ケニア菅原監督「完敗」

2006年11月3日(金) 21時

<バレーボール世界選手権:日本3-0ケニア>◇3日◇1次リーグ◇A組◇東京・代々木第1体育館
 ケニアは良いリズムの時間帯もあったが、持続させることができなかった。第2セットではリードを奪ったものの、終盤に9連続失点。第3セットでは日本の勢いに完全に沈黙した。それでも、楽しそうにプレーするケニア選手に1万人の大観衆は試合後、温かな拍手を送った。
 日本の柳本監督の恩師で、95年から断続的に指導し今回で3度目の指揮を執った菅原監督は「チャンスがあれば勝ちたかった。柳本監督のバレーを知っているつもりだったので、何とか倒したかったが、力及ばずでした」と完敗を認めた。

[ 11月3日 21時39分 更新 ]


 バレーボール世界選手権(毎日新聞社など後援)の第15回女子大会は第3日の3日、1次ラウンドを再開し、東京・代々木第1体育館など4会場で12試合を行った。A組で世界ランク7位の日本は、同11位のケニアを相手にストレート勝ちし、今大会2勝目を挙げた。日本は第1、2セットこそ、ミスから失点する場面もあったが、第3セットから起用した杉山(NEC)が攻守に機能し、相手を圧倒した。
 同組の台湾とポーランドが3連勝で、各組上位4チームによる2次ラウンド進出を決めた。その他の組でも優勝候補のブラジル、ロシア、中国や米国、セルビア・モンテネグロがそろって3連勝。いずれも2次ラウンド進出が決まった。
 ◇柳本監督「上位チームと比べ、まだ甘い」
 リードを広げながら、第1、2セットの日本はミスで失点するなど、どこか緩みのようなものがあった。
 チームのねじを巻き直したのは杉山。第3セット、宝来(JT)に代わって出場すると、このセットのみで7得点。ブロックに、アタックに躍動し、チーム全体を引き締めた。今大会はこれまで、あまり出番に恵まれていなかったが「コンディションは悪くない。いつ呼ばれてもいいように、準備をしていた」。思いは存分に表現した。
 スコア上は快勝。しかし、柳本監督のコメントは辛めだ。「上位チームと比べると、まだ甘い」と語り、課題にブロックを挙げた。
 日本は、ケニアのサーブレシーブを面白いように崩した。特に効果を発揮したのが、竹下(JT)のジャンピングフローター。第2セットは17―17から8連続、第3セットは12―7から7連続ポイントに貢献した。ケニアのマイヨは「シンプルだが、テクニカルなサーブ。私たちはうまくレシーブできず、それが重圧につながった」と評した。
 だからこそ、柳本監督は次への課題を掲げた。「サーブで効果が上がり、リベロの技術も上がってきた。それなら、もっとブロックで(相手のスパイクを)止めないまでも、引っ掛ける場面が増えていいはず」。第3セットの選手交代には、そんな考えも透けて見える。
 1次ラウンドはいよいよ当面のライバル、韓国、ポーランドとの連戦を迎える。「これからが本番です」と杉山。残り2試合で1勝すれば2次ラウンド進出が決まる。「次」を見据えるためにも、課題を一つひとつ解消していくしかない。
 ○…日本人の菅原監督が率い、今大会初勝利を目指して日本戦に臨んだケニア。第2セットには16―14とリードする見せ場も作ったが、サーブレシーブの乱れを最後まで修正できず、3連敗を喫した。「とてもがっかりしている」とナコミチャ主将。菅原監督は「勝つつもりで日本戦に臨んだし、選手も同じ気持ちだった。涙を流しながら練習についてきた選手を勝たせられず、責任を感じる」と、無念そうに振り返った。
 ○…セルビア・モンテネグロが第1、第2セットを落とす苦戦の末、ペルーに逆転勝ちで3連勝した。第5セットは9回目のマッチポイントを制し、際どくペルーを振り切った。チタコビッチ主将は「第3セットから生き返り、チーム一丸となった。最後は当然の勝ちです」と胸を張った。
 ○…優勝候補のブラジルが、オランダにフルセットと苦しみながらも3戦全勝。序盤こそ打点の高いアタックで圧倒したが、第2セットでレシーブミスから失点を重ねて今大会初の失セット。続く第3セットも落としたが、ここから地力を発揮。主将のソウザを投入してリズムを修正すると、最後は力で押し切った。「相手の重圧の中でよく踏ん張った。期待通りだ」とギマラエス監督。初優勝に向けて自信をのぞかせた。