車輛解説
「イギリス歩兵戦車Mk.II マチルダII Mk.III」

■開発・情勢
イギリス軍の戦車運用は高速軽装甲の巡航戦車と、低速重装甲の歩兵戦車の二本立てだった。重装甲で歩兵の盾になりつつ敵戦線へ突破口を明ける破城鎚が歩兵戦車だった。北アフリカでは歩兵を引き連れて進む姿を女王蟻が兵隊蟻を従える様に見立てて「砂漠の女王」と呼ばれた。
第一次大戦の塹壕戦の経験から、とにかく高い防御力が求められた。ケチった平時予算と前時代的な発想に突貫工事をつなぎにして出来た“機関銃しか武器が無い”マチルダⅠから、戦争目前で少し冷静になって設計されたのがマチルダⅡだった。1936年、英軍鈍足サーガの始まりである。

■エンジン
とにかく重装甲でパワーが要るので、バス用ディーゼルエンジンを二台積んだ。片側が故障しても片肺で自走可能だが、エンジンが2個なので整備の手間も倍になった。歩兵と共に敵陣地を攻撃するので最高速度は24km/hと死ぬほど遅くても良かったが、塹壕戦自体がオワコンになっていた。

■脚周り
H型の溝が切られた履帯は、泥や雪詰まるとスリップしまくった。サイドスカートは車体の構造材を兼ねていて外せなかったので、ゴミが詰まると足回りがすぐぶっ壊れた。レンドリースで受け取ったソ連兵もガチガチに凍った雪が詰まって更にイライラした。

■車体
長大なMk.Iタンクと違って全長も短く超堤力も超壕力も低かった。無理に突っ込むとお尻が塹壕へ落ちて登れなくなったので、第一次大戦よろしく幅の広い塹壕は※粗朶束で埋めてから渡った。クリスティー式戦車を元に作ったので内部フレームがF1マシンみたいに尖っていた。履帯と車体にV字型の変な隙間ができる複雑な形で生産に手間も掛かった。無駄な隙間は装甲で囲って工具入れにしたが、被弾したりブレーキを多用すると熱で燃えた。※粗朶束=細い木の枝を集めて束状にした資材

■装甲
防御力は過剰レベルで、無意味な箇所まで重装甲だったので、生産時に切削工がグラインダーで余分な装甲厚を削って死ぬほど面倒くさかった。トラブルだらけでちんたら生産したので、実戦投入される頃には時代遅れになりつつあった。

■砲塔
自走式機関銃座的設計の名残りもあってか砲塔は恐ろしく狭く、搭載された2ポンド砲は初陣の段階で既に豆鉄砲だった。英軍は走行中に砲撃する行進間射撃にやたら拘ったが、現代の様な安定装置は無いので、砲手が砲架を小銃のように肩に担いで、膝の屈伸で揺れに合わせて安定させる人間スタビライザーでゴリ押しした。

■武装
英軍では「歩兵戦車=敵戦車から歩兵を護るための物」で対戦車戦を想定して徹甲弾しか撃てなかったが、名将ロンメル元帥をして「歩兵支援目的なのに歩兵の敵たる敵歩兵用の榴弾が使えないのは謎」と軽く煽られた。陣地攻撃で徹甲弾はほぼ無力なので「最も有効な使い道は物資集積所に突っ込んで踏み潰すこと」等とディスられ、あの○タリア軍からも若干舐められていた。流石にマズイと思って後で榴弾も撃てる様にした。
■派生・運用
結局は初陣時点で既に時代遅れで、問題点も解決しきれなかった。レンドリースで渡った先で、厄介払いの如く方々をたらい回しにされて良く解らない改造をされたり、鹵獲された挙句に文句まで言われたりしながらもなんやかんや終戦まで使い倒された。その後の英軍も現代にいたるまで、機動力を犠牲にして防御力を高めた戦車を作り続けることになる。

■実戦
1940年5月21日、「アラスの戦い」で初陣を飾ると、フランスへ雪崩れ込んできた新進気鋭ドイツ装甲師団相手に壁のように立ちはだかる。あらゆる対戦車砲を弾き返して、焦ったドイツ軍が88㎜高射砲の水平射撃でようやく仕留めた。結果的に総崩れとなった英軍だが、ダンケルクから落ち延びて再起をはかり、その後の北アフリカや南方でもマチルダは重装甲ぶりを発揮してばしば敵を混乱に陥れた。
使用キット
タミヤ「1/48 イギリス歩兵戦車 マチルダMk.III/IV 」

説明書通りに製作し、一部分をディティールアップし、ヴィネット化しました。

スケールが1/48と小さく、写真でのサイズ感が乏しく感じるので、砲塔上部の車長用照準器およびアンテナ基部、砲塔側面の荷物ラック、フェンダー上部の予備履帯の固定具、フェンダーミラーはプラ板と真鍮線で作りなおしました。


車体前面中央、砲塔側面周囲は鋳造品のため、ラッカーパテで鋳造跡を再現。合わせ目等のも消しています。

塗装は説明書に従い、迷彩パターンで塗装。
車体側面の部隊番号はマスキングテープでステンシルとし、その他は付属デカールを利用しました。
スケールが小さくボリューム感に乏しいですが、サイズが小さい分ヴィネット化に丁度良いので、角材より車体寸法に合わせたヴィネットを作成しました。
砂は石膏、草は鉄道模型用のグラスで再現。
小石類は花壇の砂を振いにかけて取り出した物の大きな砂を利用しています。

















