加納石人の書

 

 

 

24㎝×24㎝

1997.7.20

 

 

加納石人の書の世界へ

お越し下さり、ありがとうございます。

 

ここしばらく

石人覚書からのご紹介でした。

 

1983年後半、1984年初頭と

様々な思いに揺れる内面が記されていました。

(吹っ切れるまで、まだしばらく

時を要します。)

 

芸術家の生の声を聞くことは

まず無いと思います。

 

私も生前の石人から聞いたことは

ありません。

 

・・・ですが、

今日は石人覚書からではなく、

いつかの個展に寄せた文章だと思われます。

 

ぜひ、お楽しみ下さいませ。

 

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 書とは、文字を筆で書くことによって培

 

われた線の造形表現であります。

 

 書は中国に発生し、広く東洋に普及し

 

てきました。それは漢字を、円錐形に作

 

られた毛筆で書くことにより、次第にその

 

造形や線を連続させることで生ずる、自

 

身の呼吸・感情、そして思想までも表現

 

できるようになりました。

 

 芸術としての書は、文字の解読という

 

機能性に捉われることなく、それを

 

造形として感ずるものなのです。

 

 文字には、それを書き記すために、

 

はじめからおわりへと連続する筆順が

 

あります。それを書では一貫性といい、

 

重大な要素となります。このことは、世界

 

のどこの国の文字でも書表現できること

 

を示唆しておりますし、更に非文字で

 

あっても、線に一貫性をもった造形で

 

あれば、書は成立することを物語る

 

ものでありましょう。

 

            加納 石人