みなさん、今日も「センスオブワンダー
の旅」へようこそ!
今回のテーマは「さようならの一言」
です。誰でも知っていて よく使われるこの
言葉を いろいろな角度でみてみます
「さようなら」を意味する別れの言葉は、
世界中のどの言語にも存在します
でも その一言に込められた重みや哲学は、
言語によって驚くほど異なっています
ということで 今日は「さようなら」という
言葉を入り口に、日本語・フランス語・英語
それぞれの別れの表現を旅してみたいと思い
ます
≪「さようなら」は宇宙的な真理の美学≫
まず 日本語の「さようなら」の語源を辿ると、
平安時代の作法にたどり着きます。
当時は,「左様ならば(さらば)」、つまり「そう
いうことであれば」という接続の表現でした
「では、そういうことなので……」と言いかけて、
後の言葉を飲み込んだ形が、やがて別れの挨拶と
して定着したのだそうです。通い婚の時代、ひと
時の逢瀬を過ごした男女の「別れ」の情緒が伺われ
ますね
この使われ方には、日本人特有の美意識が宿って
いるとみられます。別れを「悲しい」と直接的に
言うのではなく、「そういう縁であるならば、仕方が
ない」という静かな受容の言葉として表現して
おり、「ものの哀れ」にも通じる この世の無常を
そっと認める言葉として広まりました。
そして、江戸時代になって「ば」が取れて、
別れの意味が定着しました
しかし,私達の日常では この「さようなら」は、
意外と使われにくい言葉でもありますね
友達との別れでは「じゃあね」「またね」が自然で、
「さようなら」はどこか改まった、または永遠の別れ
を思わせる響きが感じられます
卒業式での先生や友達、あるいは旅立ちの場面、
更には二度と会えないかもしれない人との別れ——
そういう場面でこそ、この言葉は深い思いを互いに
≪ フランス語の二つの別れ≫
~「Au revoir」と「Adieu」~
フランス語には、別れの言葉が大きく二種類あり
ます。「Au revoir(オ・ルヴォワール)」 と、より
深い響きを持つ 「Adieu(アデュー)」の2つです
「Au revoir」は「再び(re)見る(voir)まで」と
いう意味で「また会いましょう」という再会の意味が
込められた別れの言葉です。軽い日常の挨拶から、
少し名残惜しい別れの場面でも 幅広く使われています
英語で言うと「See You Again」という感じですね
一方の「Adieu」は「神(Dieu)のもとへ」という意味
があります。元々は「神のご加護のもとで」という祈り
の言葉でした
今日使うときには「二度と会えないかもしれない」と
いう気持ちが入っています。恋人との永遠の別れ、帰国
してしまう友との別れや死を迎える場面での言葉等です
フランス人は 生活の中でこの2つを使い分けています
昔、仕事でパリに一年滞在したときに 送別会があり
その席で私は「Je ne dit pas “Adieu”、Je dit seulement
“Au revoir”(私は 皆さんにAdieu とは言いません。ただ
Au revoirとして,皆さんまたお会いしましょう」と挨拶
したことを覚えています
≪「Goodbye」——神への祈りから始まった言葉≫
私たちが良く知っている英語の「Goodbye」は、16
世紀の表現「God be with ye(神があなたとともにあり
ますように)」 が縮まったものといわれています
長い旅に出る人、戦場へ向かう人を送り出すとき、
神の御加護を祈った言葉が、日常の別れの挨拶へと
変化したものです
今日の英語圏では、別れの表現は大変豊富です
軽く「Bye!」から、「See you later(またね)」「Take
care(気をつけて)」「So long(それじゃ)」まで様々
特に「Take care」は、相手の無事を願う温かさが
感じられる表現です
≪別れの言葉は、再会への橋≫
これら三つの言語を並べて気づくのは、別れの言葉
には必ず「次」が宿っているということです
「じゃーまたね」という期待だったり、「神のご加護を」
という祈りだったり、「そういうご縁でしたね」という
穏やかな受容——それぞれの時代と地域の文化の中で
人々が別れの瞬間に込めてきた願いが感じられます
私たちの人生には、予期せぬ別れが訪れます
遠方への転居や卒業、転職、そして死別等々
そのたびに私たちは気持ちを伝える言葉を探します
うまく言えなくても、言葉に詰まっても、それでいい、
どんな形であれ、別れの言葉を口にするということは、
「あなたのことを大切に思っていた」という証だから
さようなら、Au revoir、あるいはGoodbye………
どの言葉を選んでも、その奥には同じ気持ちが流れて
います
“あなたに会えてよかった!
どうか、幸せでいてください”
人の歴史の中で 数えきれないほど 使われてきた言葉
“気持ちの架け橋”の言葉を大切にしたいですね ❤
みなさん、今日もここまでお読みいただき
ありがとうございます。それでは みなさん Au revoir !!


