荻原 |
武隈先生は障害者スポーツについていろ
いろ活動されているそうですが、いつごろ
から始められたんですか?
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武隈 |
研究は1980年代後半からですが、関心を
持ったのは学生時代です。車いすバスケ
ットボールを初めて見て、イメージと違った
んですね。とにかく上半身がたくましいこと
に驚いた。それに、段差をらくらくと乗り越
えていく姿に、カッコいいと思ったのが最初
の印象です。
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荻原 |
現在、夏のパラリンピックはいくつ競技があ
るんですか?
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武隈 |
アテネ・パラリンピックでは、19の正式競技
が行われました。それに対して冬の(トリノ)
パラリンピックは4競技。数の上では、夏と
冬にまだ差があります。
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荻原 |
僕、ゴールボールはやったことがありますよ。 |
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武隈 |
激しい競技でしょう |
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荻原 |
選手たちは、何か研ぎ澄まされた感覚を持っ
ているんですよね。鈴が鳴る方向にパッと跳
んで、ちゃんとボールをつかむ。僕なんて、何
となく右か左かは分かっても、距離感がつかめ
ない。しかも投げるときに、ボールを持ったま
ま思い切り床をたたいて突き指しちゃった(笑)。
目を閉じると、自分の手のひらと床の距離感さ
え分からないんですよ。
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武隈 |
視覚に障害がある方のマラソンはよく知られ
ていますが、短距離走だってあるんですよ。
200mなんてトラックのコーナーを、カーブし
ながら走っていくわけです。もちろんガイドラ
ンナーはつきますが、巧みなコーナーワー
クでゴールしていく姿は、本当にカッコいい。
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荻原 |
僕は冬のクロスカントリーで、視覚障害の女
の子と一緒に走ったことがあるんです。す
ると、ガイドの言うことを信じて、すごい勢い
で行っちゃうんですね。
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武隈 |
度胸があるということと、ガイドを信頼してい
るということですよね。あのパートナーシッ
プは、ほかにはマネができない、一つのス
ポーツの形だと思います
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