昨日の朝、母は家を出て行った。自分独りが残されこの家庭は完全に崩壊したのだ。

親父は酒飲みの怠け者。母は生真面目。もともと合うはずがなかったのだ。

親父はいつからか家に帰って来なくなり。母もまたそれを気にすることもなかった。

そんな母と俺だけの生活が半年ほど続き母はついに今朝出て行った。

俺がまだ寝ぼけている時に……。

理由は簡単でお金が尽きた。そして限り無く続く借金の取り立てのためだろう。

親父が生きている限り、この家に借金の取り立てが来続けるのだ。

俺は諦め半分に財布の残高を確認し、家を出た。

さっきまで俺がいた古びたアパートの一室の戸は開きっ放しで、その中も世の中から切り取られたように何もない、ただ畳だけがひかれた空間が広がっていた。