悲願の初制覇へ蹴りまくった…K-1ワールドGP開幕戦

2006年10月1日(日)



 ◆K-1ワールドGP開幕戦 ○バンナ(延長判定3-0)崔洪万●(30日・大阪城ホール) “番長”ジェロム・レ・バンナ(33)=フランス=が“怪物”退治で決勝大会(12月2日・東京ドーム)進出を決めた。218センチの巨人、崔洪万(25)=韓国=との初対戦。延長戦にもつれ込んだが、徹底したローキックで主導権を握り、3-0の判定勝ち。念願のGP制覇へ向け、絶好のスタートを切った。武蔵(33)、藤本祐介(31)の日本人選手2人も敗退し、アジア選手は開幕戦で全滅となった。

 ジェロム・レ・バンナが面目を保った。怪物が相手だろうと、引き下がっては番長の異名が廃る。身長差28センチの崔が振り下ろす左右のパンチは、大砲さながらの威力。ひょいと足を上げるだけで入るひざ蹴りも強烈だ。それでも引かない。徹底して放ったのは右のローキック。でかい相手を攻略する定石は、33歳になっても忘れていなかった。

 実はコリアン・モンスターを見くびっていた。試合前には「金魚を飼う水槽を頭にのせたような男。負けるわけがない。スカッドミサイルを打ち込んでやるよ」と、こき下ろしていた。来日したのは何と試合当日。ほかの選手が全員出席した直前2日間の記者会見も欠席。「早く来すぎると退屈でイライラする。時差ボケ? 直前に来ようと関係ない。イライラの方がよくない」とふてぶてしい言い訳も口にしていた。

 だが、“水槽をのせた男”は案外、強かった。「どこを打っても届かないし、当たっても骨の随まで硬い。キックをしても自分の足の方が痛くなってしまう。人間ではない人間のようだ。2年たったら誰も倒せなくなる。フランスではあんな練習相手は見つけられなかった」。試合後は自ら巨人に歩み寄り「グッドファイト!」と声をかけて抱擁。健闘をたたえ合った。

 難敵を退けての決勝大会で、狙うは念願のGP初制覇のみ。「無冠の帝王」の名を返上する機は熟した。

 ◆K-1ワールドGP決勝大会 開幕戦で勝ち抜いた8人が進出して、トーナメント(12月2日)で優勝を決める。組み合わせ抽選会は2日に行われる