寝る、そんな作業も、そろそろ飽きてきた。夜中に目が覚めるのが多くなってきた。
朝の恒例行事が終わり、しばらくすると、
「21番、調べ」
昨日の続きだな、
手前の取り調べ室は、タバコの匂いがする。直ぐしたが喫煙所だからだ。
昨年の4月から、警察署での喫煙場所は決められた場所以外は、全面禁煙になったらしい。
無実の私が、タバコを吸えない。なんとも、頭にくる。
「やっぱり、タバコはダメですか?」
かえってくる答えは、お決まりの苦笑い!
調書の作成は、淡々と完成に向かって行く。スムーズだ。
復習と捜査資料は、ピタリと一致している。
昼直前に完成した調書は、読まれる事なく、地獄のレストランへと、案内された。
生きてレストランを出ると、取り調べ室への道が開ける。
意外な言葉を聞いた。
「お金を借りる当てはある!」
貸してくれる人は居るが、??????????
「罰金で、出れる可能性があるから、その時は、払う宛があるか?」
ん?罰金?
「幾らぐらいなんですか?」
「20」勿論、20円のはずがない。
「借りてまで、罰金なんて払う気はない」
当たり前だ、無実なのだから、検事も無実を証明したのだ。
罰金=有罪、有罪=前科だ!
調書は、読み上げられた、が、ほとんど聞いていなかった。
タバコの匂いを思い浮かべていた。
「木曜日、シュウチュウだから」
「もっと早く出来ないの?」
「決まった事だから、もう少し我慢して」
タバコの匂いは消えている、今頃は働いているんだろうな、そんな事を思いながら、お部屋へ案内された。
相部屋の15番は、
「明日、装置されます。さっき、聞きました。」
「えっ?拘置所!」
昔は、留置場の方が良かったらしい。タバコが吸えたからだ。
今では、拘置所の方が留置場より、ましになってるらしい。
同じタバコが吸えないなら、食事や生活面を考えると、拘置所が良いらしい。
周りの部屋からも、羨ましいと、声が聞こえる。
私も先を見据える、無実、それだけ!