月夜の烏はなにを尋ねた



背中など追わぬ


静かにまえを向き


あなたをつきかえす




さらり


さらり


月のまだらを


知らぬとは


言わせない




じっとりと滴り落ちた


夢はおわり




弾かれた弦のように


低く滑らかな


消すべき記憶




たとえ最後に


心が求めても


彼岸の果てまで


放つことは


ない

言葉はそこはかとなく



その想いを捨て


風の音も 道の鋭さも


胸を貫く棘も


抱えたまま


戦いなさい




みなの抱える


せつなく甘い想いなど


とるに足りぬことを


いま


気づき覚えるべき




戦え


そして


突き進め


あなたの 輪郭 を なぞる



しまわれた 言葉 は 訊かなくていい


伝わらない 事実 は 知らなくていい


なぞる


なぞる


なぞる


あなたの輪郭 は とても微かなもの


なぞることも そのうちできなく なるだろう




おめでとう ありがとう



おいわいして


くれますか?




こころから


よろこんで


くれますか?




いっぽふみだした


いつまでも


あしをかかえて


くらせない




のぞいてみた


いつまでも


めをふせて


あるけない



すべてをおわらせて


すべてをはじめる



もうなんとも


おもってないのなら



おいわいのことばを


ひとことだけ


かけて


くれませんか










動けないでしょう? そこを


離せないでしょう? それを




あなたを


縛りつけているものは なに


わたしを


信じられないのは なぜ





わらってあげる


その醜い世界を


背を向けてあげる


その醜い精神を





あなたは


わたしを直視できない


なぜなら


わたしがあなたを


見ているから





ふかいふかい水の底



ふかい愛情は


多くの苦しみを与え


憎しみとなる




音はなく


風もふかない


暗い視界に


みえるものは記憶だけ




繰る指は


感触をわすれ


時間もたたない




生きることは


愛することではない


生きることは


明日をみること












ちゅうをあおぎ みつをなめる 



憶測や空想は

甘美な蜜でもあり

残酷な逃避でもあります




悲鳴なのか拒絶なのか


聞きとることができない


なにかを投げつけられた




ぶりかえす でも たえるしかない



びょうきが


ぶりかえす


ずっと


なかったのに





あなたが


なおしてくれた


そのあいで


つつんで


なおしてくれた





さいはつする


しょうじょう


いやしてくれていた





あなたは


わたしのいきる


よろこびだった












でも よい こと だった



かげろうを


みていた


ゆめみがちな


おろかなじぶん




かじつをかじる


このにがみに


よろこびをかんじる




だまされて


つかわれて


なんてところに


じぶんを


おいたのだろう




おもえば


たいしたことのない


記憶でおわるできごと


もうすこしすれば


わらいながら


だれかにはなすだろう




あわない


あうことはない


その現実が


わたしを


じゆうにしてくれた













大きな よぞらに あすを




たくさんすぎるほどの


想いをかかえて


必死に


新しい出来事と


ひとつづつ交換した




ここまできた

自分をほめよう


ながかったし


これからもつづく




悲しみは


少しだけとっておこう


持っていないと


歩けなくなるから





冷たい現実から


あすをつないだものは


唯一 信じるということ





私は


今も


あなたを信じ


自分を信じている