「ポセイドン」来日記者会見

 この夏、並みいる超大作の先陣を切って公開される「ポセイドン」。6月3日の日本公開も間近に迫った5月17日、PRのために来日したウォルフガング・ペーターゼン監督以下、主演のカート・ラッセル、ジョシュ・ルーカス、エミー・ロッサムが記者会見を開いた

  MSNでは、この会見の模様をダイジェストでお送りします。

写真=(左から)ウォルフガング・ペーターゼン監督、エミー・ロッサム、ジョシュ・ルーカス、カート・ラッセル

ペーターゼン監督はなぜ「ポセイドン・アドベンチャー」をリメイク作に選んだのでしょうか? ディザスター(大災害)ムービーといえば「タワーリング・インフェルノ」などもありますが。

ウォルフガング・ペーターゼン監督
:自分でも分からないのですが、何故か私は水が好きです。「タワーリング・インフェルノ」には水がないところが、魅力的ではありませんでした(笑)。水が大量に出てくる映画を作るのは3回目ですが(「U-ボート」「パーフェクト・ストーム」「ポセイドン」)、これからは水の映画は作りません(笑)。いま、世界では人災、天災問わず、さまざまな災害が起こっています。このようなときこそ、人はどのような行動をするのかを考えるときだと思いました。70年代に作られたオリジナル作品は楽しい娯楽作品ですが、本作は、より現代のメタファーになっていると思います。

水中アクションシーンがとてもリアルでしたが、撮影中に体力的に限界を感じたりしたことは?

カート・ラッセル(以下K・R):これほど水を使用する映画は初めてで、セットは心理的にも圧迫感があったね。一度水に入ってしまうとなかなか出られないので、誰かが空気を与えてくれるまで待って、それを信用するしかないという状態が苦しかったよ。

ジョシュ・ルーカス(以下J・L):これほどの作品になったのは、CGやスタントをあまり使わず、役者たちが体を張ってがんばったからだと思う。ここまで頑張れたのは、監督のマジックにかかっていたからだろうね(笑)。本当は毎日パニック状態で怖い思いをしていたよ。

エミー・ロッサム(以下E・R):私は、これほど肉体的にハードな役に挑戦するのは初めてだったけれど、男性に向けて「女だってこれだけできる」というところを見せたかったので、頑張ったわ。タンクに水がどんどん入ってくるシーンは、本当に怖かった。水の中でカート・ラッセルと「本当に助かるかしら」と目で会話したの。とにかくハードな撮影だったわ。

K・R:でも、彼女は一度もビビってなかったよ(笑)

ずっと水浸しで、風邪引いたり病気になったりは?

K・R:インフルエンザや気管支炎など、病気のオンパレードになってしまったよ(笑)。休みを取らせてもらって、その後は何とか撮影をがんばれたよ。

J・L:何度も落下して針で縫うケガをしたよ。正直、大変だったね。何回も縫いに行ったので、3回目に病院に行ったとき、お医者さんから「ありがとう。『ポセイドン』を作ってくれたおかげで、僕の病院が繁盛したよ」と言われてしまったんだ(笑)。

E・R:私もあざや切り傷はできましたが、肺炎になったり、病院に行くほどではなかったので、比較的良い条件で仕事ができたと思います。

人間ドラマも非常に印象的でした。自身が演じた役柄について思われるところは?

E・R:私が演じたジェニファーは、私自身と同じ19歳ですが、私は彼女ほどの勇気はないわ。私は朝に紅茶をこぼしてしまうだけで、パニックになるほどですもの(笑)。でも、この映画に、できるだけ勇気を持って挑戦したことは誇りに思っています。それから、私の父はカート・ラッセルとは全然違います。あんなお父さんが良かったです(笑)

J・L:この作品はヒーローの物語ではなく、たくさんの欠点を持った普通の人たちの話だ。特に僕が演じた役は、必ずしも良い人間とは言い切れない。でも、様々な経験によって人間らしくなっていくんだ。そのような意味でとても共感できたよ。欠点だらけというところは僕に似ているしね。

K・R:普通はどの役でも、監督と時間を掛けて話し合ったり、研究したりしてキャラクターを掘り下げるけれど、この映画は役の設定だけがあって、後は水の中に放り込まれるというスタイルだった。監督はとにかく無駄を一切省いて、真っ暗な劇場の中でこれまで経験したことのないようなリアルな体験をさせたかったようなんだ。私はそんなところに惹かれたね。