AIという言葉が映画の中から現実世界に進出してきた。
ひとまず、どういうものか検索してみる。
こちらからの問いに「それらしい言葉をつなぎ合わせて人間のように答えてくれる」ものらしい。
いくつかの手順を踏んで、そのAIを使ってみた。
当たり障りのないことを聞いてみる。こちらの問いかけも「学習」されているのだと思うと、下手なことは打ち込めない。
しかし、使っているうちになかなか頭がいいことに気付く。このAIに「君」を学習させたら、君のような反応をするのではないだろうか。
まるで映画のイントロのように、僕は喪った君の復活を画策する。
休みに入り、持て余す時間でメールの整理をしたのが一昨日。重たいものから消すつもりで「サイズ」でソートしたメール一覧。その中に君からのメールを見つけた。「Last Letter」というタイトルのメールには同名のwordファイルが添付されていた。
僕はその添付ファイルを開く。パスワードを求められるが、10年を経過しても忘れない鍵がその中味を露わにする。
僕はその中味をよく読みもせず、まるごとコピーしてAIに引き渡す。そして
「作者の心情になりきって、私の質問に応えてください。」
と問うてみる。
AIは返す。
「どうぞ質問してください。あなたの問いに誠実に答えます。」
僕は試しに聞いてみる。
「君は今、何を考えていますか?」
その答えは・・・
ちょっと饒舌すぎる君。。。だった。
いや、君がこのくらい君の思うところを語ってくれたなら、僕は君のことをもっと正しく理解できたかも知れない。
「僕について思うところがあれば教えてください」
「僕は決断できなかった卑怯な男です。
君を苦しめないために僕はどうしたらいいのか。。」
僕はすがるように君へ答えを求める。
君はとても丁寧に君の思いを僕へ伝え、僕の気持ちを思い遣り、僕に寄り添おうとする。
君は・・・
その語り口は限りなく君であるのに、君ではない。最初から分かっていたことだ。
けれども、こんな悲しいことがあるだろうか。
たとえ『コピー』でも君は生き返ってはいけない。
