天上にはたくさんのカミ様がいて、それぞれの趣味を楽しんでいました。
あるとき星を造ることが好きなカミ様がこう言いました。
「おい、みんな見てくれ。キレイな星が造れたぞ!」
「まあ、ほんとうに。なんて素敵なブルーカラー。。」
絵を描く事が趣味のカミ様が溜め息をつきます。
「この美しい水槽で生きものを飼ってみましょう。」
ペット好きのカミ様が、生命のカケラをその誕生したばかりの星にそっと浮かべたのです。
しばらくするとその丸い水槽の中は様々な生物で溢れ、生き生きとした生命力のあふれる星になっていきました。
「だいぶ賑やかになってきたね。」
「おや、ごらんなさい。少ない陸地へ上がって行こうとする魚がいる。」
「何処の世界でも新天地を目指す者が現れるのだな。」
それからは多くの生物が現れては滅んでいきました。
海にも陸にもたくさんの生き物達が共存している様子を、カミ様達は興味を持って観察しておられました。
「変わった種族が増えだしたぞ、足が2本しかない。移動速度が他の種にかなわないじゃないか。これでは簡単に捕食され、すぐに滅んでしまう。」
「いや、鉱物を削って武器を造っている、集団生活をして狩りもしているじゃないか。
身体能力は低いがその分知能が発達したようだ。」
「なるほど、言語らしきものを使いコミュニケーションしている。
しかも創造主に生みだされた認識がある。宗教観を持つなんて凄まじい進化のスピードだ。」
最初は面白がっていたカミ様達の表情がだんだん曇ってきました。
「この二足歩行の種族は少し増えすぎているようだ。天敵がいないせいもあるが、、
武器の開発に血道をあげ、同種族で争ってばかりいる。」
「これ以上ほうっておいたらこの宝石のような星が壊されてしまう。」
「どうする?この世界の頂点に君臨しているつもりのこいつらを、、、。」
、、、と、ここまでお話しを朗読していたエレミが、話を止めていた。
「なぁに、それでどうなったの?はやく聞かせてよ。」 エンジュが促す。
「うん、カミ様達は美しい水槽を汚している生きものに、目に見えない小さなちいさな
敵を送り込むって展開にしようと思っていたんだけど・・・。」
「けど?」
「やめておくわ。」
「どうして。」
「その小さな敵に滅ぼされるってなんだか切なくて、落ち込んじゃうから。」
「そうね、いちばん大きな敵は、同じ種族で争う愚かさだって気づける理性が
あれば、、救いようがあるかも、ね。」