもの厨子を開けて、ついにツタンカーメン王の棺にたどり着きます。棺の蓋を開けると、そこには「黄金のマスク」を被ったツタンカーメンのミイラが眠っていたのです。