■ワクチンのメリット、効果
最近、Yahoo記事で感染専門医の忽那氏の記事が出ました。
タイトルだけ見るとワクチン接種しても感染するリスクがあると読めます。
記事を読むとリスクがあるのは確かですが、その割合はたったの0.008%(1万人に0.8人)、ただしこれは、ワクチン接種しない状態での感染リスクが0.16%(1万人に16人程度)であることに対する効果と考えた方がいいです。
しかも、ワクチン接種者がわずかな確率で感染したとしても、ウィルス量は未接種者に比べ少ないということもわかっているようです。
さらにこれは忽那氏の記事ではありませんが、変異株が猛威を振るったイギリスが現在いち早くロックダウンを解除し制限を緩和できているのはワクチン接種のおかげであることは間違いありません。
■ワクチンのデメリット、リスク
デメリットやリスクについて考えてみます。
デメリットは副反応です。ジジイも経験しました。
全く出ない人も同僚に実際にいるので、人ぞれぞれです。
でも副反応出ることもあると認識はしておいた方がいいです。
ただ長くても数日で回復しますから些細なデメリットに過ぎません。
では比較的大きなリスクは何があるでしょうか?
まずはアナフィラキシー反応が挙げられます。
発生確率は100万分の5だそうで、インフルエンザワクチン(100万分の1.3)よりは多いが、蜂に刺される(100万分の5000)、抗生剤服用(100万分の400)よりははるかに少ないレベルです。
しかも接種会場には医師が待機してくれてます。蜂に刺された時には待機してくれてませんよね。つまり100万分の5の確率でアナフィラキシー反応起こしても迅速な対応が期待できるということです。
実際、蜂に刺されて死ぬ人はいっぱいいますが、接種後のアナフィラキシー反応で死亡した人はまだいないんじゃないでしょうか?
仮にお気の毒にも亡くなった方がいらしたとして、それは全体の何%でしょうか?
おそらく天文学的に小さな数字でしょう。(だから無視していいとは言いませんが。)
■ワクチン接種で死ぬリスクと、コロナで死ぬリスク
ワクチン接種後に死亡した例をググるとワクチンとの因果関係不明とされながらも、例えばノルウェーの高齢者施設で33人死亡や、日本でも19例(4月30日付)死亡が報告されています。
もし仮に上記すべての例がワクチン接種が原因による死亡だとして、ノルウェーの場合ワクチン接種回数は170万回、日本は349万回すでに接種が行われているので、死亡率はノルウェーで0.0019%、日本で0.00054%です。
これに対し、コロナに感染し死ぬ確率は、ノルウェーの場合全人口が532.8万人であるのに対し、累計死者数は756人で0.014%、日本の場合人口が1.26億人に対し死者数が10486人で0.0083%となります。
つまりコロナに感染し死亡するリスクのほうが、ワクチン接種で死亡するリスクよりノルウェーで7.4倍、日本で15.4倍高いといえます。
しかも上記の例はワクチン接種と死亡の因果関係が不明な例ばかりで、日本の場合、死亡した人がたまたまワクチン接種してたので、念のため報告しておいたという例が多々見られるようです。
現時点ではワクチン接種との因果関係が認められる死亡例は報告されていないようですので、実際のワクチン接種による死亡リスクはコロナに万一感染して死亡するリスクより、もっとはるかに低いと考えられます。
■ワクチン接種によるそのほかのリスク
それ以外のリスクは何があるでしょうか?
ネット上の主張とそれに対するジジイの見解を書いてみます。
1.抗体が作られ続け、自己免疫病になる。
自己免疫病については、コロナ感染患者が回復後も長く後遺症に悩まされるという事例が多数報告されているようです。それに対しワクチン接種後の症例は報告されていないようです。
2.DNAタイプのワクチン(アストラゼネカがそれに該当するのか?はっきりしません。)の場合、人間の本来のDNAに組み込まれてしまうリスク(それによりなにがダメになるのかは不明、ただ何となくいや?)。
DNAタイプと明言して開発中のワクチンは日本のアンジェスのものがありますね。
人間のDNAに組み込まれないようにするために、ワクチンのDNAは環状になっているそうです。
それでも組み込まれるリスクはないとは言えないと思いますが、このリスクを主張している人は、いったいどのくらいの確率でそれが発生しうるのか、発生した場合、どんな影響がどの程度の確率で起こりうるのかを明示すべきです。
3.DNAが人間のDNA内に組み込まれる際にがん促進遺伝子内に組み込まれると、将来がんになる可能性がある。
これも上と同じです。具体的な確率は何%でしょうか?数値を示すべきです。
どんなものにもリスクがあるのは事実です。
リスクのない生活などありえません。
重要なのは、そのリスクを受け入れられるかどうかであり、その判断のためにはそのリスクと得られるメリットがどのくらいであるかを定量的に判断することが必要です。
ネット上で上記のようなリスクを喧伝している人たちは、だれもそのリスクがどの程度のものかを示せていません。ただいたずらに不安をあおってアクセス数を稼ぎ、将来一人でも症例が報告された際には自分が警告したとおりになったと言いたいがためのものでしかありません。
また、南ア、ブラジル、イギリスで変異株が見つかったのはアストラゼネカがそこで治験を行ったせいではないか?とか言っている人もいますが、そのイギリスでアストラゼネカとファイザーのワクチンが劇的な効果を見せていることから、全く見当はずれな主張であることも明確です。
■ワクチン接種しないと起こりうるリスク
一番のリスクはコロナに感染して死ぬリスクです。
現状で10万人につき8.3人の死者数ですが、分子である死者数は累計のため、今後死ぬ確率はどんどん増えていきます。
さらに感染者数が増えて医療崩壊すれば、もっと悲惨なことになるのは言うまでもありません。
死なないまでも後遺症が残るリスクもあります。
次に、ワクチンのリスクばかりが強調された結果、接種を忌避する人が増えた場合、集団免疫が達成できずにコロナが収束せず、死者は増え続け、いつまでたっても飲食店は営業できないという事態になることが予想できます。
感染が減らないと言うことはウィルスの増殖を抑えることができず、新たな変異株が出現するリスクも当然増えます。
その結果、経済の回復がさらに遅れ失業者が増えることにより、失業者数と強い相関がある自殺者数が増えます。
つまりワクチン接種をしないと、ワクチンより少なくとも15倍の確率でコロナで死に、そこに自殺者数も上乗せされると言うことになるわけです。
さらに長い目で見ると、ただでさえ衰退途上にある日本が貧しい国に転落し、国際競争力を決定的に失うということも考えられます。
そうなれば金銭目当ての犯罪が増加し、行政には十分な資金がなくなり治安が確実に悪化するでしょう。
■ワクチン接種以外の出口戦略はあるか?
おそらくは抗ウィルス薬でしょうが、それが実用化されるのはいつになるんでしょうか?
それが実用化されるまでは、出口の見えない行動制限を行いコロナ感染による死者を増やし続け、ずっと経済を押さえつけて自殺者を増やし続けるのでしょうか?
ワクチンへの警鐘を鳴らす人は、ワクチン以上に現時点で人命を救える代替案を提示してほしいです。
■全体として最大利益はどこにあるのか?その時の少数者の救済方法は?
ジジイにはどう考えても現時点で取りうる最良の解は、ワクチン接種の一刻も早い実施だと思えます。
一刻も早い集団免疫を獲得するために、健康上の合理的な理由がない場合は速やかに接種を受けるべきだと考えます。そうしなければ、コロナによる死者は増え続け、経済疲弊による失業者も増え続けるからです。
接種が進んで大人数になっていけば、低い確率でもアナフィラキシーショックによる死者が出るかもしれません。
そう言った場合はリスクを取ってくれた人なのだから、できる限りの救済措置をとるべきなのは言うまでもありません。
■ワクチン接種にインセンティブをつけてもいいのではないか?
ワクチン接種にもリスクがあることは事実です。
健康上ワクチン接種が問題ないにもかかわらず、リスクを取るのが嫌でそのリスクを一方的に他人に押し付け、他人だけで集団免疫を獲得させ、ワクチン接種を忌避することで自分は何もしないで切り抜けようとする人々に対し、ワクチン接種をすると判断した人には相応のインセンティブがあってもいいのではと思います。
例えば、ワクチン接種したら商品券を付与するとか、消費行動に対し一定のディスカウントをするとかです。
差別につながらないかという懸念に対しては、インセンティブであれば非接種の人たちの行動制限をつけるわけではないので大丈夫なのではないでしょうか。
■透明性があり冷静で理性的な議論と判断を。
リスクがある、と言われるとヒトは本能的に身構えてしまうものです。
ですが、誰も隕石が頭に当たるリスクがあるからといって、外を出歩くのをやめてシェルターにこもったりしませんよね?
それは、隕石が頭に当たるリスクは、経験上十分無視できるくらい低いことを知っているからです。
ちなみに一説によると一生の間に隕石に当たって死ぬ確率は160万分の1だそうです。
0.000062%かあ。コロナワクチンでアナフィラキシーショックが起こる確率の8分の1ですね。
ワクチン接種によりアナフィラキシーショックが起こる確率は蜂に刺されて起こる確率よりずっと少なく、一生の間に隕石が当たって死ぬ確率の8倍程度って言われたら、どう感じるでしょう?
しかも、万一に備え医師が待機してくれている・・・
許容できるリスクではないでしょうか?
いずれにしろ、考えられるリスクに対し丁寧に検証をして行くことが大切だと思います。また、その検証過程も透明性を保つことが必要です。
根拠が不明確な都市伝説の類に関しても、人々の不安を取り除くために科学的な根拠をもとにできる限り潰していくことが求められます。
こう言った取り組みが、現時点で取りうる最善の策がワクチン接種であることを広く周知し、接種率と速度を上げ、将来に禍根を残さないために、非常に重要だと思います。