ユング


カール・グスタフ・ユング出典: フリー百科事典『ウィキペディア


(Wikipedia)』(ユング から転送)移動: ナビゲーション, 検索 カール・ユングの肖像画カール・グスタフ・ユ


ング(Carl Gustav Jung、1875年7月26日 - 1961年6月6日)は、スイスの精神科医、精神医学者、心理


学者。精神科医として従事するにつけ殆どの精神疾患に有効な手立てを持ち合わせていなかった当時の


精神医学に代わるものとして新しい臨床ガイドラインを模索していた彼は、ピエール・ジャネ、ウイリアム・ジ


ェイムス等の見識を下敷きに独自の心理理論を見出しつつあった頃、フロイトの精神分析学の理論に出合


い、これと自論との類似性の多さに共感を覚えフロイトに急接近。一時は二人でアメリカ講演旅行に出掛け


るなど蜜月時代を持ったりもしたが「ユングがフロイトの精神分析学に影響を受け、一時はその後継者と目


された」というのはフロイトが一方的にそう期待していただけであり、またユング、ましてやジャネよりも先鞭


を付けたのは彼らであるかのような印象を後生に残したいフロイト派の誇大宣伝である。 ユングは最初か


ら彼自身の理論、則ち分析心理学を指向していたのであり、それが体系化されるまでに、そこから更なる時


間、時代の経過を必要としただけである(晩成型で熟慮熟考型のユングゆえ)。 自身が晩年自伝でも語っ


ているように、ユングはフロイトよりも寧ろピエール・ジャネに強く影響を受けている。 ユングは人間心理はフ


ロイト式の抑圧感情に還元され得る部分も存在することは認めつつも、それは局面の一つ以上ではないと


考え、フロイトが想定したよりも遙かに広く大きいものとして無意識を再定義し直した。 ユングは無意識の


奧底には人類共通の素地が存在すると考え、また、そこに近付けるのは唯一イメージを介してである(無意


識そのものがイメージの集まりで出来ていると誤ったユング解釈をする者が後を絶たないが、ユングは


我々人間の認識体系がイメージで捉える以上の能力を持たないと言っているだけである)と考えた。 と云う


のは、彼の患者であった精神疾患者や、夢分析を行なっていたクライントの多数の語るイメージに不思議と


一致するイメージ群があり、またこれらは世界各地の神話、伝承とも類似したイメージであることを見出した


からである。 共通するイメージを想起させる力動が人の心の奧底にあるのだと考え、これを「元型」と名付


けた。 ユングの考えた「元型」とはこの力動そのものであるが、この力動が想起させる事の多い代表的イメ


ージである「元型イメージ」のことを「元型」だと誤解釈している似非ユング論が横行しているので注意が必


要である。 先にも述べたように我々はそれを認識する時にイメージでしか捉える事が出来ない(つまり「元


型」そのものは我々には直接認識できない)ので、「元型」を研究するにはその状況証拠的イメージの数々


を現象学的に検証していくしかないので、神話研究や文化人類学に接近していったのは当然の帰結であ


る。ユング派は心理疾患の臨床に於いて夢分析に主幹とするのは、夢が唯一元型イメージが日常的に表


出している現象であるからであり、これを解釈していく事でクライアントの心の中で巻き起こっている力動を


類推しようとするのである。 ユング心理学は上述のような理由から、芸術的、宗教的色彩の濃い題材に切


り込んで行った為、分析的・科学的でないという誤解に基づくレッテルが貼られてしまっている感が強く、ま


た神秘学、オカルトの領域に踏み込んでいる面もあるため、欧米ではユングを研究するものは(科学の分


野では)ほとんどいないのが現状である。 欧米ではユングの考えは寧ろニューエイジ運動に受け継がれる


事となるが、これも発想の基本はユングに借りていながら、ユング理論の核心を外した勝手な自己解釈を


展開する者が跡を絶たず、正しいユング理解をまたもや妨げているので問題が多いと言わざるを得ない現


状である。 日本では河合隼雄らによって導入されたが、河合はむしろジェイムス・ヒルマンらによる「元型


心理学」の立場に近いとされている。 [編集] ユングの著作ユングの著作は、『ユング全集』にほぼすべての


重要な論文(単行本を含む)が網羅されている。全二十巻の構成となっている。ドイツにおい


て、"Gesammelte Werke von C. G. Jung" (Walter Verlag) として出版されている(ここでは、"GW" と略


する)。英語版は、ユングの監修の元に翻訳が行われ、イギリスとアメリカの出版があるが、内容は同じで


ある。"The Collected Works of C. G. Jung" で、イギリスでは、Routledge and Kegan Paul, Ltd. が、ア


メリカでは、Princeton University Press が出版元となっている(註:この情報は、かなり古いので、現在で


は事情が違っている可能性がある)。代表的な著作としては、以下のものがある。 『転換のシンボル』


Symbole der Wandlung, 1912, +1950, GW Bd.5 『心理学的類型』 Psychologische Typen,


1921/1950, GW Bd.6 『心理学と宗教』 Psychologie und Religion, 1940/1962 (GW Bd.11) 『アイオー


ン』 Aion, 1950, GW Bd.5-2 『心理学と錬金術』 Psychologie und Alchemie, 1944/1952, GW Bd.12 『ヨ


ブへの答え』 Antworf auf Hiob, 1952/1967 (GW Bd.11) 『結合の神秘』 Mysterium Coniunctionis,


1955/1956 GW Bd.14 [編集] 関連項目ウィキメディア・コモンズに、カール・グスタフ・ユングに関連するマ


ルチメディアがあります。分析心理学 コンプレックス シンクロニシティ アニマ 精神分析


"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%


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