テレビ会見、仏国内で支持
テレビのインタビューで頭突きについて説明するジダン選手=12日、ロイター

 ジダン選手の頭突き事件の背景には当初、ジダン選手がアルジェリア系移民の2世であることから、人種差別的発言があったのではとの憶測が強かった。12日の会見ではジダン選手は人種差別発言があったとは述べなかった。

 だが仏TF1テレビとの会見では「イタリアの政治家カルデロリ氏(上院副議長)が『イタリアチームが(仏チームを指して)黒人、イスラム教徒、共産主義者のチームを破った』と言ったのは私が頭突きをした行為より劣悪だと思わないか。私にはショッキングな発言で、深く傷ついた」と述べた。

 カルデロリ氏はイタリア右派政党「北部同盟」幹部で「対フランス戦勝利はイタリア人のアイデンティティーの勝利だ」などと述べている。

 ジダン選手はアルジェリア移民の子として、72年にフランス南部のマルセイユの貧民街で生まれた。「不世出の天才」と言われた技術は、自身が「路地裏で磨いた」と振り返っている。貧しく、欲しいものも手に入らない環境だったが、両親の教えで横道にそれることなく、14歳でスカウトの目にとまってから、サッカー選手としてのキャリアをスタートさせた。

 ジダン選手は今回テレビで「母と姉を傷つける耐え難い言葉をかけられたから」などと心中を語ったことで、フランス国内で支持が沸き起こっている。

 会見を聞いた元仏代表監督のイダルゴ氏は「退場がなければ彼は万人に見送られる形で引退を飾ったはずで、彼がいかに傷ついたかよく分かる。彼は規則を破りレッドカードを受けたが、彼を許すことも大切だ」と述べた。

 2006年7月13